死にたがりの私

作者/桜

―4章― 11


自分の部屋に入り、鍵をかけてベッドに横になった。

頭の中では、春菜の言葉が渦巻いていた。

『死にたい』

私と同じ、死にたがり。

生きている意味なんてない。

早く死んで、楽になりたい。

春菜の気持ちが私の気持ちと重なる。

生きる希望なんてモノはない。

何故生きているのかが分からない。

自分の存在価値が分からない。

自分の存在意義が分からない。

生きたいと願う心なんてない。


私は、椅子に座り日記帳を開いた。

意味のない言葉を書き連ねる。

私の思いを吐き出す場所。

――――――――――――――――――――――――――――――――

私は、生きている心地がしなかった。

ただ、皆に合わせていただけ。

自分の意思を持たない人形みたいに。

いっそ、人形の方が良かった。

人形なら、傷つかない。

罪悪感なんてモノはない。

痛める心がないのだから。




春菜の苦しみ、春菜の哀しみ。

全て、自分と同じ。

いじめられている人は、皆同じか。

苦しい。

言葉で表すと、苦しみは伝わらない。

苦しんだ本人でないと。





私は、綺麗な言葉でも、汚して見てしまう。

誰も信じられない。

私には仲間なんていない。

蓮華と仲良くなっても、友情が出来ても、全ては偽り。

いつか壊れてしまう。

だから、信じない方がいい。

信じてて裏切られるのは、とても辛い事だから。

だから、いつ壊れてもいいように。

誰も信じない。

例え本心からの言葉でも、私は信じられない。


1番信じている人ほど、裏切られるモノ。

信用出来る人なんてこの世に存在しない。






いじめられている人に頑張って、という人がいるけれど、何を頑張れと?

ずっと耐えろと?

貴方に苦しみが分かるのですか?

この生き地獄が、貴方には分かるのですか?

私のいつも思う事。

体験した人ではないと、苦しみは分からない。

誰にも私の苦しみは分からない。

誰も私の心は知らない。

――――――――――――――――――――――――――――――――

感情が、止まらない。

涙があふれ出す。

本当の事を書いているだけなのに。

私の本当の思いを書いているだけなのに。

苦しい。

春菜をいじめた罪悪感から。

私と同じ、春菜の言葉から。

人を信じられない自分から。

自分の事を分かってくれない人達から。

苦しくて、苦しくて。

何もかもが真っ黒に見えて。

光なんて1筋もなくて。

全てが闇に包まれていて。

私を必要としている人がいなくて。

全てが私を痛めつけて。

全てが、私を苦しめる。


私は、いじめから解放された。

けれど、死にたい。

何故?

それは、苦しいから。

いじめという現実から目を逸らせなくて。

自分を助けるために、人をいじめて。

いつ自分の番が回ってくるのかが、怖くて。

いつもビクビクしていて。


私の生きている価値は何?

ないと分かっているのだけど、探してしまう。

もしかしたら、という思いを持って。

ないと分かっているのに。

私を必要としている人はいないのに。

何故私は生きているの?

何故私は死なないの?

何回やっても答えはでない質問。

私が生きている理由なんて何もない。

私が生きてても、良い事なんて何もない。

誰も得にはならない。


涙が、日記帳に零れ落ちる。

視界が滲んで字が読めない。

私は日記帳を閉じ、服も着替えずにベッドに横になった。

こんな現実から、早く逃げたかった。

目を閉じ、思う。

このまま永遠に目が覚めなければいいのにって。