死にたがりの私
作者/桜

―6章― 4
いつもの様に、教室へ入る。
「おはよー」
笑顔で友達に手を振る。
……友達?
友達と言えるの?
私が勝手に思い込んでいるだけでは?
まぁ、友達=他人だしね。
間違いじゃないのかもしれない。
……毎回こんな事考えてるなんて、面倒な人。
「あ、穂乃実おはよー」
心がチョークを片手に持ったまま、私に手を振ってきた。
『……何やってんの?』
私は必死でその言葉の飲み込んだ。
聞かなくても分かる。
見たままなのだから。
黒板に蓮華の悪口が書き連ねてあった。
私は何度も目を擦った。
幻覚だよね?
そう、思いながら。
けれど、何回擦っても、悪口は消えない。
何でだろ?
無視で終わったんじゃなかったの?
排除だけじゃ物足りないの?
排除だけでなく、攻撃もしなければいけなかったの?
チョークの音とクラスメイトの笑い声が混ざる。
私は、皆が集まっている黒板を眺めた。
いや、黒板の前にいる人を眺めた。
ありえない。どうなっているの?
そんな言葉が私の頭に浮かんだ。
黒板の前に、クラスメイトと笑いあいながら悪口を書いている、
―――――――――――――――――――――春菜がいた。
その笑顔は何?
本当に楽しんでるの?
自分をいじめた人をいじめるから?
復讐なの?
これは当たり前なの?
ねぇ、春菜。
1つ聞きたいな。
貴方に心はあるのですかって。
……思ってもないけどね。

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