コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 世界終了ハウマッチ!?
- 日時: 2015/10/28 20:57
- 名前: 彩都 (ID: vKymDq2V)
初めまして、彩都(サイト)と申します。
四作目です。
帰宅途中に思い付いた五分クオリティです。
気楽にお読み下さい。
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- Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.144 )
- 日時: 2017/09/16 21:12
- 名前: 彩都 (ID: 1Fvr9aUF)
「う、うぅっ……!ど、どうせお前等には分からないよな!?能力者はどうせ無能力者の事を!気持ちを!」
「分かるさ」
泣き始める麗美に一言入れる厳魁、そして言葉を続ける。
「分かるよ、だって、僕は『無能力者側』なんだから……『屋外に出たら雨が降る能力』だって?そんなのただの雨男じゃないか?それを能力と扱わなかったら……僕はただの一般人、無能力者じゃないか」
「うっ、煩い!それでも能力は持っている!何れ無能力者は能力者に消される!もしくは蔑まされる!それを私は阻止したいだけ!」
「無駄だよ、だって、人は自分以外を傷付けないと生きていけないんだ、それが人間の本能だ」
「そうだとしても私はそれを守りたい!」
「だからと言って、他の能力者の能力を奪って殺してしまったら元も子もないんじゃ?逆に無能力者が能力者になるかもしれないじゃないか?その可能性を見つけようとはしないのか?」
「う、煩い煩い!アンタに何が分かるの!?どうせ私は『一生能力に目覚める事が出来ない』のよ!?それなのに分かるの!?」
麗美の発言を受け、祐介が静かに返答する。
「『一生能力に目覚める事が出来ない』?それってどういう……」
「あぁ?……簡単に言えば、私は『能力の生成』を目的としていた、『能力を大量に自らの手で作れば、どんな人間も大量に能力者になる』って考えていたの、でもね?能力が完成しました、それを液体状にして、私の血管に注射しました、なのに能力が出なかった!つまり私は『どんな能力にも見捨てられた』のよ!色々な能力を作って、自らの体に試した!だけど『何の反応も何の出来事も何の変化も起きなかった』わ!可笑しいじゃない!神は私を見捨てたの!?だから、どんな能力でも使えるように、『神になる』能力を作り上げたわ!一つしか作っていないから、私に適合するか試してみたわ、でも……でも!私と適合しなかった!だから!他の人にこの『力』を使って、他人を『神』にして、何で『私に能力が付与されないのか?』を聞く為に適合者であった石動鳴動をあの手この手で誘惑し、何とか能力を植え付けたわ……でも彼は『漫画の事にしか能力を使用しなかった』のよ!?私の事なんかほっといて、漫画生活!彼は『描きたい物が増えた』と言って、段々と絵が粗くなる代わりに何作も何作も漫画を描き続けた!そして時間が経って、貴方達が攻めて来た!もう何もかも無駄よ!『能力を覚える事が出来ない私』には、何も出来ない!私はもう……もう!この研究を進めていても、『能力を覚える事が出来ない』のよ!」
「…………」
麗美の話を聞いて、六人は無言のまま、固まる、そして先宮が声を出した。
「ちょっと待てよ?じゃあ俺の娘の能力はどうなるんだ?」
「はぁ?アンタの娘ぇ?何の話よ?」
「いや、俺は元々無能力者だったんだが、娘の力で能力者になったんだよ、んで、娘の能力が『どんな存在にも能力を植え付ける』能力なんだ、だからお前でも能力を使えるんじゃないかなぁ?と思ってなぁ……どうだ?試してみる価値はあるだろう?」
「無いじゃない、『私には全ての能力が発動出来ない』の!遺伝子でそう決まっていたんだから!『能力者にはある遺伝子があるんだけど、私の遺伝子には無かった』の!だから発動出来ないし、植え付けても使用する事が不能!無理なものは無理なの!」
「無理?そんな訳があるか!?そこで諦めるつもりか!?僕は諦めずに漫画を書いて、そして入賞して漫画を連載する事が出来、漫画家になったんだ!何もかも諦めてはダメだ!じゃあ僕がその遺伝子を能力で創る!それでいいだろう!?」
先宮の次に石動鳴動が叫んで麗美に言う、だが麗美は目を押さえ、涙を堪えながら反論する。
「それでも無理よ!もう……私には能力が使用出来ないのよ……無駄なのよ……この世には無駄があるわ、その『無駄』の中に無能力者の私が居るんだわ……能力を植え付ける事が出来ない人間なんてもう要らないわ……さようなら皆さん、来世で逢いましょう?」
麗美はそう言って、自分のこめかみに拳銃を突き立てて……引金(トリガー)を引いた──たった一瞬の出来事だった、頭部から大量に出血する麗美を見ながら厳魁は叫ぶ。
「うわぁぁぁ!?れ、麗美さん!麗美さん!!」
「厳魁君!体には触れるな!まだ生きている可能性がある、そこで揺らしてしまって状況が悪化してはダメだ!」
先宮がそう言って厳魁を抱き締め、麗美に触れる事を止める、厳魁は涙を流しながら麗美に近付こうとする。
「私の、魔法で……!(行くよ!)」
アリスがそう言って魔法を詠唱しようとする、だが右手を前に出して、石動鳴動がアリスの詠唱を止める。
「止めておけ、ここで生き返らせても、彼女は咽(むせ)び泣くかもしれない、そしてもう一度自殺……という可能性がある」
石動鳴動の発言を聞いて、祐介が石動鳴動の胸倉を掴んで叫ぶ。
「巫山戯ないでくださいよ!人の命がかかっているんだ!なぁに呑気な事を言っているんだ!?さぁ、アリスちゃん、魔法を!」
「う、うん!(分かった!)」
「人の話は最後迄聞いて欲しいね」
石動鳴動はそう言って、その場で溜息を吐く──麗美はアリスによって助かるか……それは魔法を使わないと分からない──
- Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.145 )
- 日時: 2017/09/17 22:03
- 名前: 彩都 (ID: kEC/cLVA)
「な、何なんだよ、話って……?」
溜息を吐いた石動鳴動を見つめ、祐介が言う、そして石動鳴動が周りの五人に説明する。
「まぁ、待てって、簡単に言えばな、『傷を回復し、復活させてももう一回自殺って可能性が高い』と言っているんだ、だって、『自分が死ねなかったんだ』ぜ?何度も何度も復活させては自殺って可能性が高い、だからどうするか?」
「ど、どうするか……?そんな事はどうでもいいんだよ!今は人の命が……!」
「だから『記憶を消す』んだ、能力者とか、色々とな?そして記憶を消した後、僕の能力で怪我と痛みを無かった事にしよう、それで万事解決じゃないか?」
「…………確かに、『記憶を消さないと何度も何度も自分に絶望して、自殺』って可能性がある……でも、記憶を消すって事は……」
「うん、此処での研究、地位、その他諸々を失う事になる、でもそれ位しないと彼女の考えは消えないと思うんだ、あぁ、大丈夫、僕は彼女と結婚さえすれば万事解決だろう」
「……ん?はぁぁ!?」
石動鳴動の突然の発言に祐介は大声を出して、驚愕する。
「いやいやいやいや!待って下さいよ!?そんな簡単に結婚なんて決めてはダメですよ!もっと、相手を選択してから……」
「それは無理だよ少年よ?だって、『記憶を消す』んだぜ?彼女の色々を僕が消してしまうんだ、そんなの、『記憶を消した本人が回収しないとダメ』だろう?だから僕が『結婚してでも回収する』んだ、人の決意を簡単に崩してはいけないよ……それじゃあ今から記憶を消す」
石動鳴動はそう言って、麗美の前に立ち、右手を麗美の頭に乗せ、記憶を消す為に自身の能力を検索し、『記憶を消す』能力を見つける、そして麗美に『記憶を消す』能力を発動する──次に石動鳴動はアリスに声を掛ける。
「えーと、君だっけか?魔法を使えるアリスちゃんってのは?」
「は、はい!(そうです!)」
「ふむ、そうか……それじゃあ彼女に回復魔法の一つでもかけてくれないか?」
「……えっ?(何で?)」
そう言うアリスに対し、静かに石動鳴動が言う。
「簡単だよ、『何でもかんでも自分一人の力で済ましてはいけない』からだよ、『此処に居たメンバーで彼女を救った』って話にすれば彼女も簡単に受け入れるだろう」
「な、成程……!(流石漫画家、感動出来そうな話を一瞬で……!!)」
アリスは頷いて、回復魔法を使用する、そして麗美の傷が消滅する、そして頭部から拳銃の弾が現れる。
「……後はどうしようか?息はしているし……起こすのも億劫だな、どうしようか?」
「ん?どうしようかって……俺達は施設から脱出するだけですけど……?」
「ふむ、そうか……僕も乗せてもらいたいけど、流石に六人乗りとかの車とかは無いよな?」
「まぁ、五人乗りですしね……」
石動鳴動と祐介がそんな会話をしていると、ゆっくりと麗美が起き上がる。
「ん?んー?此処は何処?私は何で寝ているの……?」
「やぁ、初めまして、私の名前は石動鳴動、訳あって漫画家をしている者だ、実は麗美さんに漫画の研究材料として、この施設を見ていたんだ、すると急に君が倒れてね?僕のアシさんと共に君が起きるのを待っていたって訳さ」
「いや、アリスちゃんがアシって無理あるだろ」
祐介がそうツッコむと、後ろを向いた石動鳴動が口に人差し指を当て、『静かにしろ』というジェスチャーをする、祐介はその場で頭を下げる。
「そ、それは申し訳無いです……で、後ろの五人がアシスタントさん?」
「えぇ、一番小さいのは私の娘です、娘も少しアシスタントしてくれています」
「な、成程……そ、それでは案内を再開しないと……」
「いや、もう色々見終わったので、大丈夫です、後は貴方の支度を終わらせるだけです」
「えっ?支度?」
「えぇ、だって僕と君はカップルなんだから?」
「えっ!?カップルですって!?」
「おや?倒れた衝撃で記憶が飛んでいるのか?そうだよ、僕と君はカップルなんだよ」
「まぁ、本当に記憶飛んでいるけど」
「少年?」
ジェスチャーだけだった石動鳴動は口に出して、祐介を睨む。
「おっと、失言だったな」
「失言以前の問題だよ……さぁ、僕と一緒に服を着替えないとね?」
「え、えぇ……」
石動鳴動はそう言って、麗美の肩に手を置く、そして五人は施設を脱出しようと動き出す──戸を開けて、頤鰓、姫井姫久美が居る廊下へと出る。
「でも、万事解決してよかったなぁ……多分、所長が居なくなったこの施設は──俺が警察として調べておく──もう機能しないだろうなぁ」
「確かにそうですね……これで終わったんだ……全ての、いや、僕の思いだけが……」
「お前の思いだけじゃねぇよ、能力者全員の思いだろ?こんなあぶねぇ『カセット』の為に命なんか使いたくねぇだろうよ」
弓華はそう言って、厳魁の肩に腕を絡ませる──そうだ、これは能力者全員の思いなのかもしれない、たった一人の無能力者の思惑だけで能力者の命を消してはダメなんだ!能力者と無能力者の共存がこれから先の問題だな……厳魁はそう思いながら能力者と無能力者の共存の事を考える──これから先どんな出来事が起きるかは分からない、それでも、能力者と無能力者が頑張って、力を合わせれば、どんな困難だって、打ち砕けるんだ!厳魁は静かに思いながら四人と共に施設を脱出する──
- Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.146 )
- 日時: 2017/09/20 21:51
- 名前: 彩都 (ID: Slxlk2Pz)
「おいおい、待てってよぉ?お前さん達?」
謎の声が聞こえ、五人は立ち止まる、すると目の前に操風周也が現れる。
背後には苫小牧美香も存在していた、いや、『今迄に五人達が倒した能力者達が現れた』のだ。
「ハロゥ?厳魁君?久し振りだね……まぁ、あまり時間は経っていないけれど……」
「な、何なんですか!?最後の最後迄足止めかよ……!」
「まぁ、そうかっかするなって侵入者共?俺達はお前達を倒しに来ただけだからなぁ!!」
操風周也はそう言って、糸が千切れたヨーヨーを使用し、五人に向かって攻撃を仕掛ける。
「お前等……もう何もかも終わったんだよ、だから静かにしてろ……『見た相手の気を失う』能力発動」
祐介達の背後から聞いた事がある声がする、そして背後の声の主が両手を叩く、すると祐介達の目の前に居る能力者達が全て倒れる。
「はぁ……これを『肉塊』とでも言うのかな?さぁ、こんな所に突っ立ってないで、さっさとこの施設を出ようじゃないか」
そう言って祐介の肩を叩く背後の声の主、背後の声の主は『石動鳴動』だった。
「め、鳴動さん!?」
「ん?何だ?何もかも終わったから、君達を見に来た、というのに……まだ前に進んでいないのか?さっさと進めよ?君達の中で少し眠たくなっている存在も居るのに……」
「あ、あの、麗美さんは?」
石動鳴動の発言を受け、厳魁は麗美の事を聞く、すると石動鳴動は耳を掻きながら返答する。
「そうだな……『紙に収納する』能力で紙の中に入れた、だから持ち運びオッケーだ、あぁ、大丈夫だ、『紙に収納されている間は紙に収納された感覚が無く、気を失っている状態』だから、紙の中に居るって分からないよ」
「さ、流石漫画家……紙だけは一杯あるってか」
「フッ、そう言う事だ」
石動鳴動は鼻で笑って前に進む、さぁ、自分達も前に進まなければ……厳魁はそう思って、ゆっくりと石動鳴動の後ろに着いて行く──
そして簡単に脱出し、施設の出入口に到着する。
「此処でお別れですね、石動鳴動さんと」
「そうだね、これからも頑張って漫画を描くよ」
「えぇ、頑張って下さいね、応援しています」
「あぁ、有難う少年二人よ、君達二人の言葉が無かったら、僕はずっとこの施設で漫画を描き続けていたよ、色々と教えてくれて有難う、帰ったら担当と編集と会話して、改善を訴えてみるよ」
「えぇ、頑張って下さいね……それにしても漫画家ってのはブラック企業みたいですね、ほぼ休みが無いし」
「ハハハッ!確かにね、でも漫画を描く喜びと比べたら、休みなんて要らないさ」
「……凄い考えだなぁ、自分なら休憩とか、休みが欲しいです……」
「まぁ、それは一般の人達の考えだね、でも漫画家にとってはもう、作業みたいなモノだ、慣れって奴?それに近いね」
「やっぱり、僕には真似出来ませんね、それではここいらでお別れです」
「あぁ、すまないね、僕の話ばっかで」
「いえ、色々と大変さが分かりました、此方こそ有難う御座います」
「フフフッ!君みたいな読者、嬉しいねぇ……」
「僕こそ、石動鳴動さんの描く漫画は好きです」
「おっ!言ってくれるねぇ!色紙があればサインを書くが……今は手持ちが無い、すまないね」
「いえ、大丈夫です、でも何(いず)れ石動鳴動さんのサイン会があったら行きますんで、その時は宜しく御願いしますね」
「あぁ、分かった、その時は丁重に扱おう」
「それは有難いですね……!」
「フフフ……それじゃあ、本当に此処でお別れだ、次会える時は本の方かもね?」
「ハハハ、確かに……それでは……!」
厳魁と石動鳴動が会話を終わらせ、手を振って、石動鳴動は前に進み始める。
これで終わりなんだ……全部全部……何もかも……! 厳魁がそう思うと、その場で膝を崩して、尻餅のように座ってしまう。
「うわっ……ハハッ、緊張していたのかな?もしくは疲れたのか……?まぁ、それはいいや、全部終わって、何もかも安心だ……」
「そうだな……全部全部……終わったんだな……!」
「えぇ……!」
「それにしても肌が心配だなぁ……って、もう一時かよ!?」
「あ、アハハ……確かに女性の場合、肌が心配ですよね……」
「あーあ、疲れたなぁ……牛丼や牛めし食べて、栄養つけてから帰ろうかなぁ?」
「確かに……疲れたので、夜食は食べたいですよねぇ……」
「……ねみぃ(眠いな……)」
「アハハ……アリスちゃんはこの中で一番幼いからね、眠くなるのは仕方無い」
先宮、弓華、祐介、アリスの言葉に返答する厳魁、そして厳魁は立ち上がって、五人で先宮の車に向かう──今日一日で色々な事があった、とてもとても、凄く凄く刺激的で、痛い事もあったけど……この四人だからこそ、突破出来たんだ……もしも自分一人だけだったら、何も成し遂げる事は出来なかっただろうなぁ……『仲間』って偉大なんだなぁ……でも、この『仲間』も今日一日限りの『仲間』なのだ、夜が明けたら、『仲間』では無くなる、それは悲しい、でもそれは仕方無いのだ。
元々四人は僕とは違う存在なのだ、働いていたり、学校に行っていたり、日本を救う為に奮闘していたり……逆に自分に構ってもらえた事が逆に驚きなのだ。
……でも、この世の全ての能力者を救う事が出来て、自分は嬉しい……さぁて、さっさと帰って寝よう……厳魁はそう思いながらゆっくり、ゆっくりと歩み始める──新たな未来へと……厳魁は歩み始める──
- Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.147 )
- 日時: 2017/09/23 21:34
- 名前: 彩都 (ID: vzo8adFf)
五人は先宮の車に向かい、先宮が車の鍵を開錠し、五人は車に乗り込む。
今日は色々な事があった……本当、大変だったけど、色々な能力者を助ける事が出来て幸いだ……そう思いながら厳魁は四人に感謝する。
「今日は本当に有難う御座いました、こんな僕の為に深夜迄起きて下さり……」
「いや、いんだよ、結構刺激的な非日常だったし」
厳魁の言葉に返答する弓華、次に先宮が言う。
「ハッハッハッ、君達少年少女は大人の力を借りれば良いんだよ、大人はどんな時でも力を貸す事が出来るからね」
「そうだぜ?だって俺達は『仲間』なんだ、どんな困難も皆が居ればその困難を乗り越える事が出来るんだぜ?」
先宮の次に祐介が言う、だがアリスは返答しない、今はもう深夜、と言っても過言では無い時間帯だ、幼いアリスにとって、睡眠を摂らなければ発育にも影響が出るだろう。
「……皆さん……今回は本当に有難う御座いました、感謝してもしきれません……」
「いいっていいって!さて、どうする?家の前迄送ろうか?」
「い、いえ……でも、戦ったりしたので、皆さん、お腹は空いて……?」
厳魁がそう言うと、祐介が腹を擦って言う。
「あー、そういえば腹減ったなぁ、何か二十四時間営業のお店に行きましょう?」
「んー?別に良いが……財布はあるのか?」
「いえ、家にありますが?俺の家の前迄送ってもらえると有難いです」
「……しゃぁねぇなぁ、奢ってやる、何処へ行く?」
「えっ?良いんですか?」
「あぁ、まぁな、一応この中で保護者は二人しか居ないからな、その二人の保護者の内、一番年上は俺しか居ない……と言う事は年長者が払うってのがルールよ!」
そう言う先宮を見て、厳魁は帰る事を考え、先宮に言う。
「あっ、僕は帰ります、そこ迄お腹減っていないので……」
「いいって!厳魁君も奢るよ!」
「えっ?良いんですが?重ね重ね何か申し訳無いです……」
「ヘヘッ!いいって事よ!四人分奢ってやる!……と言ってもアリスは寝ているから実質三人分奢るんだがな」
「へぇ、私もか……何か有難いですね、有難う御座います」
弓華はそう言って車内でお辞儀をする、そして車は二十四時間営業のお店へと向かう──
「さてどうする?何を食べる?」
不意に先宮の発言が聞こえる、先宮の言葉に対し、祐介が返答する。
「そうだなぁ……俺ならがっつり食いたいですね、安くてがっつり食べれる料理……牛丼、牛めしとか?」
「ふむ、成程、厳魁君、弓華さんは?」
「えっ?僕ですか?僕なら色々食べたいので、定食屋ですかね……」
「私なら……ヘルシーな料理だなぁ、サラダのバイキングとかですかね?」
「ふむ、三人の意見がバラバラだ……ふぅむ、バイキングなら色々食べれるよな……でも、お金が掛かるし……厳魁君の言った定食屋なら千円で済む……祐介君の言った牛丼なら、大盛りを選んでも五百円程度、三人で二千円程度……」
「結構悩んでいるなぁ……」
先宮の独り言に呟く祐介、そして車は大通りに出、信号が赤になり、車は停止する。
「うーん……甲乙つけがたい内容だな……」
「でもバイキングだったら色々食べれるので、祐介さんの希望にも合いますし、バイキングだったら僕の希望通り、色々食べれますし……少しお高いですがバイキングの方が良いと思います」
ふと、厳魁の言葉が聞こえる、『うーん』と呻いている先宮は厳魁の意見を取り入れ、三人に言う。
「まぁ、確かに……それじゃあ三人共、バイキングで良いか?」
「俺は一杯食えるならそれでいいです」
「僕もです」
「やった!私の意見が通った!」
弓華はそう言って喜ぶ、そして青信号になったので、車は発進する──車が向かうのはバイキングのお店だ──
先宮はバイキングのお店をカーナビで検索する、すると案外近くに存在していて、内心安心した、そして先宮はカーナビに道案内をしてもらう。
「おぅい、この近くにバイキングをしているお店があるそうだ、因みに二十四時間営業だと」
「おぉっ!それは良かった!もうお腹が減って大変だったんですよ……」
「そうか、それは良かったな」
先宮の発言にたいし、喜ぶ祐介、すると車はもうバイキングのお店へと進入していた。
「おっ、もう着いたな、それじゃあ各自降りてっと……」
先宮は汗を掻かない様にエアコンを点け、店内へと移動する。
「いらっしゃいませぇ、何名様ですか?」
「四名で」
「分かりました、お店のご利用は初めてですか?」
「まぁ、一応は」
「分かりました、それではお席にご案内した後、軽くこのお店の説明をさせて頂きます」
「あぁ、有難う」
先宮は店員と少し会話して、席を案内される、そして席に座った後、店員にお店の説明を受ける。
「このお店はバイキング形式のお店となっております、ご注文によってはサラダバーつき、ドリンクバーつき、と分かれておりますので注文の際はお気を付け下さい」
「へぇ、成程……それじゃあ三人共、注文してくれ、俺は適当に注文するから一番最後で良い」
「あっ、はい、分かりました」
先宮の発言を受け、厳魁が頷く、そして三人は食べたい料理を注文する──
- Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.148 )
- 日時: 2017/09/24 22:40
- 名前: 彩都 (ID: lDBcW9py)
「えーと、俺は『四種のチーズインハンバーグ&ステーキ』とバイキング、ドリンクバー、で」
「僕は『白身魚のステーキ』とオールバイキング、ドリンクバーで」
「私は『季節の茸盛り沢山! スペシャルステーキ』とサラダバー、ドリンクバーで」
「ふむ、三人共決まったか、それでは俺だな……俺は『各種部位盛り合わせ! ステーキスペシャル!』を一つ、ドリンクバーのみで」
「畏まりましたぁ!それではご注文を繰り返します、『四種のチーズインハンバーグ&ステーキ』とバイキング、ドリンクバー、『白身魚のステーキ』とオールバイキング、ドリンクバー、『季節の茸盛り沢山! スペシャルステーキ』とサラダバー、ドリンクバー、『各種部位盛り合わせ! ステーキスペシャル!』を一つ、ドリンクバーですね?」
「あぁ、そうだ、それじゃあ店員さん宜しく」
「はい、分かりました、それではごゆっくりどうぞぉ」
そう言って店員は厨房へと消えていく──すると厳魁と祐介はドリンクバーに向かい、色々なドリンクを入れては飲んで飲み干して、入れては飲んで飲み干して、を繰り返す。
「ハハッ、元気だなぁ、春華もドリンクバーでよくはしゃぐ子だったなぁ」
ふと、先宮の発言に弓華が返答する。
「へぇ、春華ちゃんって子がいるんですか……あぁ、思い出した、先宮さんが言っていた『能力を開花させる』能力の子ですか?」
「ん?あぁ、そうだ……その能力の所為でアリス、祐介には助けてもらったよ……いや、アリスが問題事を引っ張ってきた、ってのが正しいか……」
「ど、どういう事ですか?」
「えーと、春華は厳魁君の言う『施設』に引き取れたんだよ、んで、アリスがその施設から脱出してきて……アリスの居る施設に春華がいるって事が分かって、アリスに案内役をしてもらって、春華を救出したんだ……結構大変だったぜ……」
先宮がそう言って、溜息を吐く、結構大変だったのか……と弓華は判断して、話を閑話休題させる。
「成程ねぇ……で、その春華ちゃんもあの二人みたいにドリンクバーではしゃぐ子、だったんですか?」
「まぁ、そうだ……アイツ、俺にドリンクバーのドリンク色々混ぜた飲み物飲ませた事があってな……下痢が止まらなかったぜ……」
「な、中々大変でしたね……」
先宮の発言を受け、弓華は静かに苦笑いをする、そして祐介、厳魁が先宮、弓華達の所に戻ってくる。
「いやぁ、楽しかった楽しかった……色々なドリンクがあって、驚愕だ」
「本当ですよ!一つのサーバーに十種類以上のドリンクバーが!」
「あーはいはい、分かった分かった、落ち着けって……」
「い、いや落ち着いていますよ!」
「完全に徹夜でテンションがハイになっている人に見えるぜ厳魁君?落ち着いていない気が……」
厳魁のテンションに先宮、弓華が落ち着かせる、すると店員が料理を持ってきて、四人の前に料理を置く。
「お待たせしましたぁ、『四種のチーズインハンバーグ&ステーキ』と『白身魚のステーキ』と『季節の茸盛り沢山! スペシャルステーキ』と『各種部位盛り合わせ! ステーキスペシャル!』をお持ちしましたぁ、ごゆっくりどうぞぉ……あっ、バイキングはご自由にお使い下さい」
「はい、分かりました」
厳魁がそう言うと、店員はそそくさと厨房へと消えていく、さぁ、食事の時間だ、そう思い、四人は頂きますをする、最初に祐介が食べ始める。
「うん、美味い、やっぱりハンバーグは至高」
「フフッ、舌がまだまだガキだねぇ?大人になったら、もっと美味しいんだぜ?」
「マジかよ……大人ってすげぇ……ってか、俺ももうすぐ大人なんだぜ?残り数年で」
「ほう?そうなのか……でもまだまだだぜ?その数年が、な?」
祐介の発言に弓華が返答する、次に先宮が言う。
「お前等黙って食えよ……もう深夜なんだしさ?静かにして食べようぜ?」
「……すまん」
「す、すみません……」
二人は先宮に謝って、静かに目の前の料理を食べ始める──そして呑気に三人が料理を食べていると、祐介が立ち上がり、バイキングの方へと向かう。
「アイツ、もう食べたのかよ?はえぇなぁ、だって運ばれてきて……約八分だぜ?随分腹が減っているんだな……」
「まぁ、あんな戦いがあったんですしね……多分能力が覚醒したばっかで体力とかを削っていたんでしょうね、食べて回復する、としか考えが無いのかも……?」
「あぁ、成程……確かにアイツは今日厳魁君並に頑張っていたからな、そりゃ腹も減る訳だ」
「ちょっ!?僕は道案内ばっかであまり頑張っていませんよ……頑張った、で言うなら、アリスちゃん、祐介さん、先宮さん、弓華さんじゃないですか……僕はそもそも『頑張った』って感覚が無いですから……」
厳魁がそう言うと、先宮が肉を噛み締めながら厳魁に言う。
「厳魁君、君はそうやって恐縮して、自分を卑下する……でも、君の行動が無ければ、もっと能力者の命は削られていたかもしれないんだぜ?君は祐介君の様に素晴らしい行動をしていたさ、そうやって卑下をするなよ?君はこの世でもっとも勇気がある人間なんだからさ?」
先宮はそう言って、厳魁の頭を撫でる──頭を撫でられる感覚、その感覚はとても心地よかった──そして厳魁は優しく微笑んだ──
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