死にたがりの私
作者/桜

―6章― 2
蓮華は、誰も反応していない事を知ると、何事もなかったかのように自分の席に戻った。
蓮華の体が、小さく震えている事が分かる。
『ごめんなさい、許して』
私の頭の中で、蓮華の言葉が再生させた。
何回も、何回も。
蓮華と私が重なる。
蓮華の苦しみが伝わってくる。
……ハハッ、そんなの綺麗事。
私に人の気持ちなんて分かる訳ない。
だって、人の気持ちを踏みにじっているんだよ?
そんな私に分かる訳がないでしょ?
私は、弱い人間なんだから。
自分の身は自分で守らなければいけないから。
例え、犠牲が出ても。
だから私は、良い子ぶるのをやめた。
キーンコーン……
鐘が鳴り、クラスメイト達が慌ただしく席に着く。
鐘が鳴り終わった数十秒後、いつもの様に担任が入ってくる。
いつもと同じ、笑顔を浮かべながら。

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