コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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世界終了ハウマッチ!?
日時: 2015/10/28 20:57
名前: 彩都 (ID: vKymDq2V)  

初めまして、彩都(サイト)と申します。
四作目です。
帰宅途中に思い付いた五分クオリティです。
気楽にお読み下さい。

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Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.134 )
日時: 2017/08/23 21:48
名前: 彩都 (ID: te9LMWl4)  

「何故っ!小さくなったんだ四人共……ッ!いや、アリスちゃんは元々小さかったけど……ってじゃない!何で小さくなったんだ、と考えている途中だった!」
厳魁は走りながら小さくなった原因を考える、いや、小さくなったのでは無い、『遠くに移動したから小さく感じる』だけだ、単純に言ってしまえばただの遠近法である。
だが今の厳魁は遠近法を考えている場合ではなく、サイズでしか判断出来なかった。
「くそっ!走っても走っても近付かない!どうして!?」
厳魁はそう言って、その場で歩みを止めてしまう、そしてその場で深呼吸をして、座り込む。
「一体何なんだ……?」
厳魁がそう呟いた瞬間、『厳魁の脇を高速で移動する物体を見た』、そして高速で移動する物体は急に立ち止まり、厳魁の隣に向かう。
「あれっ?厳魁お兄ちゃん?(どうして此処に?)」
「えっ?アリスちゃん?君こそ……」
高速で移動する物体はアリスだった、アリスは箒に乗って、此方に向かってきたのだった。
「ん?私は皆が離れたから箒に乗って、急に移動したんだけど?(どうして離れたんだろう?)」
アリスの発言を受けて、矢張り離れたのか、と考え、次に遠近法の事を思い出す。
「あぁ、そうか……小さくなった、んじゃない、『小さく見えた』ってだけか……何だ、僕は遠近法さえ忘れる脳味噌だったか……?」
厳魁はそう言って、自分の頭を抱える、するとアリスが厳魁に言う。
「うーん……成程なぁ、『そういう事』になっているんだぁ……厳魁お兄ちゃん、早くこの場所から脱出しよう?(早く早くぅ!)」
アリスは厳魁に手を指し出す、厳魁は不思議そうにアリスを見つめる。
「えっ?何の手?」
「いや、だから脱出するから手を握ってて(早くしてよ)」
「えっ?ちょっと待って?脱出する?何を言っているんだ?僕にも分かるように説明してくれる?」
「…………はぁ(めんどくさいなぁ)」
アリスは静かに溜息を吐いて、厳魁に説明する。
「えーとね、言いたい事は一つ、『私達は離れていない』んだ、其処は分かるかい?(分かるかなぁ?)」
「『私達は離れていない』?それってどういう……」
厳魁がそう言うと、頭を抱えてアリスが苦悶する。
「うおー!めんどくさいぃー!(腹立つぅ!)」
アリスは雄叫びを上げて、イライラしながら帽子を地面に置く、すると『地面に置いた帽子がアリスの許を離れる』のを厳魁は確認する。
「えっ!?アリスちゃん帽子が!?」
「そう、これがこの空間の正体……(説明めんどくさいなぁ)」
アリスは厳魁の言葉を聞いて、静かに腰を曲げ、『遠くに移動した帽子を手に取った』のである、その姿に厳魁は驚愕して息を飲み込む。
「え、えっと……それはどういう原理……?」
厳魁がそう言うと、アリスは帽子を被り直して、静かに言う。
「つまり『視覚のトリック』だよ、厳魁お兄ちゃんは『皆が離れた』と錯覚しているだけ、実際は『誰も離れていない』んだよ、つまり、厳魁お兄ちゃんが言った様に『遠近法』を視覚的に表現しているだけの能力なんだよ、だから実際は『誰も離れていない』、分かる?(流石に分かるでしょ?)」
アリスの発言を受けて、厳魁が言う。
「つ、つまり、アリスちゃん、祐介さん、先宮さん、弓華さんは『実際には離れていない』、『遠近法を使って、近くの物を遠くに見せている』って事かな……?」
「まぁ、極論そう言う事(やっと分かったかぁ)」
アリスはホッと胸を撫で下ろして、厳魁を見つめる。
「だけれど、その能力を分かったからと言って、『この空間を脱出することは出来ない』んだ、まだ、まだ攻略法が見つかっていない……!(一体全体どうしたら?)」
アリスの発言を受け、『ん?』と思ってしまう、一体何を言っているのか、アリスちゃんは……?
「えっ?気付かなかったの?ほら、厳魁お兄ちゃんを横目で通った時に立ち止まったでしょう?あの時なんだけどさぁ?(驚いたなぁ)」
「え、えぇ、確かに……」
アリスの言葉に厳魁は静かに頷いて話を聞く。
「何で『立ち止まった』か、分かる?(分かるかなぁ?)」
「えっと、それは分からないなぁ……?」
「だよねぇ、では答を明かそう、実は『見えない壁にぶつかったから』なんだよねぇ(アハハ!)」
軽快に言うアリスちゃんを見て、『はぁ?』と思ってしまう。
「いや、いやいや、何で見えない壁があるんだよ?可笑しいじゃないか、だってこの道に見えない壁なんて……」
厳魁がそう言うと、アリスが口の端を歪ませて言う。
「簡単だよ、『この道に能力者が二人居る』んだよ、それなら解決出来る、『透明な壁を作る』能力者と、『遠近法を操る』能力者の二人ってね?(これなら完璧!)」
「あぁ、それなら有り得るね……成程、ある程度の事は分かったよ、それじゃあアリスちゃん、早く脱出しようか?」
厳魁はそう言ってアリスに手を差し出す、するとアリスは静かに厳魁の手を取って言う。
「うん、分かった、急ごう(早く向かおう!)」
アリスはそう言って、箒で素早く移動する──厳魁とアリスはこの空間を脱出する事が出来るだろうか?それは二人にも分からない──

Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.135 )
日時: 2017/08/26 21:43
名前: 彩都 (ID: EZ3wiCAd)  

二人はまず近くに居た存在──祐介だ──の許へと移動する。
「あっ!あれは祐介さんだ!」
「祐介お兄ちゃんかぁ(へぇ)」
アリスと厳魁はそう呟いて、祐介の前に立ち止まる。
「あれっ!?二人共あんなに小さかったのにもう近くに……?」
「その話は良いから、急いで他の二人を集めないと……!(急ごう)」
「そ、そう言う事なので、僕の手を掴んで下さい」
「えっ?ちょっと待って、話が見えないんだけど!?」
「話は見えなくても良い!後で話すから!(早く厳魁お兄ちゃんの手を掴んで!)」
アリスの鬼気迫る顔を見て、祐介は静かに厳魁の手を掴んで、箒ごと高速で移動する、そして弓華が見えたので、弓華を捕まえる事にする。
「次は弓華さんか!」
「おっけ、分かった(さぁ、捕まえよう)」
アリスはそう呟いて、弓華の前に移動する。
「うおっ!?こんなに小さかった三人が目の前に!?」
「今はそんな事どうでもいい!とりあえず、先宮のおじさんの所に向かうよ!(早く手を掴んで!)」
「そんな事どうでもいいって……はぁ、仕方無い、話は後で聞くよ!」
弓華はそう言って、祐介の手を掴む、そしてアリスは急いで先宮の方へと向かう。
「あっ!最後だな!(これで終わり!)」
アリスはそう言って、先宮の前に立ち止まる、次に三人が手を離し、降りる。
「うぉっ!?何で四人が!?あんなに遠くに居たのに!?」
「今はそんな事どうでもいいから、説明させて?(急いでいる)」
「えっ?説明って?」
先宮がそう言うと、アリスは静かに言う。
「えーと……弓華お姉ちゃんの能力って、怪力系の能力だよね?どんな能力?(知りたいなぁ)」
アリスの発言を受け、弓華が不思議そうな表情で答える。
「えぇっ?私の能力かい?私の能力は『自分の体重の約十倍の力を出す事が出来る』能力、『倍々体重』だけど?」
「ふぅむ……それなら、私に考えがある、良かった、弓華お姉ちゃんがその『能力』を持っていて(安心だぁ)」
アリスの言葉を聞いて、弓華は不思議がる。
「ねぇ、アリスちゃんの言っている事が良く分からないんだけど?」
「大丈夫、俺にも分からない」
「僕もです」
「お、俺も……」
弓華の発言に祐介、厳魁、先宮が言葉を発す、三人の言葉に対し、弓華は頭を抱える。
「一体アリスちゃんは何をしたいんだ?私には良く分からない、だからもう少し分かりやすい様に説明してくれないか?」
弓華がアリスにそう言うと、アリスは静かに言う。
「簡単だよ、『この空間の脱出方法』だよ、弓華お姉ちゃんの能力があると凄く助かるんだ……!(やったね!)」
「えっ?」
「えーとね、簡単に言えば、『弓華お姉ちゃんの能力を使用して、壁を強引に壊す』作戦なんだ(簡単でしょ)」
「あっ……あぁ、成程ね、力技で壊すのか、それなら私の力が使えるな」
「うん、だから私が魔法で弓華お姉ちゃんを強化して、弓華お姉ちゃんに強化した能力を使用してもらい、壁を力技で壊すって事(分かった?)」
「おっけー、それじゃあ何時もの三倍程度の力で壁を壊すとしますか」
弓華とアリスの会話、弓華がそう言うとアリスは静かに首を横に振って弓華に言う。
「いいや、違うよ、私が魔法で強化する倍率は『十倍』だよ(フフフ……)」
「そっか、それなら三倍×十倍で……三十倍か、よし、それなら結構な力が使えるな」
「…………それも違う、弓華お姉ちゃんの倍率はマックスの『十倍』だよ!そして私の十倍も来るから……(フッフッフッ……)」
「ま、まさか、『百倍』ってかぁ!?」
アリスの発言を受け、弓華が驚愕する、アリスは静かに頷く。
「相手の予想を裏切って、予想の倍以上の破壊力にするには百倍程度、いや、百倍では物足りないかもしれない、だから予想として、百倍の力で攻撃する、そして壊れたら私達の勝ち、壊れなかったら相手の勝ちになる(どうだろう?)」
アリスの発言を聞いて、四人は固まる、強化するにしても……『弓華の体が持つかどうか』の問題である、そんな事、仲間でもさせたくない……と、男三人組が思っていると、弓華はただ一人、体を動かしていた。
「うーん、百倍かぁ……耐えられるかなぁ?」
「なっ!?何言っているんですか!?最悪死ぬかもしれませんよ!?」
「いいよいいよ、だって、私達は『仲間』だろ?仲間の為に死ねるなら本望だぜ」
弓華の発言を聞いて、厳魁は歯を食い縛る、これから頑張ろうとしている人に対し止めようとするなんて……残った僕に出来る事はただ一つ、『応援する』事のみ!厳魁はそう思い、弓華に言う。
「弓華さん、無理だけはしないで下さいよ、僕の今の願いは『五人が五体満足で自分の家に帰る』事なんですから」
「わぁってるよ……」
弓華はそう言って、アリスを見て、発言する。
「んで、何処で壁を壊せば良いんだ?」
「あぁ、それは一番奥だよ、最初に厳魁お兄ちゃんが居た場所(分かるかな?)」
アリスの発言を聞いて、厳魁が言う。
「えっ?あの場所かい?」
「うん、そうだよ、其処が入り口に一番近いし(楽でしょ)』
「へぇ……それなら其処に移動しよう」
弓華はアリスにそう言うと、アリスは静かに頷く、そしてアリスは四人を箒に乗せて、最初に厳魁が居た場所へと移動する──見えない壁を壊せるかどうかは分からない──

Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.136 )
日時: 2017/08/27 21:34
名前: 彩都 (ID: ET0e/DSO)  

五人は箒で移動して、最初に厳魁が居た場所に辿り着く、そして祐介が前に進んで、途中で止まる。
「ありっ?本当に見えない壁があるのか……これ、壊せるかなぁ?」
「どうだろうねぇ?私の能力で壊せたら凄い、と思うけれど……」
「弓華お姉ちゃん、準備は良い?(能力フル使用OK?)」
祐介の言葉に返答する弓華、すると背後からアリスの言葉が聞こえる。
「んー?そうだな、精々十秒程欲しいね、能力をフルで使用するには待機時間が必要だね」
「ふむ、分かった、それじゃあ何時でも発動出来るように魔法陣だけは作っておくよ(急いでね)」
アリスはそう言って、呪文を詠唱し、背後に魔法陣を作る、そして弓華も大きく息を吸って、能力を発動する。
「『倍々体重』!フル!」
弓華はそう言って右手に一気に能力を集める、二倍、三倍、四倍、と倍率が上がっていく。
そして数秒後、最大倍率の十倍になる。
「今だ!アリスちゃん!」
「おっけ!分かった!(いっけぇ!)」
弓華の叫び声に呼応して、アリスが弓華の右手に魔法をかける、すると弓華の右手に力が宿るのを感じた、すげぇ、こんな力初めてだ……!弓華はそう思いながら見えない壁に向かって右手のパンチをぶつける。
「おらぁ!『倍々体重』ワンハンドレット!」
弓華はそう言って、約百倍もののパンチを見えない壁にぶつけた、すると見えない壁は『パキキ……』と音を立てて割れていき、最終的に崩れる……そして祐介達の前に現れたのは所長室の前に座る二人の人間だった、一人は祐介達を離れさせた人物だが、もう一人は分からない。
「あっ、壊されちゃったか、壁」
「そうみたい」
「あーあ、もう少し壁の中に居ると思ったのに……」
「この賭け(ゲーム)、私の勝ちのようね?」
「そうだね」
二人が会話する中、祐介が割って入る。
「えっ?いや、何の話を……」
「ん?貴方達が僕の能力で『閉じ込めた』、そして『脱出出来るか』って話です、僕は彼女と賭けていました、『貴方達が脱出出来る、出来ない』を」
「成程、俺達で賭け事していたと?」
「ピンポンです、でも凄いですね、黒服のお姉さん、中々の怪力です」
もう一人がそう言うと、弓華が怒鳴る。
「これは黒のライダースーツ!」
「あっ、それはすみません……でも、破られたからには、もう一度『閉じ込め』なくてはなりませんよね……ですが僕はしません、何故なら『能力を発動する体力が無い』からです、僕の能力は『発動し、維持する為には体力を使用しなくてはなりません』からね、この勝負、実質貴方達の勝ちです、これ以上僕は何も出来ません」
もう一人がそう言う、すると祐介達を離れさせた人物が言う。
「そう言う事、それじゃあ先に進みなさい?私達は敗者、敗者は敵を通さなければならないからね」
「そんなルール無いけれど……でも、一つ聞きたい事が」
祐介達を離れさせた人物の発言を聞いて、厳魁が問う。
「ん?何かしら?スリーサイズは答えないわよ?」
「いや、誰もそれは言っていない……君達は何者だ?名前は?年齢は?能力は?」
厳魁の質問攻めを聞いて、静かに二人は発言する。
「じゃあ僕から……僕の名前は頤鰓(おとがい あぎと)と申します、年齢は12歳、能力は『見た対象を箱に閉じ込める』能力です……簡単に言えば、『箱庭に人間を閉じ込める能力』、と考えた方がいいですね」
「つまり『見えない壁』を作ったのも君?」
もう一人──基、頤鰓が言う、鰓のセリフに対し、厳魁が言う。
「あっ、はい」
「成程……それでは君は?」
鰓の言葉を聞いて、頷く厳魁、次に祐介達を離れさせた人物に問う。
「私?私は姫井姫久美(ひめい きくみ)、年齢は28歳、能力は『伸ばす』能力、そして私が抱いているクマさんはクマタロウと言うの」
「成程……って、年齢、今さっき何と言った?」
祐介達を離れさせた人物──基、姫井姫久美が言う、すると厳魁が姫久美の年齢を再度聞く、姫久美は仕方なく、もう一度年齢を言う。
「えっ?いや、だから、私の年齢は28歳って」
「……えっ?」
「はぁっ?」
「えぇっ!?」
「はい?」
「うっそぉ?(若作りし過ぎじゃない?)」
厳魁、祐介、弓華、先宮、アリスの順番で驚愕の声を荒げる、すると姫久美が言う。
「別に私みたいな三十路間近の女が小さくても良いじゃない、生まれ付き身長が低い家庭で育ったんだから……」
「あっ、うん……んで、能力なんだけど……まさか『僕達の間を伸ばして離れさせた』って事?」
驚愕しながら厳魁は姫久美に言う、すると姫久美は静かに言う。
「えぇ、そうよ、伸ばしている間、大変だったわ、『何時、気付かれない様に伸ばすか』が重要だったし……」
「道理で祐介さん達が小さく見えたのか……まさか物理的に地面を伸ばして、小さくさせた、のか……中々に恐ろしい能力だなぁ」
厳魁はそう言って、その場で溜息を吐く、そして姫久美が言う。
「ほら、さっさと進みなさい、貴方達は先に進む為に此処迄来たんでしょ?此処で立ち止まってはいけないわ」
「た、確かに……」
厳魁はそう言って、扉を前に立つ、この先に所長が……『『神』を製作する機関』の最深部に到着する……!厳魁はそう思いながらその場で深呼吸する、すると姫久美が言う。
「だからさっさと進みなさいって!遅い男は嫌われるわよ!?」
姫久美は飛び蹴りをして、厳魁の腰を蹴る、すると厳魁は悲鳴を上げる。
「ぎゃぁ!?あ、あのですねぇ!?少しは緊張感持って進みたいんですよ!」
「そんな事している場合があったら、先に進む!何度も手間かけさせんじゃないわよ!」
確かに姫久美さんの言う通りなんだけれど……厳魁は意を決して、四人に言う。
「皆さん有難う御座います、此処迄来れたのは皆さんのお陰です、本当に有難う御座います!」
厳魁はそう言って、四人に頭を下げる、すると四人が厳魁に言う。
「そんな事を言うなよ厳魁君?俺達は『仲間』じゃないか」
「そうだぜ厳魁君?」
「そうだよぉ(そうだよね)」
「そうだな」
先宮、弓華、アリス、祐介の四人が言う、厳魁は涙を流さずに言う。
「皆……本当に有難う!今日という日は忘れないと思う!さぁ、進みましょう!」
「おう!」
「あぁ!」
「そうだなぁ!」
「うん!(行くぞぉ!)」
厳魁の言葉に対し、祐介、弓華、先宮、アリスが順々に頷く、そして五人は扉を開けて、前へと、先へと進む──扉の奥には何があるか、厳魁以外の四人には分からない──

Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.137 )
日時: 2017/08/30 21:37
名前: 彩都 (ID: Btri0/Fl)  

「それにしてもあの二人、優しいですね、攻撃せずに身を引いてくれて」
厳魁はそう言って、扉の近くにあるボタンを押し、扉を開放させる、そして扉に向かおうとした時だった、厳魁の頭部に黒く冷たいモノが当たる、厳魁は静かに冷たく感じる頭部を見る、すると其処には『拳銃』があった。
「よぉ厳魁君、懐かしいな、何年振りだ?」
「あ、あぁ……!アンタは!」
厳魁は拳銃を持つ者を静かに睨んで怒りを露わにする。
「久し振り、厳魁君……おっと、自己紹介を忘れていたな……私はこの研究所の所長、後先麗美(あとさき れいみ)だ、初めまして?厳魁君達侵入者さん?」
拳銃を持つ者──基、後先麗美はそう言って右手を折り曲げて、頭を下げる。
「あ、アンタがこの場所の所長ってか……!」
先宮はそう言って麗美を睨む、すると麗美は静かに顔を上げるや否や両手を前に出して全力で振る。
「ま、待て待て!落ち着けって!まだ何もしていないだろ!?」
「『もうした後』の間違いだろ?」
祐介は麗美を睨みながら発言する、すると麗美は『うぅっ』と呻いてから頷く。
「ま、まぁ、確かにそうだけどさ?でもさ、でもさ?少しは待つって事をしてくれても良いじゃない?」
麗美はそう言って両手の人差し指を何度も突付く。
「そんな事出来ねぇよ、俺達はさっさとこの施設を壊して、脱出するんだ、急がないと」
祐介は、麗美を睨みながら言う、そして麗美は静かに反論する。
「壊すのだけは勘弁して欲しいなぁ……」
「それは無理です、麗美さん……僕は研究資料を見て、貴方の行っている驚愕な実験を阻止する為に『仲間』を作ったんです、だから壊すのだけは勘弁、なんて言い訳聞きません!」
厳魁の言葉を聞いて、麗美は舌打ちをする、そして麗美は静かに言う。
「んでぇ?厳魁君は『私の計画』の何処迄を見たんだい?もしかして全て?」
「はい、そうです」
「うーん、それは困ったなぁ……それじゃあ生きて帰す事はダメだねぇ?」
麗美はそう言って指を鳴らす、すると何人ものの黒服の格好の男女が現れる。
「さて、生かして帰しちゃいけないし、此処で死んでもらおうか?」
麗美の指揮の下、黒服達が内ポケットから拳銃を取り出して、祐介達に向ける、すると厳魁が言う。
「麗美さん、そんな事をして何になるんですか?他にも通信手段はある、この会話を録音して、僕の弟に送りつけて警察に突きつける事も可能ですし、先宮さんという警察の知り合いも居ますし、すぐさま此処の犯罪がバレるんじゃないんですかね?だから迂闊に傷付けられないんじゃないですかねぇ……?」
厳魁の言葉を聞いて、静かに麗美が睨み付ける。
「へぇ、厳魁君ってそこ迄『私の計画』に反対するんだぁ?酷いなぁ」
「酷い?何処がですか?逆に能力者の方が可哀想だ!何人も何人も死んで……カセットにさせられて……!最終的には『全人類能力者化計画』だって!?巫山戯るのだって、大概にしろ!お前には能力者の無惨な死に対し、何も思わないのか!?」
厳魁の怒鳴り声が扉前に響く、そしてキョトンとした顔で麗美は厳魁に言う。
「何も思わないし、何も感じない、だって私は『無能力者』だよ?能力者の気持ちなんか分かるか?いいや、分からない!逆にお前達に聞く!『お前達こそ『無能力者』の事を考えた事がある』のか!?ないだろ!?そりゃそうだろうなぁ!『能力』さえあれば!『時を止める』能力があればどうだ!?『時を止めて無銭飲食が可能』じゃないか!『時を巻き戻す』能力があれば『どんな不運だって回避する事が出来る』だろうが!『運命を操る』能力があれば、『自分の人生薔薇色』じゃないか!『金を生み出す』能力があれば、『高値で買い取ってもらえて億万長者』だ!『幸運になる』能力があれば、能力を使って『どんなに素晴らしい人生は歩める』か!?どうだ!?お前等の持っている『能力』とはこういう風に使えるのだ!こんな感じで何でもかんでも出来る!それが『能力』というモノだ!そんな『能力』でさえ、持っていない者が存在する!それが私達『無能力者』だ!分かるか!?『『能力』が無くて噎(むせ)び泣く者が居る』事を!?あぁ、そうだ、お前達『能力者』には分かりませんよねぇ!?ねぇ!?」
キョトンとした表情から一転、一気に苛つきを見せる麗美に対し、厳魁が戸惑う。
「あ、あぁ……!」
「厳魁君!惑わされるな!コイツの方が完全に悪だ!どれだけ言われてもコイツがやっている事は悪なんだ!」
祐介がそう言って厳魁を落ち着かせようとする、だが麗美が祐介の肩に指を指して宣言する。
「黒服、コイツの肩に銃を放って」
黒服は麗美の言葉を受け取って、手に持った拳銃を構えて、撃鉄を動かして照準を合わせ、無言で発砲する、そして発砲した弾は素早く祐介の肩を撃ち抜いた。
「!?ぐっ!」
祐介は肩を押さえて痛みを堪える、生憎撃たれたのが左肩で良かった、もしも右肩だったら……利き手が使えなくなってしまう、祐介はそう思いながら、その場で溜息を吐く。
「はぁ、助かった……」
「た、助かっただと!?貴様どんな能力だ!?」
麗美の言葉を聞いて祐介が答える。
「別に使えない能力だよ、だから言わない」
「なっ!?ど、どんな能力か気になってしまう!」
麗美はそう叫んで祐介を睨む──祐介は左肩を押さえながらアリスに回復魔法をかけてもらおうと考える──かけてもらえるかは分からないが──

Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.138 )
日時: 2017/09/02 21:00
名前: 彩都 (ID: Z/MkaSMy)  

「あぁ、もう、あぁ、もぉ、イライラするなぁ……!」
麗美はそう言って祐介達を睨んで苛つきを見せる、そして麗美は後ろの方に走って逃げる。
「あっ!?待て!」
「厳魁君落ち着け!目の前には敵が居る!その敵を排除しなければ!」
先宮がそう言って厳魁の体を掴む、そして厳魁は唸り声を上げる。
「うぅっ……!」
「仕方無い、一気に倒そう(魔法でちょちょいのちょい)」
唸る厳魁に対し、アリスがそう言って、呪文を唱える、そしてアリスの背後から魔法陣が現れ、『巨大な手』が現れる。
「現れよ、『ヘカトンケイルの巨手』!(行け!)」
アリスの『ヘカトンケイルの巨手』は黒服達を横払いし、気絶させる。
「有難うアリスちゃん!皆さん急いで麗美さんを追いかけましょう!」
厳魁はそう言って先宮から離れ、麗美を追いかける──四人も静かに頷いて厳魁の後ろに着いて行く──

「フフ、フフフ……ねぇ、『アナタ』はどう考える?『侵入者が此処に来た場合、どうする』の?」
「…………」
「ねぇ、無言は酷いわ、回答は?」
「…………」
「…………はぁ」
無言のまま『アナタ』と呼ばれた存在は目の前の原稿用紙にさらさらとシャーペンで絵を描く。
麗美は椅子に座って、机の上の原稿用紙に絵を描く『アナタ』と呼ばれた存在の顎のエラ部分を両手で包んで言葉を聞こうとする、だが『アナタ』と呼ばれた存在は何も答えない。
そして『アナタ』と呼ばれた存在はシャーペンで簡単に絵を描き、構図、コマ割り、絵の中の登場人物に十字の線を描く、横線は若干上に引かれていて、まるでキリストの十字架のようだった。
次に『アナタ』と呼ばれた存在は先が細いペンでコマの枠を書き、他のペンに換え、インクをつけて、コマの中の人物の表情や髪の周りをサッと描き、次に筆で人物の髪を塗っていく。
『アナタ』と呼ばれた存在が描いたのは、傍から見れば『漫画』の様に見えた、麗美は静かに『アナタ』と呼ばれた存在が作った漫画を見る。
その漫画はとても面白く、とても先が気になった、だが此処で不思議な感覚を覚えた、『あれっ?その先は何処にあるのだろう、見付からない』……?だった。
「ねぇ、これの続きは?」
「…………」
『アナタ』と呼ばれた存在は目の前の紙を指で突付いた、まさかだとは思うが、『その作は出来ていない』というのか……?麗美は静かに『アナタ』と呼ばれた存在に言う。
「ね、ねぇ……もしかして『完成していない』って事?」
「…………」
『アナタ』と呼ばれた存在は静かに頷く、そして描いた紙を麗美から奪って、右端に小さい『何か』を書く、何を書いたのか気になっていると、『アナタ』と呼ばれた存在は麗美に紙を渡す、右端を確認すると、右端には『①』と書いてあった。
えっ……?と思い、麗美は驚愕する、まさか『①』というのは……『1ページ目』と言う事か!?まさか1ページ目で此処迄面白いとは……漫画とは『起承転結』で物語が進む、そしてまだ1ページ目と言う事は……『起承転結の『起』の部分』だという事!そしてたった1ページ目で面白い、と言う事は『2ページ以降はもっと面白い』と言う事!な、何つー奴だ……麗美はそう思いながら頬から伝う汗を拭う。
麗美はその場で紙を置き、『アナタ』と呼ばれた存在に言う。
「ねぇ……『『アナタ』の漫画を狙う輩が現れた』わ、もしも『アナタ』がその人物と出会うとどうなると思う?『ペンと紙を奪われる』わ、だから奪われたくなかったら戦って?」
『アナタ』と呼ばれた存在は麗美の発言を受け、目を見開く、『それだけは厭だ!』と言いたげな『アナタ』と呼ばれた存在は首を振って拒否する。
「だからよ?『アナタ』の『能力』で侵入者五人を倒して?私が紙とペンを護っておくからさ?」
「…………」
『アナタ』と呼ばれた存在は静かに頷いて、その場から立ち上がって、右手を強く握り、拳を作る。
そして『アナタ』と呼ばれた存在はゆっくりと部屋の真ん中に立ち、深呼吸をして出入口のドアを睨む──

「ど、何処だ……?」
厳魁はそう呟いて周りを確認する、首を横に振っても、存在するのは壁のみ、そもそもとして何処に逃げたのかもさえ分からない、最悪隠し扉等で隠れて移動したのか?と思って壁に触れてみるが何も無い、壁をノックして、奥に空間があるか確認しても、鈍い音がして、何も無い。
果たして麗美さんは何処に逃げたのだろうか?そう思っていると、後ろから祐介、アリス、弓華、先宮が現れた。
「おぅい!厳魁くぅん!?どうだい、あの女性は見付かったかい?」
「いえ、それが……見つかっていないですね、隠し扉とか調べましたけど……無かったです」
厳魁の発言を受けて、『成程』と先宮が顎に手を当てる──果たして何処に逃げたのか……そう思っていると、物音が聞こえたので、『近くに自分達以外の誰かが居る』と判断する。
何処に何があるか?と思っていると、祐介が壁の小さな隙間から『白い光』が見えた。
「…………えっと、皆さん、あの微かな光、分かります?」
「えっ?あぁ、よくよく見ればあるな……」
先宮が祐介の言葉に返答する、そして祐介が四人に言う。
「ちょっと確認してみますね」
祐介はそう言って微かな光の前に立って、壁に触れようとする、すると壁が急に横に開く、扉が開いた後、いきなり強烈な白い光が祐介を包む、そして祐介の前に『アナタ』と呼ばれた存在が見える、祐介は『アナタ』と呼ばれた存在を見て驚愕する──


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