死にたがりの私
作者/桜

―5章― 7
『いじめ』って、面倒くさいモノだから。
皆、面倒くさい事には関わりたくないから。
そんなの、分かっていた。
人を信用するなんて、馬鹿げている。
けれど、私は人を信用してみたかった。
希望を少しでも感じてみたかった。
そんなの、意味がないのに。
退屈な授業が終わり、放課後。
これからどうなるのか、少し気になってしまった。
別に、いじめを楽しんでいる訳じゃない。
ただ、いじめの標的がどうなるのか。
次は、自分じゃないのか。
怖かったから、気になった。
もう、傷つきたくないから。
ガタッ
蓮華が席を立つ音。
その音が鳴った瞬間、それまで騒いでいたクラスメイト達が急に静かになった。
クラスメイトの視線が蓮華に集まる。
怯える蓮華。
蓮華は、机の横にかけてあった鞄を手に取ると、小走りで教室を出て行った。
誰も、引き止めなかった。
……標的交代。
蓮華が悪い訳じゃない。
ただ、こうするしかなかったんだ。
上手く収めるには、これしかなかった。
例え手を差し伸べても、蓮華は握ってくれない。
もしも握っても、私達を信用してくれない。
だから、排除した。
蓮華を異端者として、排除した。
巻き戻し。
いつまで続くんだろうね?

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