コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 世界終了ハウマッチ!?
- 日時: 2015/10/28 20:57
- 名前: 彩都 (ID: vKymDq2V)
初めまして、彩都(サイト)と申します。
四作目です。
帰宅途中に思い付いた五分クオリティです。
気楽にお読み下さい。
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- Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.324 )
- 日時: 2018/11/14 23:44
- 名前: 彩都 (ID: 5TWPLANd)
祐介が目の前の本に注視していると、何か変な感覚を覚えた、あれっ?鈴鹿さんって、『スマホとか持っていなかった』筈では……?祐介はそう思い、首を傾げながら、鈴鹿に問う。
「え、えと、鈴鹿さん?ちょっと疑問が」
「あぁっ?何だよ?」
そう言って、ジト目で祐介を見る鈴鹿、そして祐介は鈴鹿に問う。
「え、えーと……聞きたいんですけど、『どうやって未来の俺と連絡をとっている』んです?」
「はぁ?そんなん簡単だろ?スマホだよ」
「……では、そのスマホ、『どうやって手に入れた』んですか?」
「…………」
祐介の問を聞いて、無言になる鈴鹿、そして鈴鹿は静かに『貰った』と、発言した。
「メイド服着てるだろ?その店の店長からだよ?『電話が無いと不便だろう?』ってさ?だから拝借みたいな感じで借りてんだ」
「へぇ……んで、未来の俺と出会って、そのメールアドレスを手に入れた、と?」
そう言う祐介に対し、鈴鹿は『あぁ』と、返答する。
「成程……それじゃあ、今、スマホって有ります?」
「ん?あぁ、あるぜ?電源は切っているけど」
そう言って、スマホを見せる鈴鹿、そのスマホを見て、『メールは可能』と、思う祐介、そして話の中で『電話が無いと不便だろう?』という発言を思いだし、『電話も可能かもしれない』と、判断する祐介、そして祐介は鈴鹿に『少し借りますね』と、言って、電源を押す。
「ちょっ!?流石に病院内だから守れって!」
「此処は一人部屋ですよ?そんな融通、聞いてる暇は無い」
祐介はそう言って、鈴鹿の発言をばっさり切る、そしてスマホに電源が点き、アプリのアイコンが有る画面になる。
「……メール」
祐介がそう呟いて、メールのアイコンを探す、するとすぐに見付かり、祐介はアイコンを押した、そして画面にはメールを作成するボタン、受信ボタン、送信ボタン等があった。
祐介はすぐさま作成ボタンを押し、メールアドレスを入力する為にメールアドレスの欄を開く、『全て』の項目が先に現れ、数人の存在が分かった、『店長』と、書かれたメールアドレス、そして、その下に『未来の祐介さん』と、書かれたメールアドレス、祐介は『未来の祐介さん』と、書かれたメールアドレスを押して、メール作成画面に戻る、祐介は続けて、件名に『用事があるの』と、入力し、本文を押して、入力を開始する、『祐介君が癇癪(かんしゃく)起こして、困ってる、だから、早く来て?』と、入力し、送信する祐介。
「よし、これで大丈夫だ」
祐介は口の端を歪ませて、スマホの電源をスリープさせる、そんな祐介を見て、『何勝手に触ってんの?』と、むすっとした鈴鹿、そんな鈴鹿を見て、祐介は口の端を歪ませ、『俺を呼んだ』と、発言した、祐介の発言を聞いて、『は、はぁ?』と、戸惑う鈴鹿、そんな鈴鹿に対し、『まぁまぁ?俺が必要だから呼んだだけだよ、だから大丈夫』と、発言し、静かに深呼吸をする。
祐介がスマホを持って、待機していると、『ぴろりんっ』と、スマホの音が鳴って、スマホのスリープモードが解除される、そして『メールが届きました』という項目を確認し、祐介は受信メールを確認する、受信メールには件名に『分かった』と、書かれており、本文を確認すると、『今から行く』と、入力されていた。
「……よし!これで少しは進んだぞぉ!」
祐介はそう発言して、内心喜んでいた、これで少しは進んだ!これは小さな一歩だが、俺にとっては大きな一歩!祐介はそう思いながら、ベッドから立ち上がり、スマホを鈴鹿に返して、頭を下げる。
「有難う、貸してくれて」
「勝手に借りたのに、都合がいい」
「いいじゃないですか?別段変なモノを見た訳じゃないのに?それよりも……『今日中に色々と終わらせないといけない』ので、時間は勿体無いんですよ」
「えっ?今日中に?い、一体どう言う事?」
祐介の発言を聞いて、不思議がる鈴鹿、そして、祐介は『後で話します』と、言って、病室を出る祐介、そんな祐介に対し、鈴鹿は『ま、待ってよ!?』と、驚きながら、祐介を追いかける──
祐介が向かったのは、患者の家族が休憩する休憩ルームだった、こじんまりとした場所だが、十人程度は休憩が出来るスペースが有る、そんなスペースに向かって、祐介は静かに椅子に座って、鈴鹿に『座って下さい?』と、発言した。
「……何で此処に来たの?」
そう言う鈴鹿に対し、祐介は『俺は此処に居る方がいい』と、呟いて、静かに溜息を吐く、……癇癪(かんしゃく)はやり過ぎたかな?祐介はそう思いながら、机に肘を突いて、鼻の前で手を組み、すぐに未来の自分が来るのを待った──さっさと、未来の自分が来ないだろうか?祐介はそう思いながら、心臓をバクバクと高鳴らせる、それもその筈、『今日中に保奈美を救わないといけない』からだ、明日では遅い、かといって、明後日以降も遅いのだ、祐介は『今日』という、タイムリミットを考えながら、未来の自分が早く来るのを、眉を顰(ひそ)めながら、待ち続ける──
- Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.325 )
- 日時: 2018/11/17 23:39
- 名前: 彩都 (ID: 5TWPLANd)
「……早く、早く……!」
そんな事を呟く祐介を見て、鈴鹿は少し焦る、何故なら『祐介の気迫が相当表情で感じられた』からだ、一体何をそんなに焦っているのか?鈴鹿はそんな事を思いながら、祐介に言う。
「祐介君……そんなに思い詰めても意味が無いよ?少しは気楽にしないと?」
「ダメなんです、今日だけは、気楽には出来ない……!」
祐介はそう言って、大きな溜息『はぁー』と、漏らし、未来の自分を待つ、そして何分経ったか分からない頃、休憩ルームに未来の祐介が現れる。
「す、鈴鹿ちゃん!祐介の癇癪(かんしゃく)は!?」
そう言って、焦る未来の祐介に対し、静かに祐介は『してねぇよ』と、淡々と言う。
「は、はぁ?な、何だよ……?俺を騙したのか?」
「違う、アンタのスマホを使いたいだけだ」
「スマホ?そりゃあ何で……?」
そう言う未来の祐介に対し、今の祐介は『厳魁君に連絡がしたいんです』と、言う。
「……今、電話をするのか?」
「はい、そうです」
「鬼かよ」
未来の祐介はそう言って、片手で頭を支える、『一体どう言う事?』そんな事を思いながら、鈴鹿は『何で今電話出来ないの?』と、首を傾げる、すると未来の祐介は『いや、厳魁君は学生だ、学生がこんな時間、ブラブラしているとでも?』と、言う。
「……?あっ、分かりました、学校ですね!?」
鈴鹿の発言を受けて、未来の祐介は『あぁ』と、返答する、そして祐介は未来の祐介に対し、手を出して、『スマホ』と、呟く。
「……いいけれどさぁ?」
未来の祐介はそう言って、祐介にスマホを渡し、呆れる、祐介はスマホを受け取った後、すぐさま厳魁のメールに移動し、件名『緊急!』、本文に『石動鳴動って知ってる?ソイツの電話番号を知りたい』と、入力し、送信する。
「……これでよし!……知っていたら嬉しいんだけどなぁ?」
祐介はそう言って、額の汗を拭う、そして、祐介は静かに深呼吸をして、『後何時間だろうか?』と、思いながら、メールを待つ、するとすぐさまメールが来て、祐介は急いでメールを確認する。
件名は『分かりません』、本文も『いや、知らないですねぇ?』と、書かれていた。
「……終わったなぁ……」
祐介は遠い目をして、大きな溜息を吐く、そんな祐介を見て、未来の祐介は『諦めるしか無いな?』と、呟いて、祐介に問う。
「それで?どうして鈴鹿ちゃんや俺の力が必要なんだ?」
そう言う未来の祐介に対し、祐介は『石動鳴動の能力が必要だからです』と、発言し、真顔で言う。
「とある一人の少女を救いたいんです、ですが、俺一人の力じゃ無理なんです……!だから、色々な能力を持つ、石動鳴動さんの力を借りたいんです!……誰も知らないのじゃあ、もう無理ですね、少女は救えない」
そう言う祐介に対し、未来の祐介は祐介の胸倉を掴んで、『馬鹿野郎!』と、叫んで、祐介を睨む。
「まだ、まだ可能性は終わっていないだろう!?」
「た、確かにそうですけど……!でも、どうやって、石動鳴動さんの電話番号を探すんですか!?」
「あぁっ?そんなの決まっているだろ?『SNS』だ、電話番号とは言わずとも、『目撃情報を元に検索すればいい』じゃねぇか?」
「……そう、簡単に行きますかねぇ?」
祐介はそんな事を呟いて、未来の祐介のスマホを使用し、ネットを展開させる。
「それで?どうやって検索するんですか?」
「んぁっ?そんなの簡単だろ?『石動鳴動 目撃』だ」
「『石動鳴動 目撃』っと……あっ、ヒットしました」
「そうか、それじゃあ、呟きを見ようぜ?」
「あっ、はい……」
未来の祐介の発言を聞いて、祐介は言われるがまま検索し、呟きを確認する。
「えーと……あっ、約十分前に『数人のメンバーを連れて、石動鳴動さんが歩いてた!』って、呟きがありました!写真も撮られているので、場所の特定は簡単でしょう!」
「……なぁ、鈴鹿ちゃん?確か許可なく、写真を撮るってぇ行為は……」
「盗撮ですね……」
祐介の発言を聞いて、未来の祐介、鈴鹿は冷や汗を掻いていた、そして祐介は写真の背景にあるお店から、色々と検索して、『あっ』と、呟いた。
「ん・どうしたんだ?」
「どうしたんですか?」
祐介の発言に不思議がる二人に対し、祐介は静かに『石動鳴動さんが歩いている場所、『この付近』です……!』と、発言して、二人は『はぁっ!?』と、驚く。
「えっ!?えっ!?あの石動鳴動さんが!?」
「マジかよ!?あの石動鳴動が!?」
「えぇ……ですが、移動をしているので、移動距離は不明ですが……」
「……成程な?それじゃあ、この付近にいる可能性はあるんだな?それじゃあ、探しに行こうぜ!」
そう言う未来の祐介に対し、『どうやって?』と、祐介は言う。
「呟きを見ていなかったんですか?『メンバーがいる』んですよ?だから、会いに行った所で、止められる可能性もある、だから『一目見れたら、追いかければいい』んです、ストーキングをすれば、何処に向かっているか、分かりますよ?……ですが、これはリスキー、だから、他の可能性を考えないといけない……他には俺が外に出て、石動さんを探す、しか?」
「ふ、ふむ、確かにそれしか、可能性は無い……」
「そ、そうですよね……」
そんな事を言う二人に対し、祐介は顎に手を当てて、考える──外に出るしか、方法が無い、か……祐介はそう思いながら、静かに息を飲み込んだ──
- Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.326 )
- 日時: 2018/11/21 23:57
- 名前: 彩都 (ID: oN2/eHcw)
「……それじゃあ、外へ逃げ出せるように、一階へ向かいましょうか?」
祐介はそう言って、二人に提案する、二人は『お前の好きなようにしろ』、『どうぞご勝手に?怒られるのはアンタだし?』と、言って、祐介を放っておく、祐介は二人の発言を受け入れ、『分かりました』と、言って、スマホを未来の祐介に返して、一人、静かに立ち上がって、エレベーターへと向かう。
そんな祐介を見て、未来の祐介、鈴鹿は階段で急いで一階へと、駆け下りる、祐介が怒られる姿を見る為に──そしてエレベーターで祐介は一階へと降り、誰も見ていない事に安堵する。
「よし、さっさと外に出よう」
祐介はそう呟いて、出入り口の方へと向かい、隙を見て、逃げ出そうとするが、祐介は出入り口付近で立ち止まってしまった、未来の祐介と鈴鹿は後ろで見ており、『おいおい?バレるぞ?』と、思いながら見ていた。
「あ、貴方は……!?」
祐介が驚きながら出入り口に立つ存在を見る、見つめる、その存在は静かに口を開き、『君は……』と、呟いた。
「お、御久し振りです……石動さん!」
祐介がそう言うと、未来の祐介、鈴鹿が『何ぃ!?』と、驚いていた。
「いやぁ、懐かしいなぁ?『施設』以来だろう?多分一週間ちょっとしか経過していない気がするが……君はどうしてそんな服を着ているんだ?入院か?」
そう言う石動に対し、祐介は『そ、そうなんです!実は……』と言葉を続けようとすると、『いや、いい』と、呟いて、『その前に此処から離れようか?出入り口だ、迷惑になる』と、言って、近くの椅子に移動する。
「さて、場所を移動した、どんどん話し給え?君の話を漫画に活かせるかも知れないからな?」
そう言う石動、そんな石動に対し、祐介は真剣な眼差しで、『石動さん!御願いです!俺を助けて下さい!』と、頭を下げた、頭を下げた祐介を見て、『話を聞こう……だが、その前に』と、言う。
「えっ?」
「まずその前に『そのお腹の傷を治してから』、話を聞こう?」
「なっ!?そんな事はどうでも良いんです!この傷はゆっくり治しますから、それよりも俺の話を──」
「大丈夫だ、『もう治した』から、どうぞ?話を続けて?」
「…………」
祐介はお腹を触り、『違和感が無い』事に気が付いた、嘘だろ?怪我を一瞬で治した、だと?祐介はそう思いながら、『あ、有難う御座います……』と、言って、言葉を続ける。
「それじゃあ、話を再開しましょう、俺の、俺の知り合いを助けて下さい」
「助ける?君のお友達を?どうやって?」
石動がそう言うと、祐介は『そのお友達は能力者です、おまけに能力の制御が利かないので、苦しんでいるんです』と、説明する、すると石動は腕時計を確認し、『そうか』と、呟いて、立ち上がって、『それじゃあ、案内してくれるかな?』と、祐介に言って、微笑む。
すると、後ろに居た、男性陣が『ま、待って下さい先生!?』と、歯止めする。
「きょ、今日は取材に来たのでしょう!?そんなガキ、放って置いて、急いで、受付に話を……」
「煩い!彼は僕の命の恩人だ!そんな事、出来ないよ!」
大声で石動は言い、『それじゃあ、向かおうか』と、呟く、そんな石動に対し、『い、いや、それなら、取材が終わった後でも……』と、祐介が言うと、『取材は何時でも出来る』と、言って、紙に何かを書いて、指を鳴らす。
すると『急に何も聞こえなくなる』、えっ?な、何だ?足音とか、喋り声が聞こえない……!?祐介がそう思って、周りを確認すると、『誰も歩いておらず、誰も喋っていなかった』、えっ?祐介が驚いていると、石動が『大丈夫かい?いやぁ、地味に制御するのって、大変だねぇ?』と、言って、静止する世界の中、自分、石動だけが喋っていた。
「さて、頭にこれを貼ってっと……よし、完成!」
石動はそう言って、『取材の話を切り出した人』のおデコに『トイレに行きます 石動』と、書いてある紙を貼って、祐介を見る。
「え、えーと?石動さん?今、何をしたんですか?」
「んー?この世界の事かい?それは簡単だよ?『世界の時を止めた』だけだから?いやぁ、いいねぇ?『時を止める』系の『能力』ってさぁ?締め切りが短い時に良く使うんだぁ」
「へ、へぇ……」
まさかの『時止め能力』を使用した石動に『もう、すげぇよ』と、思う祐介、そして石動は『そのお友達の所に案内してくれないかな?』と、発言し、祐介は『は、はい!』と、元気に返事をし、二人でその友達である、保奈美の許へと向かった──
「そういえば、どうして今日、此処に?」
祐介がそう言うと、石動は『んー?あぁ、今日は、この病院で取材を行う予定だったんだ』と、言う。
「近々、医療系の作品を漫画にしようと思ってね?だから、少しでも本物を見て、勉強したいんだ」
「へぇ……実は今日、石動さんが此処に来ないか、願っていたんですよねぇ?今日しか、時間は無いから……」
そう言う祐介に対し、『それはどうして?』と、問う石動。
「実は、明日以降、外国に行く予定でして……」
「何だ、それなら怪我を治して正解じゃないか?」
「ま、まぁ、それはそうなんですが……自力で治したかったなぁ?って?」
「あぁー……それはごめん、謝るよ?でも、君だって、痛いのは厭だろ?」
「まぁ、そうですね?」
祐介は静かに返答し、階段を上って、保奈美の部屋の階に到着する、祐介は『この階です』と、言って、石動を保奈美の部屋迄案内する──良かった、石動さんが居たら、百人力だ、祐介はそう思いながら、安堵した──
- Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.327 )
- 日時: 2018/11/21 23:58
- 名前: 彩都 (ID: oN2/eHcw)
「さて、それじゃあ、時止めを解除するよ」
石動はそう言って、指を鳴らして、能力を解除する、すると一気に時が動き始める、人が歩き、人が喋り、ざわざわする感覚を覚えた祐介は『すげぇ……』と、言葉を漏らしていた。
「おいおい?そんなんで驚いていたら、君が救って欲しい存在も救えないだろう?」
石動は微笑みながら、戸に手をかけ、横に引き、入室する。
「初めましてぇ?」
四人部屋の全員に話しかけるように言う石動に対し、間近で見た患者は『はぁ?』と、言いたげな表情をして、石動を見る。
「……それで?君の御友人は何処かな?」
石動の発言を聞いて、祐介はハッとし、『あっ、こっちです』と、保奈美のベッドに案内した。
「此処です」
「そうか、失礼するよ」
石動は単刀直入と言った感じで保奈美のカーテンを開けた、すると、寝転んだ保奈美の隣に祐介と喋った保奈美が『はわわわわっ!?』と、驚いていた。
「……ふむ、何も見えないな?目の前には包帯の人間が一人……本当に此処に居るのか?」
首を傾げる石動に対し、祐介は『俺は見えていますけど……』と、呆れる祐介、そして石動は『仕方無い、能力を使用するか……』と、言って、目を覆う。
「うーむ、この場合、『見えないモノを見える様にする能力』にでもしようかなぁ?」
石動がそう言って、覆った手を退けると、テレビ前に居た少女に『うわっ』と、驚く石動、石動先生でも驚く事があるのか……祐介はそう思いながら、『彼女が保奈美ちゃんです』と、説明する。
「そ、そうか……僕は石動鳴動、漫画家だ……今日、来たのは、医療を舞台とした漫画を描く為、何だが……今はどうでもいいだろう、彼女、保奈美ちゃんかな?保奈美ちゃんはその姿、何ヶ月前からその姿なんだ?」
「え、えと……そ、そうですねぇ……火傷した後、かなぁ?何度自分の体に触れようとしても、何度自分の体に戻ろうとしても、戻れないんです、何度何度何度何度試しても、試しても……」
そう言って、しょぼくれる保奈美を見て、『そうか』と、言って、石動は寝転んでいる方の保奈美を見る。
「えーと、聞きたいけど、この遺体は君のかな?」
「い、石動先生?そ、それは遺体では無いです……」
石動の発言にツッコミを入れる祐介に『そうか、それは済まない』と、言って、保奈美を見る。
「あっ、はい、そうです、火傷跡を隠したいので、包帯を巻いているんです」
「そうか、それは痛々しいな?それで?もう一つ聞こうかな、この火傷、『どのレベル』なんだ?」
「えっ?レベルですか?確か、両手の方が結構酷かったような気がします……と、言っても、結構前の出来事なので、半分以上は忘れましたけどねぇ?アハハハハハ……」
保奈美の笑いを聞いて、石動は静かに『分かった、情報提供有難う』と、言って、その場で深呼吸する、深呼吸をする石動に対し、祐介は、『彼女を、保奈美ちゃんを助けられますか?』と、問う、すると石動は『そんなの簡単だ、だって僕は『神』だぜ?簡単だ』と、言う。
「あ、有難う御座います!」
祐介はそう言って、石動に頭を下げる、そして石動は保奈美を見て、『それじゃあ、全部『治す』よ』と、言って、両手を合わせる。
「治す、とは?」
「そんなの決まっているだろ?彼女の可愛い顔を、綺麗な体を他に見せ付ける為に『火傷の跡を消す』んだよ、『火傷跡を取り除く能力』でね?」
石動はそう言って、保奈美の手に触れて、能力を発動した、すると、寝ている保奈美が『んっ』と、上擦った声を出した。
「よし、これで、両腕の火傷は消えた、綺麗さっぱりね?あっ、確認するかい?」
そう言って、右手の包帯を取ろうとする石動に保奈美は『御願いします……!』と、宣言する、そして石動は包帯を取り、保奈美の右手を見せ付けた。
「……うわぁ」
祐介が保奈美の右手を見ると、綺麗な右手になっていた、そして保奈美の肩迄捲って、見せる、すると右腕全体も綺麗な肌になっていた。
「あ、有難う御座います!」
保奈美が頭を下げると、『まだ火傷してるだろ?』と、石動が言う。
今度は左腕に能力を発動し、左腕の火傷跡も消す、両手の火傷跡が消え、安堵する保奈美に、石動は『それで?他の何処に火傷跡が?』と、問う。
「え、えと……顔、です……」
「顔?あぁ、女性にとって、美の象徴だからな?顔ってのは、顔に火傷を負うのは、色々な人に見られやすいし、恥ずかしいよなぁ?」
「はい……」
「でも、僕の能力を使用すれば安心だ」
石動は保奈美の発言に頷きながら、両手を顔に当てる、すると、再度寝転んでいる保奈美は『んっ』と、声を出す、そして石動は『顔は、どうする?見るか?』と、問うので、『見たいです』と、保奈美が言う。
「そうか、それでは、包帯を外そう」
石動はそう言って、保奈美の顔の包帯を外す、すると、其処には『綺麗な顔の保奈美の顔』があった、保奈美は久し振りに見る、完治された自身の顔を見て、涙を流していた──祐介はそんな姿を見て、『よかったなぁ』と、思う反面、『あれっ?本題向かって無くない?』とも、思った──
- Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.328 )
- 日時: 2018/11/24 23:33
- 名前: 彩都 (ID: J85uaMhP)
「あ、有難う御座います……有難う御座います……」
泣きながら頭を下げる保奈美に対し、『僕は大丈夫だ』と、返答する石動、そして石動は静かに『さて、それじゃあ、これから本題に向かおうか』と、言う。
「や、やっとですか?何か色々と話が逸れていた気分がするのですが?」
「んー?寄り道も楽しいよ?」
「い、いえ、そう言う問題ではなくて……」
石動の発言に内心呆れてきた祐介、そして石動は『さて、まずは彼女の体を見よう、体を見て、能力が分かるかもしれないからね』と、言って、保奈美の体を隈なく触る、すると『胸とか、セクハラに当たる部分は触らないで下さいね!?』と、忠告する保奈美、すると石動は『触らないと君を元に戻せないかもしれないんだぞ?それでもいいの?』と、横目で見る、横目で見る石動に恐怖し、『い、いえ……』と、返答する保奈美、そして石動は胸でも関係無しに揉んだり、掴んだりして、『柔らかい、筋肉が無い証拠だ』と、関係ない事を呟く。
「あ、あの?石動先生?真面目にやっています?」
「漫画家に真面目な奴はいない」
「おい、それ、相当、いや、とんでもない暴言じゃないですかぁ!?い、いやいやいやいや!石動先生がそうであっても、他の漫画家さんが真面目では無い可能性は無いじゃないですか!?」
石動の発言にツッコミを入れる祐介に対し、石動は、『いや、一ページ描くのでさえ大変なのに、それを約二十ページ描かされる週刊漫画家は凄いぞ?』と、言われ、『まぁ、確かに?』と、祐介は納得する。
「真面目だったら、もっと他に職を探すし、画家とか、贋作を作る技師にでもなればいい、だろう?」
「ま、まぁ、そりゃそうですけど?」
「だから不真面目な奴が漫画化になるんだ、分かる?」
「は、はぁ……」
「という事で、漫画家のお話しゅーりょー、さぁ、触った感想は柔らかい、だけだね、もう少し筋肉をつけようよ?」
いきなり話を変える石動に対し、保奈美がツッコミを入れる。
「いや!?戻れないから筋肉も筋力もつかないんですが!?」
「あぁ、そりゃそうか、忘れていた」
石動はそう言って、頭を掻く、ほ、本当に大丈夫なのか、この漫画家?保奈美はそう思いながら、石動に疑いの目で見る、すると石動は静かに『さて、巫山戯た発言も終わらせてっと……さて、それでは保奈美ちゃん、君の能力を解説しようか?』と、言って腕を組む。
「えっ?も、もう分かったんですか!?」
腕を組む石動に対し、驚く保奈美、すると石動は『まぁ、『一目見ただけで分かっていた』しねぇ?今迄遊んでくれて有難う』と、発言する。
「え、えぇっ……!?そ、それじゃあ、私、遊ばれていたって事ですか?キャバクラかよ!?酷いですよ!?私の体を弄ぶなんて!?私の発言を弄ぶなんてぇ!?」
「いやいや?ほら、よく言うだろ?リラックスリラックスって?僕はその為に試行錯誤してたんだよ?」
「いや、してないでしょ!?」
笑う石動に対し、保奈美は怒濤のツッコミを浴びせる、そして、石動は『分かった分かった、今から真面目にするから?』と、言って、近くの椅子に座って、説明を開始する。
「えー、まず、単刀直入に……というか、あっさり単刀直入に言ってしまえば、保奈美ちゃん?君の『能力』は『分割する能力』だ、『君の意識』と、『君の肉体』、それらが『分裂した能力』って、事だね?」
「ちょ、ちょっと待って下さい!?」
石動の発言を受けて、祐介が止めに掛かる。
「待って下さい!?それは有り得ません!だって、この保奈美ちゃんは『暖かい』んですよ!?もしも『意識』なら、温度も持たないのでは無いでしょうか!?」
祐介はテレビの前の保奈美を指差して言うが、石動は『それは君の勘違いでは無いだろうか?『そもそもとして、君が保奈美ちゃんの温度を感じた場所は『元々君が座っていた場所』っていう可能性』があるからね?』と、説明を行う。
「言わば、君の勘違いも有り得るんだ、分かるかな?」
「で、でも……!」
「じゃあ何だ?『温度を持った意識』って言いたいのかな?」
石動の発言に対し、祐介は静かに食い下がろうとするが、論破する言葉が見付からない、すると保奈美は石動の手を掴み、『こ、これでも温度は感じませんか?』と、言う。
「……暖かい、だと!?」
驚く石動に対し、『ほら!』と、言う祐介、そして祐介は『意識だけなんでしょう!?じゃあ、『温度が有る意識』なんて、有り得ない筈です!』と、指を指して言う、石動は『くっ……確かに……じゃあ、『温度が有る意識』ってぇ、事なのか……!?』と、顎に手を当てて、考える。
「いや、それは分からんけど……?」
祐介は石動の発言に少し呆れながら、息を漏らす、そして、石動は椅子に座りながら、顎に手を当て、考える──祐介はその場で、『一体どう言う事なんだろう?石動先生の予想が外れた?能力が外れた?いや、でも、それは可笑しいよなぁ?だって、『神』の『能力』なんだから……』と、思いながら、戸惑う保奈美をただ、見た──
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