コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 世界終了ハウマッチ!?
- 日時: 2015/10/28 20:57
- 名前: 彩都 (ID: vKymDq2V)
初めまして、彩都(サイト)と申します。
四作目です。
帰宅途中に思い付いた五分クオリティです。
気楽にお読み下さい。
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- Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.299 )
- 日時: 2018/09/16 23:13
- 名前: 彩都 (ID: ???)
「動くな」
そう言って、祐介の頭部に何やら冷たく、重い物を感じた、銃、拳銃だった、えっ?今、一体何が起きている?祐介はそう思いながら、横目で周りを確認する、すると、全身黒づくめ、目にはゴーグルをしている謎の人物が何人もいた、乗客一人一人に、という訳ではなく、乗客一塊に対して一人、というような感じだった。
「……動くなよ?動いたらお前の頭を撃つ」
「…………」
「無言か、よし、いい判断だ、おいお前等!此処は制圧したか!?」
「はい!」
「イエス!」
「おう!」
「分かった!それでは無線で他のメンバーに伝える!」
祐介の頭上に銃を、拳銃を置く存在はその場で叫んで、周りを確認し、他の所に無線をかけていた、成程、他の場所も制圧しているのね?じゃあ、数十人のメンバーか、しまった、ちゃんとこの車両の両数も確認しておけば良かった、確認していたら、何人この電車に入ったかが、この部屋の人数で計算し、大雑把な人数が分かるというのに……しくじったな?自分?祐介はそう思いながら、無線で会話している存在の無線、口、声に耳を集中した。
「……分かった、そっちは?」
『こっち……ない』
「分かった……」
会話が聞き取れない、耳に集中していると、祐介の前にいた存在が叫んだ。
「お前等乗客!お前達は俺達『陽炎の狢(むじな)』によって、包囲された!死にたくなかったら、動くな、反抗するな、スマホや機械類を弄るな!」
「!?」
くそっ、スマホも無理か、ゲームする振りをして、メールしようと思ったが……祐介は『万事休すだ』と、思いながら、その場で息を飲み込んだ、そして祐介は少しの賭けで、目の前の存在に言葉を発す。
「あ、あの、すみません?」
「ん?何だ?」
「この姿勢、きついんで、凭れても、いいですか?」
「好きにしろ」
「あ、有難う御座います……」
よかった、姿勢移動は許された、祐介はそう思いながら、その場で凭れる、背中のクッションが気持ち良い、それにしても、変な名前だ、完全に狂ってる、祐介はそう思いながら、溜息を吐く。
……それにしても、バスジャックならぬ、電車ジャックか……いや、ハイジャックみたいに名前がある筈だ、確か……エキスプレスジャック、トレインジャックだっけ?いや、よく分からんが、祐介はそう思いながら、息を漏らす。
あぁ、俺、此処で死ぬのか?まだ仲間を集めていないし、瑠璃御子さんも外国に行っていないし……まだまだやりたい事は、多いんだ、まだ、死にたくない、行きたい、生きたい、往きたい!色々な所に行きたい!まだまだ老衰迄生きたい!色々な所に、往きたい!!そんな事を思っていると、急に力が湧いて来た、何だこれ?能力の力なのか?……よくは分からないが、今動くのは危険だ、動くにしても、何か隙を見つけないといけない、いや、何かに気を取られたら良いんだ……!何か、何か隙が出てこないか……!?祐介がそう思っていると、優先座席の方から、『えーん、えーん』と、泣き声が聞こえた、この泣き声は独特だ、赤ちゃんだった、その赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた、祐介が顔を向けていると、祐介の前にいた存在が赤ちゃんと赤ちゃんの母親に近づいて、『うるせぇ!ガキの始末は親がしろ!親が何も出来てねぇから、ガキが泣くんだ!』と、叫ぶ、赤ちゃんの母親は泣いている赤ちゃんの頭を撫でながら、『すみませんすみません……』と、頭を下げて、謝っていた。
「ったく……」
祐介の前にいた存在はその場で溜息を吐いて、首を横に振る、すると更に赤ちゃんは泣き始め、完全にあやすのも難しい状況だった。
「……てめぇ!ガキ!黙れって言うのが聞こえねぇのか!?」
祐介の前にいた存在はそう言って、赤ちゃんの片手を掴んで、赤ちゃんを睨む、だが、赤ちゃんは泣き止まないどころが、もっと大声で泣き出した、まるで涙が滝のように溢れ、甲高い泣き声が電車内、いや、一両内を包み込んでいた。
「……黙れって発言、言葉が聞えなかったのか、お前は?」
そう言って、祐介の前にいた存在は赤ちゃんのおでこに拳銃を突きつけた、だが、赤ちゃんはその場で泣き続けるばかりだ。
「止めて下さい!止めて下さい!どうか!どうか我が子だけは!突きつけるなら私に!」
「おい、お前!」
叫ぶ女性に対し、夫と思われる存在が二の腕を叩いて、自分を指差す。
「妻に、我が子に手を出すな!手を出すなら……僕にしろ!」
そう言って、目の前の存在を睨む夫、夫の姿を見て、嫁が『あなた……』と、感涙して、涙を流している、だが、目の前に居る存在は真顔で発言する。
「煩い、黙れよ?黙らないからこうだ」
銃口を赤ちゃんに向け、引き金を引き、バァンッ!と、音を立て、銃弾が放たれた、銃弾は綺麗に、華麗に赤ちゃんの心臓に向かって、『貫いた』、そして銃弾は赤ちゃんの体を通り抜け、更にドアのガラスを突き破った、そして赤ちゃんの体から、赤い液体が漏れる、服を赤い鮮血で濡らし、地面にポタポタと垂れ、落ちる。
「あっ……」
「はぁっ……?」
衝撃を受け、呆然となる赤ちゃんの両親に対し、祐介は怒りのあまり、飛び出て、夫の前にいた存在の顔面を右手の拳で思いっきりぶん殴った、勿論能力を使用して、強化された右手で、だ──
- Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.300 )
- 日時: 2018/09/19 22:42
- 名前: 彩都 (ID: ???)
「てめぇ!?幾ら何でも殺さなくても良いだろ!?一人の大事な命が……!!」
怒りを露わにする祐介に対し、殴られた存在は静かに起き上がって、『てめぇ……!』と、睨む。
「俺達を貶す気か?お前が俺にした事、分かってるよな?」
殴られた存在はその場で祐介の眉間に銃を突きつけ、見つめる。
「お前?俺に歯向かったな?後悔するぜ?」
そう言って、殴られた存在はゆっくりと銃の引き金を引く、銃を突きつけられ、祐介は恐怖心に包まれていなかった。
それもその筈、『能力』により、その『恐怖心』は消えていたからだ、なので、ただ単に眉間に突きつけられた銃を見て、『此処からどう相手を捕まえるか』を考えていた。
「……はぁ、面倒な事をしやがって?」
そう言って、静かに立ち上がり、拳銃を胸ポケットから取り出す先宮さん、そして拳銃を祐介が殴った存在へ、向ける。
「……えっ?兄貴、仲間ですか?」
「なぁに素っ頓狂な事を言ってんだおめぇは!?アイツは仲間じゃない!」
「じゃあ、誰なんですか!?」
「知らねぇよ!おい!?お前、何もんだ!?」
声を荒げる存在に対し、先宮さんは胸ポケットから、警察手帳を取り出して、全員に見せる。
「俺は先宮っていう警察の人間だが?……えーと?『陽炎の狢(むじな)』だっけぇ?お前達の名前、覚えたからな?」
そう言って、先宮さんは声を荒げた存在の足元に拳銃を撃って、威嚇射撃をする。
「お前、俺が連絡さえすれば、捕まるけど?ってか、基本的にトレインジャックって、難しいんだよなぁ?だって、『停まる駅が固定されている』からな?もしもこれが『地下鉄』ならどうだ?地下鉄なら、大丈夫だったんだけどなぁ?やっぱり『同じ穴の狢』ってだけあって、『全員バカ』なんだな?」
「……おい?てめぇ?今迄ごちゃごちゃ言いやがって?おい!お前ら、先宮って奴に銃を向けろ!」
殴られた存在の大声を聞いて、周りのメンバーは先宮さんに銃を向ける、そして先宮さんは静かに殴られた存在に問う。
「なぁ、お前、何がしたいの?」
「何がしたい?そんなの簡単だよ、『バスジャックみたいな事がしたい』からだよ?そして此処にいる人間全員を人質にしてなぁ!一人一人出す代わりに金を請求するんだ!これで俺達の計画は成功する──」
『次はぁ、『縦祭(たてまつり)』駅ぃ、『縦祭(たてまつり)』駅ぃ、ドアは右が開きまぁす……』
「……てめぇ!車掌!俺の発言を遮りやがって!」
殴られた存在が喋っていると、車掌が次の駅を言う、その車掌に対し、殴られた存在が怒鳴る、すると、先宮さんはその場で口の端を歪ませ『これでどうだぁ?』と、何故か笑う。
「な、何が可笑しいんだよ!?おい!?先宮!貴様、どうして笑っているんだぁ!?」
怒鳴りながら不思議そうにする殴られた存在、すると先宮さんは胸ポケットから、スマホを取り出し、画面を少し触った、すると、スマホから、前原さんの声が聞こえた。
「はぁい?『おバカな穴の狢』の皆さぁん?私ぃ、警察の前原と申しますぅ、いやぁ、時間稼ぎ有難う御座いますぅ、先輩もよく頑張りましたね、『次の駅が名乗られる迄、時間を作る』なんて?」
「いやぁ?照れるぜ?」
「ですが、今日二回も警察に電話するって言うのも少し可笑しな話ですがね?巻き込まれ過ぎです」
「うぅっ……煩いなぁ!?」
スマホと会話する先宮さんを見て、『どういう事だ!?』と、叫ぶ殴られた男性、すると先宮さんは溜息を吐きながら発言する。
「はぁ、まだ分からんのかお前等は?簡単だよ?『次の駅が名乗られる迄時間を俺は作った』んだよ?んで、お前達の声、チーム名も聞いた、だから、逮捕するのに時間は掛からんな?」
「なっ……!?って、えっ……つまり『次の駅が名乗られた』って事は、『この電車が何処に向かうかってのも分かる』って事……?」
「そう言う事だよ?つまり、お前、次の駅で逮捕されるぜ?いや、『縦祭』駅の次の駅か、その駅で逮捕されるぜ?」
「なっ……!?」
「な、ナイス、先宮さん……」
驚く殴られた存在に対し、祐介が安堵する、途中から能力は切れ、内心ビビっていた。
「って、てか、何時の間に電話を……!?」
「そんなの簡単だぜ?コイツがでしゃばったお陰で『視線はコイツになった』んだからな?」
先宮さんは祐介を指差し、口の端を歪ませる、えっ?俺?マジで?祐介はそう思いながら、自分を指差し、驚く。
「さぁ、どうする?このまま人を殺して、罪を重ねるか、それとも、何もせずに警察のお縄につくか……それはお前達が決めても良いんだぜ?でも、前者をするにしても、拳銃の弾は消費するし、罪も重くなるぜ?だから、出来れば後者にした方が良いぜ……でも、殴られたあんた、アンタだけは赤子を殺害した容疑で、殺人、銃刀法違反の二つを受ける破目になるけどな?いや、恐喝罪や暴行罪もかぁ?」
その場で口の端を歪ませる先宮さん、完全に空気は先宮さんのペースだった。
そして先宮さんの発言を受けて、殴られた存在以外は、銃を下げた──そして電車は予定通り、『縦祭』駅に停まったが、先に車掌が『縦祭』駅の車掌に連絡しており、この電車を乗車拒否にしてもらっていた為、乗客はいなかった──
- Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.301 )
- 日時: 2018/09/22 22:55
- 名前: 彩都 (ID: ???)
『縦祭』駅に停まった電車だが、時間が経てば、『縦祭』駅を発車し、電車は次の駅へと向かう。
「……お前達、何故銃を下げている?俺達は?そんな、簡単に、終われるのかよ!?俺達は!俺達は国家転覆をしようって話をしたじゃねぇか!?」
一人だけ、一人だけ銃を周りに向ける存在、そんな存在を見て、祐介は静かにゴクリと、唾を飲み込んで発言する。
「お、おい?もうアンタは動いても無駄だ、後は逮捕されるだけ、もう諦めろよ……」
「諦められるか!?俺は……俺は……!相当計画を練って、この行動に移しているんだ!それなのに……それなのにぃ!お前達が俺達の計画を潰しやがったぁ!!」
銃を祐介の額近くに向け、静かに睨む存在、そしてその存在は祐介に言う。
「お前等、俺の計画を邪魔しやがったよな?じゃあ俺はお前達を殺して、計画を成功させる、成功させないといけないんだ、国家は……国家はもう終わっている!さっさと俺達が革命しなければならない!」
「革命した所で警察の仕事は変わらないよ?それでもいいのかよ?」
先宮さんが静かに発言する、周りの武装した存在の武器を回収しながらの発言であった。
「ふんっ、そんなの俺には関係が無い、関係するのはお前達だろ?」
「だろうな?」
先宮さんは返答して、武器をアリス、春華に渡した、本物の武器を見て、春華は『えぇっ……!?』と、驚愕するが、アリスは『古いタイプの銃だなぁ(使いにくいよ?)』と、呟いていた。
「とまぁ、今はどうでもいい、お前達、俺達の計画に参加しろよ?参加しなかったら、コイツを殺す」
「…………」
先宮さんは銃を突きつけられている祐介を見て、発言する。
「殺人罪でお前の罪が重くなるだけだ」
「だろうな?でも、そうでもしないとお前達は俺に参加しない」
「そもそも参加する理由がねぇよ?ほら、祐介君も返答しなよ?」
先宮さんは祐介にそう言うが、祐介はその場で無言を貫いていた、それもその筈、『能力はもう切れている』のだ、なので、集中力が切れ、恐怖感が復活していた、なので、口が開かなかった。
「…………」
「おい?祐介君?」
「……コイツ、銃で恐怖しているぞ?」
「えっ?マジかよ……まぁ、ゲームや何か見て、銃の恐怖を知っているのかと、思えば良いか……」
先宮さんは『コイツ使えねぇなぁ?』と、思いながら、溜息を吐いた、そして祐介に銃を向ける存在が言う。
「さぁ、さっさとお前達も降伏したらどうだ?いい加減に降伏しないと、俺達の計画も進まな──」
『次はぁ、『銅月(あかつき)』駅ぃ、『銅月(あかつき)』駅ぃ、ドアは右が開きまぁす……』
「……おい!?お前!?俺の発言中に!」
祐介に銃を向ける存在は車掌の発言に激怒し、地団太を踏む、そして先宮さんがこの車両の武器を回収し終わり、静かに祐介に銃を向ける存在に発言する。
「……なぁ、もうお前が降伏しろって?此処に警察が来る、お前は逮捕されるんだぜ?」
「煩い、警察だろうが俺を止められない」
「あぁ、そうかい……」
先宮さんが諦めたように深呼吸をする、そして電車は『銅月(あかつき)』駅に停車し、ドアが開く、駅のドアから何人ものの武装した警察が現れる。
「おい!?何とかの狢!お前達を逮捕する!」
「マジか……あの警察の言葉は本当だったか……じゃあ、此処で最後の花、散らせて貰うぜぇ!!」
祐介に銃を向ける存在はそう言って、警察の方や、色々な所にまばらに、適当に、バラバラに拳銃を放つ、だが、拳銃にも制限はある、拳銃の弾を発砲し終り、祐介に銃を向けていた存在は警察に押され、逮捕される。
「大丈夫ですか?」
そう言って、前原とは違う警察官がドアから現れ、春華、アリス、先宮に言う。
「いや?俺は大丈夫だ」
「私もです」
「うん(『魔法』のバリアを使ったからな?)」
「そうですか、それは安心です」
三人の言葉を聞いて、安堵する警察官、そして先宮さんが祐介を呼ぶ。
「おぅい?終わったよぉ?祐介くぅーん?」
だが、返事が無い、どうしたんだろう?そう思い、周りをよく確認し、先宮さんは祐介を発見する、だが、発見した時、目を見開いてしまったが。
「ゆ、祐介君!?祐介君!?」
先宮さんが急いで祐介の許へ移動し、『地面に倒れた祐介』を見る、そして状態確認の為に、うつ伏せの祐介を仰向けにする、すると、『腹部に銃弾が刺さっており、そこから大量に出血をしていた』、そんな祐介を見て、先宮さんは焦る。
「祐介くぅん!?まさかの被弾かよ!?お、おい!逮捕も良いが、怪我人の輸送も頼む!」
「は、はい!」
近くにいた警察官が担架を持ってきて、祐介を乗せ、運ぶ、そして警察官が病院にすぐ連絡した事により、祐介はすぐに近くの病院へと移動する事になり、集中治療を受ける事となった。
まさか、流れ弾が被弾するとは……先宮さんはそう思いながら、担架で運ばれた祐介を追った──そして警察が呼んだ救急車が到着、祐介を乗せた救急車に三人は乗り込み、寝転がる祐介をただただ見つめる、祐介の顔は苦悶の表情で痛そうだった──
- Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.302 )
- 日時: 2018/09/23 22:50
- 名前: 彩都 (ID: ???)
「…………」
「…………」
「…………(暇だ)」
「…………」
先宮さん、春華、アリスは救急車の内部で静かに待機する、真ん中に寝転がっている祐介は動かず、出血を止めようとしている。
「沖絡(おきらく)さん、これ、どうします?」
「寝ているんなら、大丈夫だろう?」
「ですが、痛みのあまり、気絶した可能性があります、もしもこのまま行動し、痛みで起きたら……」
「ふむ、そう言われるとぉ……とりあえず病院へ向かおう」
「はい、分かりました、念の為、止血準備しておきます」
「あいよ」
そう言って、テレビ電話は切れる、そして電話をしていた存在は祐介の腹部を切って、止血準備をする。
祐介の裸が見えるが、血で濡れて、銃弾が刺さった部分は祐介の体の中が見え、少し気持ち悪かった。
「……うっ」
春華は祐介の傷口に耐えられず、口を押さえ、頭を下げた。
「痛々しい……」
先宮さんはそう言って、視線を逸らし、口を噤んだ。
ただ、アリスだけは静かに祐介の止血作業を見続けていた──そして祐介は病院へと運ばれ、手術室へと、運ばれる。
先宮さん達三人は、手術室の前に座って、待機して、祐介の回復を待つ──それから数時間後、手術は成功したようで、すやすや眠る祐介の顔を三人は見れた。
「ほっ……焦らせやがって……後は目覚めるだけだなぁ?」
「そうだね、安心したよ……」
「うん(そうだね)」
先宮さんの発言を受けて、春華、アリスが返答する、するとそんな三人の前に祐介の母が現れる。
「御久し振りです」
「あぁ、御久し振りです」
「それで?バカ息子の容態は?」
「バカ息子って……一応相手を静止させた唯一の存在ですよ?それなのに……」
「人を助け、怪我をするようじゃあ、まだまだバカ息子ですよ?人を助け、怪我をしない、それが立派な息子になりますから……」
祐介の母はそう言って、口の端を歪ませる、そして母は静かに『まぁ、冗談ですけどねぇ?』と、鼻で笑った。
「そんなんで息子が死ぬかよ?面白い冗談ですよね?流石私、素晴らしい!」
「……この人がいて、この息子あり、だなぁ……えっと、話を戻しますが、一応息子さんは安静にして、寝ています、それにしても、出血量が酷くて、結構危ない状態だったようです」
「成程ねぇ?漸く死んだかと思いましたね、先宮さんの電話を受けて?」
「そ、そうですか……」
先宮さんはそう言って、頭を掻く、すると春華が『し、失礼しますがぁ』と、言葉を言う。
「んー?何だい?」
「えっと……貴方は……誰ですかぁ?」
「えっ?私?私は祐介の母親だけど?」
「えっ?嘘吐かないで下さいよ、妹さん、でしょう?」
春華がそう言うと、先宮さんが春華を引っ張って、小声で怒る。
「おい!?あの人は祐介の母親だ!写真を見ただろう!?」
「で、でも、印象が……!」
「印象とかどうでもいいんだよ!」
「……はぁ」
呆れる春華に『まぁ、仕方無いさね?』と、祐介の母が言う。
「はぁ、まさか、二回目の入院とは……我が息子、呆れるぜ」
祐介の母はそう言って、椅子に座り、息を漏らす。
「あーあ、完全につまんねぇなぁ?先宮さんの言葉を聞いて、念の為喪服を着たけど……まだ必要ないかもしれないねぇ?」
そう言って、先宮さんを見る母親、そんな母親に対し、『息子に愛情が無いのか?』と、先宮さんは思う。
「そ、それでは、私達はこれで?入院や検査費用は俺が出します」
「えっ?警察じゃなくて?」
「いえ、一応その時の保護者が俺なので、一応監督として、全て支払わせてもらいます」
「いや、それならいい、他人に迷惑はあまりかけたくないので……」
「そう、ですか……では、少しばかり負担させてもらいます」
「あぁ、はい……」
流石に面倒臭くなったのか、母親は話を終了させる、そして先宮さん、春華、アリスは病院を出て、家へと向かっていた。
「祐介君、心配だなぁ?でも、生きているから安心はしたけれど……」
「そうだな?でも、未だ目覚めていないのは、なぁ?」
「確かに……でも、それは仕方無いと思うんだよねぇ?だって、拳銃だし、弾だし、相当早いでしょ?そんな攻撃が腹部に走ったんだよ?つまり相当痛いし、その痛みで気絶するのも仕方無いよ?お父さんだって、痛くて、泣きそうでしょう?」
「うぐっ……ま、まぁ、確かに若い時代は痛くて泣きそうだったけど、今はもう少しは耐えられるがな?」
「耐えてどうするのさ?痛みに耐えてても無駄だよ」
「そうかもしれないけれど……」
そんな事を言う春華、先宮さんに対し、アリスが、静かに言う。
「……それでも、二人共、お兄ちゃんの事が心配、なんだねぇ……(私には分かる)」
「…………」
「…………」
先宮さん、春華の二人はアリスの発言でものの見事に綺麗に黙ってしまう、確かに祐介は心配だった、もしもこのまま起きなくなったら、このまま亡くなったら……そう思うだけでも恐ろしい、二人はそんな事を思いながら、自宅に到着し、無言のまま家の中に入り、無言のまま、ソファに座って、無言のまま、何処かを見つめていた──
- Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.303 )
- 日時: 2018/09/26 22:18
- 名前: 彩都 (ID: ???)
「…………ん?」
ふと、目が覚めた、目の前に映るのは白い壁、否、白い天井だった。
「……此処、は?」
首を傾げながら、寝ていた存在、祐介が首だけを動かし、右へ、左へと顔を、首を動かす、右側には母がうつらうつらと、頭を前後に揺らしている、そして左には琴音と未来の自分、そして先宮さんが立っていた。
「お、起きた!?」
先宮さんが驚いていると、急に琴音が『もう!心配したんだから!』と、言って、祐介にいきなり抱き付いてきた、急に琴音が抱き付いてきたので、腹部に鈍痛が走った。
「っつぅ……」
琴音が抱きついてきて、腹部にダメージが走った事で、少しだけ記憶が思い出してきた、そういえば、あの時、自分はお腹に拳銃を受けて……と、思っていると、うつらうつらしていた母が、『はっ!?』と、顔を上げて、『ね、寝てませんよね!?』と、先宮さんに問うていた、そんな母に対し、祐介は『綺麗に寝てたわ、母さん?』と、呆れながら言う。
「……えっ?生きてる……?」
「実の息子に対して、よくそんな事が言えるな!?生きてるわ!」
祐介は母にツッコミを入れて、その場で溜息を吐く、そして祐介は静かに先宮さんを見て、問う。
「先宮さん?」
「ん?どうした?」
「あの後、アリスちゃんや春華ちゃんに……被害はありません、か……?」
問うた祐介に対し、先宮さんは静かに近づいて、琴音を引き剥がした後、右手で拳を作って、『祐介の左頬を思いっきりぶん殴った』、いきなりのパンチに祐介はそのままベッドに寝転がる。
「てめぇ!?よくもまぁ、そんな事が言えるなぁ!?お前は……俺やお前の母親、ましてや綾川だって……!お前は他人を心配するより、自分の心配をしろ!!」
「!?えっ!?ど、どういう、どういう事、ですか……?」
寝転びながら驚く祐介、すると琴音がその場で泣きながら、営業用の可愛い声で祐介に言う。
「そうだよぉ!先宮のおじさんの言う通りだよぉ!祐介君は何日寝ていたと思っているのぉ!?」
「えっ?何日……?ど、どういう事だよ……!?い、意味が分からないぞ!二人共、何を言っているんだ!?俺にはさっぱり理解が……!」
祐介がそう言うと、未来の祐介がカレンダーを持って、指を指す、指を指した場所は赤いペケがされている場所の隣、ペケがされていない場所だった、そのペケがされていない場所は『祐介が『安瀬パーク』で遊んだ日にちから『三日』が経って』いた。
「……えっと、どういう事です、祐さん……」
母親、先宮さんが居るので、一応、自身の名前を区切って発言する、すると、未来の祐介は静かに発言する。
「お前……『このカレンダー』を見て、まだ分からないというのか……!?」
「えっ……?い、いや、分かりません、けど……?」
未だ意味が分からない祐介がそう言うと、母が静かに溜息を吐いて、説明する。
「祐介、驚かないで聞いてね?貴方は『安瀬パーク』で遊んでいた後、帰宅中の電車に乗っている途中でトレインジャックが起きて、貴方はジャック犯の流れ弾、凶弾に当たって、『三日も寝ていた』のよ、三日間もすやすやと、寝ていたのよ?」
「…………えっ?」
祐介はそう呟いて、『琴音ちゃん、それって……本当?』と、呟く、すると琴音は静かにスマホを取り出し、電源を入れる、一応病院内なので、スマホに『マナーモード』と、見えるが、スマホの画面には、『『安瀬パーク』で遊んだ日から、三日が経過して』いた。
「…………」
まさかの、まさかの出来事に対し、祐介はその場で口の端を歪ませる、そして祐介は周りを確認して、『三日、三日、経って、いるんですか……?』と、周りの人達に問う、すると周りの人達は静かに頷いた。
「…………」
祐介はその場で無言を続ける、意味が分からない、否、『状況が飲み込めない』のである、皆皆、自分の事を騙している、そう、騙しているのだ、騙しているに違いない、自分がそう思っていると、先宮さんは病室を出て、看護師さんを探していた、そして先宮さんは看護師を見つけ、祐介の病室に呼んだ。
「おっ、起きましたか、長谷川さん?えーと、聞きますけど、本名、フルネーム、言えます?」
そう問う看護師さん、祐介は仕方なく、静かに答える。
「答えるんで、看護師さんも答えて下さい?えーと、長谷川祐介、十七歳……」
「年齢も答えるとは?うん、正解です、えぇ、大正解ですよ?さて、答えたので、祐介君、私に問うて良いですよ?」
そう言う看護師に対し、祐介は静かに問う。
「え、えーと、今日は、今日は……いや、今日で、俺が病院に運ばれて、何日ですか?」
「んー?ちょっとそれは分からないなぁ?ちょっと待っててね?聞いてくる」
看護師さんはそう言って、祐介の病室を出て、数分で戻って来る、そして看護師さんは祐介の前に立ち、静かに言う。
「えーと、調べた所、今日で三日目だねぇ?いやぁ、三日間も君はずっと寝ていたんだってねぇ?凄いね、まるで何日か徹夜した人みたいにすやすや寝ていたらしいねぇ?」
「えっ…………?」
看護師の話を聞いて、祐介は俯いて『嘘だろ?三日も、三日も寝ていたのか?』と、自問する、だが、他答により、答えは明確。
そして祐介はその場で静かに『三日間寝ていた』という現実を受け入れるしかなかった──
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