コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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世界終了ハウマッチ!?
日時: 2015/10/28 20:57
名前: 彩都 (ID: vKymDq2V)  

初めまして、彩都(サイト)と申します。
四作目です。
帰宅途中に思い付いた五分クオリティです。
気楽にお読み下さい。

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Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.294 )
日時: 2018/09/05 23:37
名前: 彩都 (ID: ???)  

「はぁはぁ……」
段々と、段々と体力を消費してしまう、一応今の季節は夏だ、水分補給もせずに軽く十分は走っているだろう、と、祐介は判断した。
判断した所で、『だから何だ?』って話だが。
祐介は走っていて、『何時になったら先宮さんが来るだろうか?』と、思う。
もしかして来ないんじゃないだろうか?という一抹の不安さえも覚えた。
で、でも、これ以上走っても、体が追いつかない……疲労が溜まる、乳酸が溜まる……祐介はそう思うが、最近の研究では乳酸は溜まった所で何もしない事を思い出し、言葉を撤回しようとさえ思った。
そして祐介は耐え切れずにその場で膝を突いて、息を大きく漏らした。
「はぁっ……」
無理、完全に無理、もう走れない、走る事は今日は無理かもしれない?でも、もう少し頑張りたかったなぁ?祐介はそう思いながら、未だ走り続けるアリス誘拐犯を見つめていた、すると、その時だった。
『車のクラクションの音』が聞こえた、後方から、その音が聞こえ、祐介は、静かに振り向いた。
「あっ……」
祐介が言葉を漏らす、振り返った先、其処には『先宮さんが乗るパトカーが見えた』からだ。
安堵、安楽、安心、祐介はそう思いながら聞こえるか分からない行動をする。
「あれです!アイツが誘拐犯です!」
祐介は身振り手振りで誘拐犯を指差したりする、その様子を先宮さんが見ていた。
「……前原ぁ?アイツ、誘拐犯の場所を教えているな?」
「そうですね、教えてくれるので有難いです」
「あぁ、俺も嬉しいよ、さて、後はパトカーで追いかけるだけか」
先宮さんがそう言うと、前原が『ちょっと?』と、言う。
「祐介君はどうしますか?車に乗せますか?あのままだと、疲れているように見えますが?」
「うーん、どうしようか?それは前原の意見に従おうかなぁ?」
「そうですか……では助けましょう、乗らせましょう」
前原はそう言って、祐介の前にパトカーを停め、先宮さんの方を下げた。
「おい、乗れ、急げ」
「は、はい!」
祐介は少しふらつきながら、パトカーの後部座席に入って、全身を座席に預け、ドアを閉めて、シートベルトを着用する。
「あ、有難う御座います……」
「いいって事よ?さて祐介君?一応聞くが、あそこで走っているのが誘拐犯?」
「え、えぇ、誘拐犯です、あの覆面野郎です、とりあえず、急ぎましょう!」
「あ、あぁ……分かった」
前原は祐介の発言を受けて、アクセルを一気に踏んだ、すると車は急発進する、前の車道には誰にも居ないので、自由にアクセルを踏める。
そして車はアリスを誘拐した犯人にすぐに追いついた──

『そこの覆面の男性ー止まりなさいー』
パトカーから、前原の声が聞こえる、メガホンのようなモノを使って、前原は覆面に伝えた。
「止まりなさいー」
「うおっ!?警察!?早いな!?」
アリスを抱く覆面の誘拐犯はそう言って、少し走るスピードを上げるが、まずとして、人間VS車、さぁ、どちらが勝つ?そんなの決まっている、車の方だ。
なので、覆面は走るスピードを上げるが、そんなのはたった数メートルだけだった。流石に30キロ以上の幼女を抱きながら走るというのは、相当にキツいモノがある、なので、覆面の誘拐犯は静かに走るスピードを落とし、最終的には、地面に倒れた。
「はぁはぁ……はぁはぁ……」
息を荒くし、全身に新鮮な呼吸を送る誘拐犯、アリスは急に倒れ、驚いていた。
「えっ……えっ?(良く分からない)」
アリスはその場で困惑しながら、誘拐犯を見ていた、すると、パトカーから出てきた男性──前原だ──が手錠を持っていた。
「こ、この!誘拐犯め!こんな幼い女の子を誘拐するなんて!ロリコン罪出来ろよぉ!?もう!!」
前原はそんな事を呟きながら、誘拐犯の両手に手錠をかけた。
「はい!幼女誘拐で一応逮捕だ!これでお前はお縄だ!」
「ぐっ……あのガキの所為だ、あのガキの体力を、舐めていた……!」
覆面の誘拐犯はそう言って、溜息を吐いた、そして前原はパトカーに向かって、援護を要請していた──

「前原さん、ナイスお手柄です」
「おいおい?そんな事言っても、今日は奢らねぇぞぉ?」
「えへへー」
新人警官に煽(おだ)てられて少し頬が緩む前原に対し、先宮さんが言った。
「ありがとよ?前原?安心したぜ」
「いえ、今回のは祐介君の説明あっての逮捕です、一番活躍したのは祐介君ですよ?」
「えっ?俺?俺、そんなに活躍したっけぇ?」
祐介はとぼけるが、『いや、逮捕の手助けをしたのは君だよ、祐介君』と、前原が言う。
「そ、そうですかねぇ……何だか嬉しいや?」
「フフフ、嬉しくなってもいいんですよ?君はそれ程迄のレベルの行為を行ったんだから」
前原はそう言って、祐介に言う。
「今回の逮捕にご協力してもらい、誠に有難う御座います」
「い、いえいえ!こんな走っただけでご協力だなんて……少し恥ずかしいですし……」
「恥ずかしくても、アリスちゃんにとって、ヒーローみたいなもんじゃないですか、祐介君は?」
「ヒーロー……」
前原にそう言われ、心の中で『ヒーローかぁ』と、思う祐介。
でも俺がヒーロー?何だかそう思えないけどなぁ?祐介はそんな事を考えながら、少し嬉しい気持ちになった──そして照れている祐介に対し、アリスが抱き締めて感謝する──

Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.295 )
日時: 2018/09/09 22:56
名前: 彩都 (ID: ???)  

「有難う!(サンキュー!)」
そう言ってアリスが祐介に抱きついた、祐介はアリスの行動に『うわっと』と、驚いた、確かに被害者である彼女には自分がヒーローっぽく見えているのかも?祐介はそう思いながら、『大丈夫だよ』と、返答した。
「アリスちゃんが困ってたら、俺が出来る限り助けるよ?あーでも、勉強は手伝わんからね?」
「ぐえっ(マジか)」
アリスは祐介の発言に舌打ちをした、この子、俺に任せる気だったのか、祐介は少し冷や汗を流す。
「そ、それにしても前原さん?犯人が逮捕されて安心です」
「えぇ、本当、安心しました……それにしても、今は簡易な事情聴取をして、余罪を調べている途中です」
前原はそう言って、パトカーの中で話をする誘拐犯と新人警官の話を聞いた。
「えーと、名前を教えて下さい?」
「名前は、西条院 多々良(さいじょういん たたら)」
「年齢は?」
「四十七歳」
「もう少しで半世紀かぁ……あっ、私は二十二歳です」
「あっそうなんですか……」
「それにしても、どうしてこの子を誘拐したんですか?」
「だって、可愛いから……外国人みたいで……」
「外国人だよ(おいおい)」
すると急にアリスが祐介の隣に立って発言する、外の話が聞かれていて、誘拐犯と新人警官は驚いていた。
「へっ?」
「えっ?」
「私はアリス・マーマリア、完全なる外国人だ!ダブルでは無い!(分かったか!?)」
「だ、ダブル?」
「ハーフって事!(分かれ!)」
アリスはそう言って、口を斜め上に尖らせた、そして前原が驚く。
「へぇ、アンタ純血?珍しい?」
前原の発言にアリスが言う。
「そう?まぁ、元々外国育ちだしねぇ?(フフフ?)」
「成程なぁ?まぁ、どうして此処に居るのかは聞かないでおくよ、何だか変に足を突っ込みそうだからねぇ?」
前原はそう言って、口の端を歪ませる、前原さん、貴方はどれだけ回避能力が高いんだ?祐介はそう思いながら、『それじゃあアリスちゃん、警官さんの邪魔にならないように春華ちゃんや先宮さんの所に向かおうか』と、言って、アリスを警官の前から離す──これで警官も少しは話に集中出来るだろう、祐介はそう思いながら、春華、先宮さんの居る場所に向かった──

「はぁ……珍しいなぁ?俺が仕事外で警察を呼ぶのは?」
先宮さんがそう言うと、春華が『そうなの?』と、首を傾げた。
「あぁ、一応お父さんは署内で篭る事が多いからな?逆に呼ばれるのが多い、だから逆に呼ぶのは珍しいんだよ」
「あぁ、そうか、確かに篭っていると、呼ばれるのが多いし、呼ぶのは珍しくなるのか、休みぐらいでしか呼ばないしねぇ?」
「そう、だから今日みたいな休みの時しか、他の警察官は呼ばないんだ……今日が仕事なら、俺が呼ばれていた可能性もあるなぁ?」
先宮さんはそう言って、その場で笑う、まぁ、確かにそれは有り得るかもしれない、春華はそう思いながら、『でも、流石に今日は休みだし、休日出勤は厭でしょ?』と、言う。
「まぁ、な……」
先宮さんは淡々と答え、虚空を見つめる、すると、祐介、アリスの二人が先宮さん達の方に向かってくる。
「おぅい!二人共ー!」
「あれっ?祐介君達だ、急にどうしたんだろう?」
二人を見つけ、春華が言う、そんな春華に対し、先宮さんは『何なんだぁ?』と、首を傾げた。
そして二人が到着し、息を荒くしながら発言する。
「い、一応警官さんの邪魔にならないように此方に来ました」
「んだんだー(そうだー)」
「成程……まぁ、確かに二人の判断は合っているかもしれないわねぇ」
二人の発言を受け、春華が静かに納得する、そして先宮さんが祐介に聞く。
「それで?犯人の余罪確認は?」
「えーと、まだしていません」
「分かった、もしも余罪があった場合、アイツは罪が重くなる」
「えーと、どれ位ですか?」
「しーらね?まず、余罪の数によって変わるし、更に言ってしまえば殺人、強盗、空き巣、暴行、その他諸々の罪の重さも有る、だから一概には言えねぇ」
「そう、ですか……」
「でもまぁ、罪は重いと思うぜ?だって、あんなに誘拐にこなれているのは滅多に見ない、多分結構誘拐したんじゃないか?俺はそう判断するが、どれだけ吐いたかにも寄るぜ……」
先宮さんはそう言って、顎に手を当てながら発言する、成程、確かに結構小さい子の誘拐に慣れている気はする、気はするだけだが……それにしても、とりあえず、死刑レベルになって欲しいなぁ?祐介がそう思っていると、前原が先宮さんの前に現れる。
「先宮さん、アイツ、結構な数の誘拐してました、話を聞くと、ざっと20人は行っていると……何て可哀想な……」
「おぉっ……そりゃ、こなれてるわなぁ……んで、その20人は?外国に売られた?」
「えぇ、多分そうだと思われます、後、臓器売買にも手を出していたようで、外国の同年代の子に移植する為に臓器売買をしていた、と……」
「……誘拐は、まるで赤子の手を捻る程の可愛い罪だったぜ……」
先宮さんはそう言って、誘拐犯──西条院だ──に対し、恐怖した──何て野郎だ、祐介は二人の話を聞いて、恐怖した──

Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.296 )
日時: 2018/09/09 22:57
名前: 彩都 (ID: ???)  

「……恐ろしい」
春華が静かに発言する、まぁ、確かに臓器売買の件については相当恐ろしい、簡単に言ってしまってはいるが、普通に言えば、『日本では大罪、重罪』なのだ、そんな罪を行って、春華が『恐ろしい』と、口から漏らすのも無理は無い。
「……だよねぇ」
そんな春華を宥(なだ)める様に祐介も口から言葉を漏らした、だが、前原は『まだ恐ろしくないですよ』と、戯言のように言葉を漏らす。
「この世には、そんな事件よりももっと恐ろしい事が起きている、そんな恐ろしい事件に私達警察は向き合っていかなければならない、人間の『狂気』、いや、『狂人性』の方が怖いですねぇ……視野を広げてみれば、日本人ならず、外国人の方も酷い……ですよねアリスちゃん?」
急に外国人であるアリスに振られ、アリスはその場で無言を貫いた。
魔法使い、基魔女。
数百年前迄遡れば、『魔女裁判』というモノがあった、『魔女裁判』はその名の通り『魔女を裁判する』行為の意味である。
その当時、魔女といえば、悪魔崇拝、サタンを呼び出したりするのに、赤子の血や、人間の骨等を使用し、呼び出していたりする。
そんな行為をする為に魔女は赤子を、幼子を誘拐したり、簡単に人を殺したりしていた。そんな行為を、そんな事を考えてみれば、西条院が行った臓器売買よりも、魔法使い、魔女の方が恐ろしいと言える。
だが、『前原はアリスの事を魔法使い、魔女とは知らない』、知らないまま発言しているので、ただただ『外国人として』のコメントをした迄だった。
「…………(…………)」
そんな前原に対し、アリスはただただ無言で、無言で返答を行うしかなかった、だが、この無言を知ってか知らずか、前原は違う解釈をする。
「沈黙は肯定、ですか?」
「……違う!」
と、急に祐介が否定の口火を切った。
「確かにそうかもしれないけれど……そんな事より戦争の方が、俺は狂人だと思います……!」
静かに、静かに反論する祐介、付け焼刃のような知識で祐介は前原に反論する。
「戦争の方が……色々な意味で狂人だと思います……前原さんが何を言っているのかは分からないけれど、戦争の方が、もっと惨(むご)く、酷いと思います……!殺人よりも、惨い……!殲滅、壊滅、消滅、戦争はそういう行為だと、俺は思います……!」
「……まぁ、確かに祐介君の言い分も分かる……まぁ、外国人であるアリスちゃんに言うのは悪かったね」
前原は場の空気を読んで少し謝る、そして前原は先宮さんに言った。
「あっ、そうだ、先宮先輩?去年の殺人事件の件なんですが、やっと犯人の目星が見えかけてきました、後少しで、去年の事件、判明しそうです」
「……そうか、分かった」
先宮さんは前原の発言を受けて、静かに頷いた、そして前原は祐介達四人から立ち去る。
……何とまぁ、不仲になりそうな話題を、爆弾を設置したのだろうか、前原は……祐介はそう思いながら、『何時、帰ります?』と、先宮さんに首を傾げた。
「……パトカーが、去ってからかな?」
先宮さんは静かに返答し、パトカーを見続けた──

軽く二十分が経って、パトカーは誘拐犯を連れて、『安瀬パーク』から消える、そんな様子を見て、春華が言う。
「……よし、帰りましょうか?」
春華の発言を受けて、父である先宮さんは『あぁ、そうだな』と、返答した。
「よし、皆ぁ、帰るぞぉ?」
先宮さんはそう言って、駅の方へと走り出した、『待ってよぉ?』と、春華が言い、先宮さんを追いかける。
そんな二人を見ながら、祐介も歩く、ただ、その場で動かないアリスを除いて。
「……アリスちゃん?」
振り向いて首を傾げる祐介にアリスは反応しない、祐介はアリスの前に移動し、膝を曲げて、『アリスちゃん?』と、言ってから顔を覗いた、すると、アリスは『うわっ!?(驚いた)』と、言って、その場で尻餅をついた。
「お、おいおい?そんなに驚くこたぁねぇだろ……?で、何を考えていた?」
「……な、何も考えていないけど?(やだなぁ?)」
尻餅をつきながら、返答するアリスに対し、祐介は振り向いて、『そうか』と、返答した。
そして続けて祐介は『アリスちゃん?』と、発言した。
「ん?何?(どした?)」
不思議そうに首を傾げるアリスに対し、祐介は淡々と言った。
「パンツ丸見え」
「……?……!?(あっ!)」
一瞬アリスは理解が出来なかったが、自身の服装を思い出し、理解した。
アリスはスカートなのだ、そして尻餅をついて、スカートが捲れ上がっていた、そんな様子を静かに祐介は言ったのだ、あーあー、他人にパンツ見られたぁ!アリスは泣きそうな状況に耐えながら、スカートを押さえ、周りに見られていないかを確認してから立ち上がり、『バカにーちゃん(アホー!)』と、小声で言った。
「さぁ、さっさと二人の所に向かおうぜ?」
小声が聞こえていないのか、聞こえていて、無視したのか分からないが、祐介はアリスに手を差し出して、一緒に歩こうとする、そんな祐介に対し、アリスも折れて、手を差し出して、握手しながら、歩く。
その様子はまるで本当の兄妹のようであった──

Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.297 )
日時: 2018/09/12 21:58
名前: 彩都 (ID: ???)  

「…………」
「…………(会話が、ない)」
祐介とアリスは手を繋ぎながら先に進む先宮親子を追う、だが、追っている途中、お互い無言状態を続けていた、幾らパンツを見られたからって、無言状態は酷いと思うんだ、男なら、『眼福!』とか、言って欲しい、いや、大人だからこそ、私みたいなガキに、ガキパンツに興奮しないのか、興奮するのはお兄ちゃんのお母さん、おばさん程度ものか、アリスはそんな事を思いながら、『はぁ』と、溜息を吐いた、するとやっと祐介が喋った。
「……どうした?『安瀬パーク』が名残惜しいか?」
「えっ?いや、そう言う訳じゃ……(えっとその)」
やっと会話らしい会話が現れたか、アリスはそう思いながら、再度言葉を紡ぐ。
「そう言う訳じゃないけど……いやさ?誘拐された時、お兄ちゃんがカッコよかったなぁって……(それだけじゃねぇけど)」
そう言うアリスに対し、『まぁ、体が勝手に動いたし』と、思う祐介。
無意識に、『他人を救おうとしていた』、その行動は、無意識に行われていたものだった、別に『アリスちゃんは幼いだろうし、救わなくては』とか、『こんな幼い子を誘拐させて、PTSDみたいな名前のストレスを発症させたくない』、とは思わずに、つい、無意識に、つい、体が勝手に『動いた』、そして走っている途中に『どうして自分は走っている?』と、思ったが。
だが、アリスも、祐介も『人』だ、『人だから、助けた』、『仲間だから助けた』、『危険が迫っていたから助けた』、無意識下に、深層心理レベルで、『思っていた』からこそ助けたのだ。
人を助けるのに、理由なんか要らない、つまりそう言う事だった。
そんな事は露知らず、祐介は静かに返答する。
「そう、か……カッコいい、か……」
アリスにそんな事を言われ、祐介はその場で少し照れる、まさかこんな小さい子に言われて、照れるなんて?珍しい、珍しいを通り越して『初めての経験、体験』だった、内心嬉しい、とても嬉しい、何か知らんが嬉しい、そんな思いが心と脳を満たしていた、もしもこの感覚が快感になるのなら、アドレナリンやドーパミンが出ているだろう、だが、ただ言われただけなので、快感というより、『初体験』という気持ちが強く、快感とは、祐介は思わなかった。
「そうだよ?だって、本当にカッコよかった、男の中の男!漢気!勇敢だった!!(カッコいいよ!)」
アリスは小声で呟く祐介に力強く、大声で言った、勿論カッコ良いのは事実だし、男の中の男と思ったのも事実だし、漢気と思ったのも事実だし、勇敢と思ったのも事実、アリスは自身の発言に『全部事実!』と、言えるレベルで、発言した、そんなアリスに対し、祐介は、『そ、そうか……カッコよかった、男の中の男、漢気、勇敢……』と、アリスの発言を繰り返していた、そうか、そうか……嬉しいなぁ、アリスちゃんがそんなレベルで言うのなら、カッコよかったんだろう、追いかけている俺が……祐介はそんな事を思いながら、内心喜んだ、男にとって、『カッコいい』とは、とても、最上級の感動、感涙、冠絶するレベルで嬉しい事なのだ、とても喜べる単語の一つだった、そんな事を言われ、祐介も流石に喜んだ。
すると前から『早くぅ!』と、叫ぶ春華を見る、あぁ、そうか、俺達は遅いんだな、そう思いながら祐介はアリスに言う。
「よし、アリスちゃん!今から競争だ!走ってどちらが春華ちゃんに近づけるか、勝負だぜ!」
「おぉー!いいねぇ!それじゃあ、私がスタートを言うよ、スタート!(先取りぃ!)」
「あっ!?まさかの!?」
アリスの発言に祐介は衝撃を受ける、しまった、急いで『スタート!』と、叫んでおけば良かった、祐介はそんな事を考えながら、アリスに勝たせるように駆け足で春華の方へと向かう。
「はぁはぁ……少しでも!勝つ!(行くんだ私!おーおーおー!)」
アリスは自身を心の声で鼓舞しながら、走る、そして、アリスは春華のお尻目掛けて抱きついた、まさかの衝撃に『ひゃぅっ!?』と、驚く春華、そして春華は背後を見るとお尻に顔を埋(うず)めるアリスを視認する。
「……えっとぉ?どうしたの?アリスちゃん?」
「んー?お兄ちゃんと追いかけっこー!どっちが先に春華お姉ちゃんに近づけるかって勝負ぅー!(見事、私の勝利に納まった!)」
「は、はぁ、成程……?」
アリスの発言に少し首を傾げる春華、そして春華に近付く息を切らした祐介。
「ま、負けた、か……」
息を切らしたと言っても、演技だが、そんな演技をする祐介に対し、祐介の頭を撫でる春華。
「追いつけたねぇー?」
「おぃ?俺はそんなにガキじゃないんだが?」
頭を撫でられ、驚く祐介、そんな祐介に対し、春華は祐介に言う。
「ふーんだ、こんな事を考える祐介君もまだまだお子様ですよーっと!」
「へっ?こんな事?こんな事って何なんだよ……?」
不思議がる祐介に対し、春華は言う。
「秘密ですよーっだっ」
「えっ?秘密って……」
まさかの返答に呆れる祐介、そして、三人は先に進む先宮さんに追いつき、エスカレーターへと乗る──

Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.298 )
日時: 2018/09/15 22:14
名前: 彩都 (ID: ???)  

「……それにしても、遊園地、楽しかったな」
祐介がエスカレーターに乗っている途中、ぼつりと呟いた、するとアリスが返答する。
「そうだね……本当、楽しかった、また来月にも明日にも行きたいね?(マジ楽しかった)」
「はははっ!俺の休みが出来たらなぁ?」
祐介とアリスの会話を聞いていた先宮さんが笑う、確かに今回は『先宮さんの休みが有って』の遊園地だ、先宮さんに休みが現れなかったら、今日みたいに遊ぶ事は出来ない。
「そうだねぇ?だから、また遊べるように日記にでも書いておこうねぇ?」
「うん!そうするよ!(やるぜ!)」
春華の発言にアリスが頷く、そしてエスカレーターを降りて、先宮さんが先に切符を購入しに行く、その待ち時間の間、春華が祐介に言った。
「ゆ、祐介君?少し話良いかな?」
「んっ?あぁ、いいぜ?」
祐介がそう返答すると、春華は祐介に向かい、口を耳に近づけて、小声で言う。
「遊園地での件、私は本気だからね?」
「!?えっ!?ちょっ!?」
まさかの発言に祐介は戸惑ってしまう、えっ?本気?マジで?困った、これは困ったぞぉ!?俺には好きな相手、琴音ちゃんがいるってのに!雲の上の存在なのに!それなのに!春華ちゃんに告白されるなんて……一般人か、有名人か、答えは簡単なんだけれど、でも……俺は琴音ちゃんが好きだ、大好きだ、愛している、だから、春華ちゃんの思いには……!祐介はその場で下を向き、目を閉じ、悩んでいると、隣で先宮さんが『こういう決断は早めにしておいた方が良いぞぉ?』と、耳に近づいて言った。
「!?さ、先宮さん!?」
「おーおー?何だよ何だよぉ?横恋慕的なぁ?全く、お前も隅に置けないなぁ?」
「ちょっ!?先宮さん!俺はまだ決めた訳じゃあ……」
「決めた訳じゃない?じゃあ何で悩んでいるんだよ?答えは簡単だろ?『他に好きな人が居る』って言えばいい、お前は決められないんじゃない、『春華も好き』なんだよ、『春華も好き』、そして『もう一人も好き』、自分の恋心二つと戦っているんだよ、だから、『どっちか一つを早く決めないといけない』んだ、ただ悩むのは簡単だが、決めるのは勇気が要るからな?」
「…………」
自分と先宮さん、二人が春華、アリスから離れているのを確認して、祐介は先宮さんに言う。
「……そう、ですけど…………でも、俺は……」
「……親である俺からしたら、『どうぞ、娘を幸せにしてくれ』って言うけれど?……でも、こればっかりはお前が決めるべき内容だな?親である俺は何時でもカモンだ」
そう言って、先宮さんは祐介に切符を渡し、残りの二人の方に向かって、切符を渡す。
「……何時でも、カモン……」
祐介は先宮さんの発言を繰り返し、唾を飲み込む、どちらか一人、どちらか一人……困ったなぁ?祐介はそう思いながら、改札口に向かう三人を目で追いかけて、ゆっくりと進んだ──今はまだ決められない、まだ、決められない、でも、何時か決めないと、何時か、そう、何時か……祐介はそんな思いを心に秘め、冷酷な眼差しで進む──

「電車電車ぁ!(見る鉄、乗り鉄になりてぇ)」
「はいはいアリスちゃん落ち着いてぇ?」
はしゃぐアリスに対し、春華が宥める、すると、自分の隣に座る先宮さんが『あっ、そーいや祐介ぇ?』と、声をかける。
「お前の家族構成ってどんなん?俺ん所は俺と娘、アリスちゃんの三人だ」
「俺?俺は両親──まぁ、父はたまにしか帰ってきませんが──と俺、の三人です、一応一人っ子で」
「へぇ、俺の家族みてぇだなぁ?でも、俺は妻に逃げられたからなぁ?」
「逃げられた?どうして?」
祐介がそう言うと、『そんなん決まってらぁ』と、発言する
「簡単な事だ、春華をあの施設に置きっぱにしたからな?だから離婚した、でも、俺が指示した事だから、親権は何とか勝ち取ったけどさ?」
「ほうほう……中々に凄い話だなぁ?」
先宮さんの話に祐介が驚いていると、春華が『もう、お父さぁん!そういう話は止めてよね!』と、叫ぶ。
「あぁ、すまんすまん、ちょっと気になった事を話したらこうなった」
「もう……!祐介君も祐介君です!あまり他人の家に介入しないで下さぁいぃ!」
「ご、ごめんよ?でも、何時か結婚する時には、こういう話もしておかないとなぁ?って?」
「……それなら、いいですけれど……」
祐介の発言を聞いて、春華は顔を赤らめ、そっぽを向く、うーん、やっぱり可愛い、自分はこの子が好きなんだなぁ?と、再確認するが、その傍で琴音の顔が浮かぶ。
あぁ、ダメだ、完全に琴音ちゃんと比べてる、あっちは芸能人、こっちは一般人、少しは考えろよ?色々な意味で失礼だろ自分?祐介はそう思いながら、その場で自分を諌める、それにしても、どうして自分はこんなに優柔不断なんだろうか?少しは好きな相手ぐらい決めろよ?祐介は心の中で自問自答をする、だが、その自問自答はすぐに自身への罵倒へと変わる、本当、自分は愚かだ、完全に愚かだ、愚かを通り越して、愚者レベルだ、祐介はそう思いながら、その場で静かに溜息を吐いた──


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