死にたがりの私
作者/桜

―6章― 8
昼休みは、蓮華の悪口を聞かされるだけで終わった。
時間を無駄遣いした気がしたが、何も言わずに席に着いた。
5時間目はなんだっけな、とか思いながら机に突っ伏する。
あぁ、眠い。
寝ていいよね、眠いから。
あははっ、理由になってないか。
まぁ、今この状態で授業受けても頭に入らないし。
私は、ゆっくりと目を閉じた。
自分の表面が壊れていく気がした。
「――――――え!おい!九重!」
男性教師の濁声で目が覚めた。
「この答えを言ってみろ」
男性教師が指差したのは、黒板。
あぁ、数学の時間か。
「早く」
数学教師が黒板を軽く叩く。
黒板に書いてある数式を読んでみると、意外に簡単だった。
これ、昨日の夜に予習でやった。
私が立ち上がろうとすると、隣の蓮華が私の制服の裾を軽く引っ張ってきた。
蓮華が自分のノートを指差す。
……何てありきたりな展開だろう。
蓮華のノートには、黒板に書かれている問題の答えが。
分かってるって。私はそんなに馬鹿じゃない。
私は蓮華のノートから視線を外し、立ち上がって黒板の問題の答えを言った。
勿論、正解。
その後、授業は普通通りに進んだ。
寝たから、目が覚めて頭がすっきりしていた。
けれども、授業には集中できなかった。
蓮華の行動の意味が分からなかった。
何故私に答えを教えようとしたか。
自分をいじめている人を助けようとしたか。
意味が分からない。

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