死にたがりの私
作者/桜

―6章― 9
放課後。
私は5時間目の数学の事で職員室に呼び出されていた。
数学教師の無意味に長い説教を聞き流す。
「次はこれだけじゃ許さんぞ」
数学教師は最後にそう言い、私を解放した。
職員室を出て、教室に戻る。
教室に戻る途中、携帯で現在の時刻を確認する。
16時38分。
たっぷり30分間説教されていた訳だ。
まぁ、部活とかやってないからいっか。
そんな事を考えていると、教室に着く。
多分、教室には誰もいない。
教室のドアに近づく。
「……?」
ガタッ、ガタッ、と物音がする。
音をたてないように、ゆっくりとドアを開ける。
ドアにできた少しの隙間から、中を覗く。
誰かが、誰かの机をあさっている。
制服からして女子。
で、その子があさっている机は心の机。
私は、心の机をあさっている子が誰なのか分かった気がした。
その子の足元を見てみる。
床に散らばった教科書、ノート。踏みつけられたペン。
まるで、泥棒が入ったかのように。
心の持ち物が無残な状態になっていた。
その子が、心のペンをゴミ箱に投げ捨てる。
「ナイスゴール♪」
1人で笑って、また心の机をあさる。
机の次はロッカーと、次々と心の持ち物を壊していく。
私は、何事もなかったかのように、教室のドアを閉め、学校を出た。
鞄を持って職員室に行って良かったな、と思いながら。
明日教室に来たら皆、驚くだろうな。
あの子は蓮華のせいにするだろうな。
まぁ、私には関係ないか。
そういえば、教室は放課後、鍵がかかってる筈なんだけどなぁ。
……まぁいっか。
ねぇ、少しはスッキリした?
小さいけど、復讐になった?
ねぇ、
――――――――――――――――春菜?

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