死にたがりの私
作者/桜

―6章― 5
春菜達から視線を外し、蓮華は何処かなと、教室を見回してみる。
蓮華はどんな反応をしているのかな、という好奇心で。
何度見回しても、蓮華は教室にはいなかった。
蓮華の机の横には鞄がある。
蓮華は学校には来ているが、教室にはいない。
あぁ、逃げたんだね。
ほんと、昔の私とそっくり。
私と同じって言っては蓮華が可哀想か。
私と蓮華は正反対だもんね。
蓮華は、自殺するほど弱くない。
私は自殺未遂で終わったけど。
というか、あまり怪我してないけど。
まぁ、飛び降りたから転校できたんだけどね。
親子の間に溝が出来たけど。
……溝は元々あったか。
それが深くなっただけで。
いや、私が深くしたのかな?
あー、何だろ。何考えてたか分からなくなってきた。
まぁ、蓮華は生きてるって事。
確証はないけど。私の勘で。
人間、そんな簡単には死なないしね。
いや、死ねないのか。私も躊躇したし。
で、どうしよっかなーと、私はまた黒板を眺める。
傍観者が1番かな。いや、加害者の方がいいかな?とか何とか考えながら。
まぁ、1番良いのは、関係ない人だね。
いじめ小説を読んでいる読者的な位置。
それが最高。
無理だって分かってるけどね。
……無理だって分かってて考えるなんて、馬鹿みたい。

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