コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 世界終了ハウマッチ!?
- 日時: 2015/10/28 20:57
- 名前: 彩都 (ID: vKymDq2V)
初めまして、彩都(サイト)と申します。
四作目です。
帰宅途中に思い付いた五分クオリティです。
気楽にお読み下さい。
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- Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.149 )
- 日時: 2017/09/27 22:32
- 名前: 彩都 (ID: h4V7lSlN)
「さぁ、今は楽しんでご飯を食べましょう、明日、僕は忙しいので」
「へぇ、そうなのか、それならさっさと食べてさっさと帰らないとな?」
「いえ、大丈夫ですよ、のんびり行きましょう、どうせ学校なり塾なりで寝れますし」
厳魁は目を横目にして先宮に言う。
「おいおい……それはダメだぜ?」
「確かに先宮さんの言う通りだ、まずはあの馬鹿を止めてから帰るか」
「アハハ……皆さん気を使わなくても良いのに……全部全部自分が悪いんですし……」
「いや、それは大人としての礼儀さ、さて、手を動かして、口も動かそう、眠たくても食わないと削られた体力は回復しないからな」
「確かにそうだね……うん、矢張りファミレスはいいねぇ」
先宮と弓華はそう言って、目の前の料理を食べ始める、厳魁も『この人には何を言っても無駄だ、流れるように行動しなきゃ』と考え、静かに食べ始める。
「うーん、バイキングは最高ですねぇ!」
「ま、まぁな……それより早く食べて帰ろうぜ?眠たくて仕方無い」
「ん?あぁ、それもそうですね……さっさと食べますか」
先宮の発言に頷く祐介は食べるスピードを上げる、その姿を見て三人は苦笑するしかない。
「コイツ、どんだけ食うの?本当に怖いんだけど?」
「だ、だから相当体力を削ったんでしょう?能力を使って……な訳ないかぁ……」
「コイツ、食い意地張っている、というより、大食漢……?」
「そ、それも有り得ますね……」
「ん?大食漢じゃないぞ?父さんもそれ位簡単に平らげるし、母さんも時間は掛かるが平らげる」
「おっと、大食い家族か」
「そうとも言えますね、結構食べるな、自分の家は」
「成程……でも早く食べてくれ、眠たい」
「は、はい……」
先宮に言われた祐介は色々な食べ物を口に押し込んで食べていく、そんな祐介を見て、どっと胃が膨れる感覚を覚える三人。
「…………」
「…………」
「…………」
「祐介、お前俺の分も食うか?」
「わ、私も……」
「ぼ、僕も……」
「えっ?急にどうしたの三人共?」
「……いや、別に……?もうお腹が一杯ってだけだよ?」
「そ、そうだぜ?」
「そ、そうですよぉ!」
「ふぅん……じゃあ遠慮なく頂きます」
祐介はそう言って三人の料理も平らげる、その姿を見て戦々恐々する三人、今度からコイツにはバイキングがある料理を食べさせた方が良いな、と思う三人であった──
「ふぃー満腹満腹……」
「満腹?バイキングのパンを20個も食べやがって……店員さん驚愕していたぞ?」
「えへへ……つい美味しくて」
「ついってレベルじゃない!?」
「アハハ……それじゃあ会計でもしますか、えーと、財布財布っと……」
満腹状態の祐介は財布を捜す、だが先宮が止める。
「いや、いいよ、どうせ俺が支払うし」
「いえ、自分の分は自分で払わないと」
「……甘えても良いんだけどなぁ」
「いえ、お金の問題については結構面倒な事があったりしますので、ねぇ?」
「いや、俺が支払うから良いけれど……」
「……じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」
「それでいい」
先宮はそう言って、会計に向かい、支払いを行う。
「合計金額6,680円となります」
「一万円で」
「有難う御座います、お釣りは3,320円となります」
「あいよぉ、おぅい、三人共、支払いが済んだから、こっちこぉい」
「はい、分かりましたぁ!」
「あっはい」
「ふむ」
先宮の言葉を聞いて、三人は反応し、四人で店を出る、そして四人で先宮の車に乗り込み、五人で帰路へ向かう。
「それにしても祐介、お前結構食ったなぁ」
「アハハ……自分でも驚く位食べましたよ……」
「そ、そうか……それにしても、あの『施設』……崩壊すれば良いな、もう死者も負傷者も出して欲しくない」
祐介を弄った先宮が急に低音で喋る、笑っていた祐介も先宮の声を聞くや否やすぐさま顔を真剣な表情に変える。
「……そうですね、何もかも終われば良い、人を傷付ける奴は能力者無能力者関係ないんだ……そう、駁の様に自分の私利私欲の為に春華ちゃんを……!」
「言うな、それ以上は……!」
「……すみません、つい口が滑ってしまいました」
「滑ったってレベルじゃないんですけど!?」
「まぁまぁ、過ぎた話ですし……閑話休題して、でもどうするんです?色々な犯罪──殺人やら、尊厳無視とか──を犯している施設ですし、すぐさま警察の手が?」
「……どうだろうな?俺一人の言葉では信じてくれるかなぁ?」
「…………どうでしょうね?熱心な説得をすれば理解はしてくれるかもしれません、大変根気のいる作業ですが」
「おれ、根気とか嫌いなんだよなぁ……あぁ、面倒だ……」
「面倒だ、とか言わないで下さいよ……厳魁君の──おっと」
先宮と会話する祐介、すると祐介は口を閉じて、後部座席を見るように指示する。
先宮は赤信号になったので、後部座席を確認する、すると口に人差し指を置く弓華の隣、弓華の方を使ってすやすや寝ている厳魁が居た、疲れて寝てしまったか、と先宮は察し、スピードを落として運転をしようと考える──人間の寝ている表情は可愛いな、先宮はそう思いながら青信号になった道路を運転する──
- Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.150 )
- 日時: 2017/09/30 21:22
- 名前: 彩都 (ID: DMJX5uWW)
「…………むにゃり?」
厳魁はそう言って目が醒める、そして目の前がとても柔らかかったので、不思議に思い、顔を押し付ける、すると『ひゃん!』と可愛い声が聞こえ、一気に目が醒めた。
「!?」
厳魁は目を擦って周りを確認する、すると目の前に弓華の胸があった、あぁ、胸に顔を押し付けていたから顔面が柔らかかったのかぁ……そう考えて、厳魁は顔を赤らめて、小声で謝罪する。
「す、すみません!寝ている間に!」
「い、いやいいよ……だって計画したの祐介君だし?」
「はぁ?祐介さん?何の事です?」
「いや、だから、祐介君が『弓華さんの胸の上で厳魁君が寝ているドッキリを仕掛けましょう』と言って来たんだ、だから乗っただけで実際は祐介君が悪い」
「おっと俺が悪い様に言うだなんて……世も末だな」
「そうか、もう世も末なのか」
「何だ?もう世は末状態なのか?どっかのモヒカンがヒャッハーするってか?」
「もうしているんじゃないか?」
「えっ?何それ怖い」
「うん、俺も怖い」
「えぇ……」
「で、楽しんでいる所すみませんが、此処は何処なんです?」
厳魁がそう言うと、先宮が口の端を歪ませて言う
「此処?あぁ、駐車場、厳魁君の家に連れて行こうとしたけど、そもそも君の家が分からなかったから、起こす破目に」
「あぁ、成程……態々(わざわざ)すみません……えーと、僕の家は……」
厳魁はそう言って自分の住所を説明する、そして住所を聞いた先宮が頷く。
「なぁるほど、そこかぁ……其処の近く、実は殺人事件と麻薬自殺が起きた場所に近いなぁ」
「おっと、こんな深夜に話をするとマジに怖くなるんで止めて下さい!」
「なっはっは!」
「笑い事じゃないですよ!明日から寝れなくなりそう!」
「じゃあ寝なきゃ良いんだ」
「何と言う極端理論!?い、いや流石に寝ますよ?今日だって少しは寝ますよ、ベッドの上……」
厳魁がそう言うと、今の自分の状況を思い出す、そ、そういえば僕、まだ弓華さんの近くに居るよな……?厳魁がそう思うと、急いで姿勢を正し、両手を膝の上に移動させる。
「んー?どうしたんだぁ?」
「い、いえ!何でもないです!そ、それでは先宮さん、発進を御願いします!」
「あいよぉ」
先宮はそう言って、車を走らせる──厳魁はバレていないよな?と思いながら弓華さんから顔を逸らす──そして車を走らせて約十五分、閑静な住宅街に先宮の車が侵入する、そして一軒の家の前に止まる。
「ほら、到着っと」
「あ、有難う御座います、バイキングを奢ってくれて、家にも送ってくれて……感謝してもしきれないです」
「いやいや、別に良いって事よ!それじゃあ、会えたらまた会おう」
「えぇ!」
厳魁はそう言って頭を下げる、そして先宮の車と厳魁は別れを告げる──別れを告げた厳魁は静かに自宅の中へと消えていく──
「それにしても厳魁君にもそういう『感覚』があるんだねぇ?」
車の中、不意に弓華が言う、弓華の言葉に先宮が返答する。
「ん?どうしたんだ?」
「いやぁ、実はさ?厳魁君が私の胸の中で寝ている事に気が付いて顔が赤くなった時ね?『反応』していたんだよね」
「……あぁ、はい、言いたい意味は分かったぞ弓華さん……」
祐介がそう言って、弓華の言いたい意味が分かる、そして祐介がその次の言葉を急かす。
「で、それがどうかしたんですか?」
「ん?あぁ、厳魁君は草食系男子かなぁ?って思っていたんだが……ちゃんと私の体で『反応』するから安心した」
「……はい?アンタ何言ってんの?」
祐介は弓華の発言を聞いて、若干引く。
「えっ?何それ?年下の少年愛発言?そういう人種でしたか、俺には理解出来ないな」
「ち、違うよ!ちゃんと男の子の機能が発達しているかって問題!ほ、ほら、祐介君も私の胸に飛び込んできな!?」
「厭に決まっているでしょ!?恥ずかしいですよ、十七歳男子として!」
祐介はそう言って頬を赤らめる、すると弓華が手を上げる。
「はいはーい!先宮さん、此処で止めてくれるかな?」
「えっ?いいのか?」
「良いですよ、此処、自分の家の近くなので」
「あぁ、そうか、それならもうすぐ止める」
先宮はそう言って、少し移動して、車を止める。
「此処で良いか?」
「えぇ、有難う御座います、それでは、三人共、良い夢を」
弓華はそう言って祐介、先宮に手を振って、角を曲がる、はぁ、と溜息を吐いて祐介は言う。
「それでは帰りますか」
「そうだな」
二人はそう言って、車を発進させる──そして少し進んだ所で祐介が言う。
「あっ、此処で停めて下さい」
「ん?此処で良いのか?」
「えぇ、少し夜風に当たりながら帰るので」
「……そうか、今日は色々な事があったからな」
「えぇ……自分の中では今日は色々な事があった日ですからね……」
祐介はそう言って、深い溜息を吐く、すると車が急に止まる。
「此処で良いかな?」
「えぇ、大丈夫です、それでは先宮さん、今日は色々有難う御座いました」
「別にそんな事は無いさ」
「そんな事はありますよ、では、警察のお仕事、頑張って」
祐介は先宮の車から降りて、手を振る、先宮も手を振って、車を発進させる──今日は色々な事があった、とんでもなく、アドベンチャーな日だった。
「……能力者を救う事が出来たのだろうか?」
ふと、祐介はそう呟いた、だが、祐介は首を横に振って、その考えを霧散させる。
今そんな事を考えても意味が無い、何故なら『それ』は実現したかもしれないからだ、いや、実現していないかもしれない、でもそんな事を考えても前に進む事は出来ない。
『実現した』、そう思ってさえいれば、何事も安心だ。
祐介はそんな事を思いながら自宅へと向かう──あぁ、今日はとても疲れた、相当寝れるだろうなぁ……?祐介は欠伸を吐きながら虚空と輝く星を見つめた──
- Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.151 )
- 日時: 2017/10/01 21:25
- 名前: 彩都 (ID: ae8EVJ5z)
『世界終了ハウマッチ!?』 本章 第八章 訪れた絶望
……、…………、………………、……………………、目の前にあったのは空虚だった。
突然襲い掛かった空虚に少年祐介は左腕を両目の所に横たわらせ、視界を塞ぐ。
昨日は能力者達の未来を救うべく、色々な存在と戦った、そしてその後腹が減ったので、バイキングを奢ってもらって、その後は家に帰ってきて……と、横たわる前の事を思い出して、今に至る。
はぁ、やる事が無い、日本に隕石が降るのはどうせ約四ヵ月後、だからやる事が無い。
というか、仲間集めなんか約四ヶ月の間で出来ると思う……祐介はそう思いながら頭を掻く。
さて、いい加減起きないとなぁ、祐介はそう思い、起き上がる、次に欠伸をして、時間を確認する、時間は昼の二時だった。
「……二時かぁ……ん?二時だって!?えっ!?あの昼の!?うっそだろ……寝過ぎだ自分……」
祐介はそう呟いてその場で溜息を吐く、流石に昼飯は用意されていないだろう、と思い、頭を掻く。
しかし、まだ暑いな、昨日の夜はあんなに涼しかったのに……祐介はそう思い、急にアイスクリンが食べたくなった。
「……氷檻さんの所へ行こう」
祐介はそう呟いて、財布の中を確認し、自転車で氷檻の所へ向かおうと思ったが、歩いて食べたかったので、電車を使う事にし、一階に向かい、昼寝中の母を横切り、自宅を出、駅へと向かう──
「やぁやぁ、こんにちわ」
「えぇ、こんにちわ……えーと、アイスクリン一つ」
「あいよぉ!三百円ねぇ?」
「小銭が無いので、千円から」
「分かったよ、はい、おつり七百円」
「えぇ、すみません」
「いやいや、店のリピーターになってくれるだけでもマシさ」
そう言う氷檻からコーン付きのアイスクリンを受け取る祐介、祐介はアイスクリンを舐めながら静かに話し始める。
「アハハ……でも、氷檻さんのアイスクリンは美味しいですよね……俺、実はアイスクリンを小さい頃、すっごく食べていたんです、日曜参観とかの日、母が一緒の時とか、遊園地に行った時とか……よく食べましたね、でも、最近食べなくなりましたね、だって、今の世の中、アイスクリームとか、棒付きアイスとかがあって、中々アイスクリンとか食べませんしね?そんな中、店頭で売っているアイスクリンを見つけて、此処で食べている」
「フフッ、それは作る側の私にとっても嬉しいよ」
「そうですか……そういえばこのアイスクリン、氷檻さんの能力で作っているんですか?」
「ん?そうだよぉ、私の身長とこの機械、大体一緒でさ?両手で能力を発動して作っているんだ、因みにこっちに来れば分かるんだけど、二層式になっていて、上のが切れたら、下の奴に入れ替える事が出来るんだ」
そう言って氷檻は内側の戸を開けて、新品のアイスクリンを取り出す。
「へぇ……その機械、面白いなぁ」
「ウフフ、そうでしょ?これ、私の夫の手作りなんだぁ!私の夫は機械を弄くる仕事だから、身長と中身を合わせて作ってくれたんだぁ!」
「成程、それなら細かい注文も安値で請けてくれるんだ……」
祐介はそう言って頷く、すると汚いおっさんが祐介と氷檻の前に現れる。
「……」
「あっ、アンタは!?俺じゃないか!どうして此処に!?」
「ん?俺だってアイスクリンを食べたくなるんだよ……未来じゃあ砂糖その物が無いからな、作る事が出来ない」
「へぇ……ん?待ってくれよ?何でそうなっているの?隕石が落ちるのって日本だけじゃん?更に世界には被害は行っていない筈……」
祐介がそう言うと、汚いおっさんは首を横に振って答える。
「それは違うぞ?隕石が降って、日本が壊滅しかけているんだ、日本に援助をしようとする国もあるが、日本に近づけずに、援助が出来ないんだ、結構めんどい事が起きているんだ」
「成程……外国の面々が日本に近づけない程未来は……だから俺が救わないと……!」
「うん、その意気で頑張ってくれ……あぁ、氷檻さん、アイスクリンを一つ」
「あ、あいよぉ?」
祐介と汚いおっさんの話を受け、混乱する氷檻、そして氷檻は汚いおっさんにアイスクリンを渡す。
「お待ちどぉ」
「あぁ、有難う御座います……えーと、お金はっと……」
「俺が払おうか?未来のお金しか持っていない場合どうするんだ?未来の硬貨では払えないだろ?」
「過去の自分に払ってもらうような落ちぶれてはいねぇ……流石にこっちに来る時に支度はしている」
「何だ、面白くない」
「流石過去の自分、とても腹が立つ」
汚いおっさんはイライラしながら氷檻に現代のお金を渡す、そして氷檻はそのお金を受け取る。
「うーん、まさかの全硬貨去年のだ……本当に支度しているんだぁ」
「えぇっ……氷檻さんも……?」
汚いおっさんの発言に何か引っ掛かりを感じる祐介、祐介はその引っ掛かりを汚いおっさんに言う。
「ん?ちょっと待て、今気付いたが、何でアンタは『氷檻さんの名前を知っている』んだ……!?」
「そ、そりゃあ俺だってお前と同じ様に仲間を集めたんだ、だけれど、達成されなかった──というより隕石落下を阻止出来なかった──未来の存在だ、だから知っているんだよ」
「へぇ……『仲間を集めずに隕石落下した未来』の自分だと思ってた」
「私も」
「えぇ……」
二人の発言を聞いて、汚いおっさんは落胆する──そして汚いおっさんは氷檻からアイスクリンを受け取って、食べ始める──
- Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.152 )
- 日時: 2017/10/04 21:25
- 名前: 彩都 (ID: 59tDAuIV)
「ふむ、矢張りこの時代のアイスクリンは至高だな」
汚いおっさんはそう言って、視線を落とす、祐介はそんな姿を見て不思議がる。
「『この時代の』?どういう事だよ、未来の俺よ?」
「ん?簡単だ、『未来ではアイスクリンはおろか、そもそも砂糖が無い』んだよ、ほら、少し前に言ったろ?『外国の面々は崩壊した日本に近づく事が出来ない』ってな?その影響でサトウキビとか甜菜もやられたんだ、だから砂糖を輸入しないといけない、だが輸入する方法は?」
「あっ……つまり、『日本が崩壊した所為で援助のしようも無いから、何も援助する事が出来ない』、だから……『砂糖も援助する事が出来ない』ってか?」
「正解、だから少しでもこの時代で堪能しておくのさ、俺は」
「ちょ、ちょっと待って下さいよ?そういえば貴方は『タイムマシンで来た』、と言っていましたよね?他の人は?タイムマシンで来ていないんですか?」
祐介と汚いおっさんの会話にいきなり介入してくる氷檻、氷檻の発言に汚いおっさんは静かに答える。
「来ている訳無いだろ?来ているとしても、『俺の知り合い』だけだ、だってタイムマシンを作ったのは俺、タイムマシンを作る所為になったのは、約半年後の隕石落下で、だ……だから俺の知り合い以外このタイムマシンは知らないな」
「へぇ……成程」
「それに、自分が元の世界に戻る迄タイムマシンは使うな、とも言っているから使わないだろうな」
「良く分かりました」
氷檻が汚いおっさんにそう言うと、祐介は自身の『能力』の事を思い出す、そうだ、このおっさんに話しておかなければならない事なのだ、自分はそう思い、汚いおっさんに言う。
「あーえっと……未来の俺よ、少し二人で話し合わないか?ちょっと色々聞きたくてね?」
「ん?何なんだ?此処で話せない用か?」
「……まぁ、そうだな」
「それじゃあ氷檻さん、また今度、隕石が降る前に来ますよ」
「えっ……あぁ、有難う御座いましたー」
自分はそう言って、静かに氷檻の前を離れる、そして祐介は汚いおっさんと共にアイスクリンを食べ終え、河川敷に移動する、そして橋の下、陰になった砂利道に祐介はヤンキー座りをして、汚いおっさんに問いかける。
「……なぁ、未来の俺よ」
「…………何だ?」
「何で俺の能力の所を黒く塗り潰したんだ?」
「そ、それは簡単だろ?弱い能力だか──」
「違うな、『あまり使用して欲しくなかった』からだろ?」
「──!」
汚いおっさんは顔を顰(しか)めて祐介を見つめる、そして深い深い溜息を吐く。
「……はぁ、確かにそうだな、あまり迂闊に能力を使用して欲しくなかったな、だがそれがどうした?」
「それがどうした?じゃないよ、いい加減俺の能力を教えて欲しい、どんな弱い能力でも良い、俺は……厳魁君の時に気が付いた、『自分の能力を自由に使えたら……』と、だから教えて欲しいんだ、俺の能力を……!」
真剣な眼差しで祐介は汚いおっさんを見つめる、そして汚いおっさんは静かに発言する。
「……分かった、言えば良いんだろう?お前の能力、それは──」
遂に自分の能力が分かる……そう思うと少し心臓が高鳴る、そして汚いおっさんが祐介の能力を言う。
「それは──『諦めない』能力じゃ」
「……『諦めない』能力……?何だそれは?」
「そうなるから言いたくなかった」
汚いおっさんは頭を掻いて、祐介の隣に凭れて話す。
「この能力は少し特殊でなぁ……『能力を発動している間、相手の能力を受けない』能力なんじゃ──と言っても、『全ての能力を受けない』という訳では無い──例えば、『心を読む』能力とかは防げても、『時を止める』能力は防げなかったり、等な?他にも発動条件がちとややこしいのじゃ」
「えっ?何それ?一種の無敵能力じゃないか?」
「まぁ、要約すれば、な?だが、『何時でも発動する事が出来る』って訳じゃないから、使い所は結構狭まるがな?」
「うーん……えーと、発動条件って?」
祐介が汚いおっさんの話を聞いて、そう言うと、汚いおっさんは足元の石を持って、祐介に言う。
「そうじゃなぁ……ほら、例えばこの石、小さくて、お前に当ててもあまり痛くないじゃろ?」
「えっ?突然どうしたんだ……?いや、話は戻すが、確かにあまり痛くないな」
「でも、『この石が巨大な岩だった』らどうじゃ?」
「避けられないサイズ?」
「うん」
「それじゃあ死ぬね」
「そう、死ぬ、もしくは生きている、だが重くて死にそう、だが、その時、『諦めない』能力は発動する事が出来るんだ、それはどうしてだと思う?」
「えっ?そ、それは……『死にそう』だから?」
「うーん、ちょっと惜しいな、『『死ぬ』と直感した時、能力のトリガーが発動し、能力を発動する事が出来る』んだ、だから、『死の直面に出会えば自然に能力を発動出来る』んだ、もしくは『自分の知っている存在が危機に陥った時』とかな?」
「『自分の知っている存在が危機に陥った時』とか……?あっ、あの時かぁ」
祐介は顎に手を当てて、藍綬廊との戦いを思い出す、確かにあの時……『アリスちゃんの悲鳴が聞こえて、アリスちゃんが『危険だ』と判断した』から……『能力が発動した』って事か!祐介はそう考えて、納得する。
「それが能力を発動する発動条件じゃ、それ以外に発動条件は分からない、そして俺でも発動を自由に操れないからな……其処は難点だが」
「成程……俺の能力がこんな能力だったとは……」
祐介はそう言って、右手を強く握り、拳を作る、これで少しは自分の能力について理解する事が出来た、祐介はそう思いながら右手の拳を握る力をもっと強める──
- Re: 世界終了ハウマッチ!? ( No.153 )
- 日時: 2017/10/07 21:34
- 名前: 彩都 (ID: OZDnPV/M)
「ありがとよ、これで自身の能力が良く分かった」
「それは良かったな」
汚いおっさんはそう言って、もの悲しげな表情をして、横目で空を見上げる、空は青空だった。
「……どうする?これから?」
「そんなの決まってるじゃないですか、仲間集めでしょ?」
「果たしてそう簡単に出来るか?」
「さぁ?でも、時間を潰して、半年以内に仲間を集めればいいんですから」
「はっ!結構歓楽してんな、俺もそんな少年時代を過ごしたかったぜ」
「アハハ……って、そういえば、未来はどうなっているんだ?他にも教えてくれよ?」
汚いおっさんと話をしていて、急に祐介は新しい話題を切り出す、すると汚いおっさんは顎に手を当てて、静かに考え、思い出してから祐介に言う。
「そうだな、隕石が落下して、数日、日本は太陽の光を見る事が出来なかった、そして隕石が落下して、数日からまた数日が経って久し振りに太陽の光を見る事が出来た、次に日本国民は自国の惨状に気づくんだ、そして、地上は危険な扱いされて、余った資材で地下にシェルターを作って、そこで過ごす事になるんだ」
「ん?ちょっと待って?それなら外国が日本の地下のシェルター経由で食料とかを送れば……」
「馬鹿、日本は海が四方八方にある国だぞ?経由する道を作るにもまず水を、海水を排除して作らないといけない、その金を全て外国が持つんだ、金が無い日本が払える方法があるか?シェルターの中で怯える子羊が金を払えるのか?無理だろ?」
「た、確かに……」
汚いおっさんの正論に考えが幼い祐介は消沈する。
「それでえーと……シェルターの話だったな、その中で俺は数人の仲間と共に地上再建の方法を考え、機械を作っていた、そんな中、完成したんだよ、悪魔の機械、『タイムマシン』がな……」
「そ、それで?『タイムマシン』を開発する迄の日本は?」
「さぁな?俺は地上再建の方法を考え、悪魔の機械『タイムマシン』を作った、そこ迄の時間と出来事しか知らないし、他の事はあまり知らない」
「う、うーん……そ、それじゃあ新聞とかはどうなの?新聞って毎日存在しているでしょ俺の時代では?地震や台風、地割れ等の震災が起きても、数日後には被災地に新聞を届けられるし……隕石が落ちた後、新聞はどうなったの?」
「さぁな?そこ迄は考えが及ばなかったな、だが、紙を再生紙にする為に古紙を回収する業者は居た、だから新聞も時間は掛かったが、復活したんじゃないか?」
「結構あやふやな解答だな」
「フンッ、地上再建の為に血と汗と涙を流しただけだ、それ以外の事に気が回らなかったんだよ」
そう言う汚いおっさんを見て、祐介はジト目で見つめる、続けて汚いおっさんが言う。
「えーと、そして俺はその時謎の機械だった『タイムマシン』を使用して何が起きるかを試したんだよ、すると『数分前の世界』に戻っていたんだ、そこで確信したね、『俺はとんでもない機械を作った』ってね、だからこの機械に全ての運命を賭けた、色々な時間移動を行える様に、元の時間軸に戻れるように……そして数ヶ月で『タイムマシン』は完成した、其処からが問題だった」
「はぁ?其処からが問題?それってどういう事なんだ?」
祐介がそう言うと汚いおっさんは祐介の眉間を指で回転させながら擦り付けて言う
「考えてみろ、俺は『何回過去へと飛んだ』か?答えは簡単だ、『何回、何十回、何百回、何千回、何万回、何億回も過去へ飛んだ』んだぞ!?なのに幾ら試しても『隕石が落下して、日本が崩壊する未来しかない』んだぞ!?何回も何回も過去に移動して、理解する事は一つだろ!?『過去を変える事が出来ない』って事だ!分かるか!?お前に!過去の俺に『未来が崩壊した姿』ってのを!?」
「…………」
汚いおっさんの迫真の言葉に無言になるしかない祐介、そして汚いおっさんが言う。
「……少々取り乱してしまった、俺は期待しているぞ、今の君に……!今の君は、今迄とは少し違う雰囲気を感じるんだ、だから、今回の君に運命を決める権利を与える!頼む!未来の俺を救ってくれ!過去の俺!」
汚いおっさんはそう言って頭を下げる、そして祐介は静かに汚いおっさんの顔を上げる。
「ま、待てよ……頭を下げるなって……俺はお前の、いや、未来の俺の未来を変えてやる、だから顔を上げてくれよ?顔を上げて、呑気に笑おうぜ?今はそれで我慢してくれ?なっ?」
「……そうだな、そうする事にしよう」
汚いおっさんはそう呟いて顔を上げる、そして汚いおっさんは祐介に背を向けて発言する。
「それじゃあまた会おう、過去の俺、俺は今から色々な所へお前の仲間勧誘の手伝いをしよう、善は急げ、時は金なりだ、すぐさま行動しなくては」
そう言って汚いおっさんは去ろうとするが、祐介がそれを止める。
「ま、待ってくれよ!」
「ん?何だ、早めに用件を言えよ?」
「あー、えっと……が、頑張れよ?俺だって頑張るからさ?お互い頑張って行こうぜ?」
「……フッ、何だと思えばそう言う事か、あぁ、そうだな、お互い頑張って行こう、それじゃあ」
汚いおっさんはそう言って、ゆっくり歩き、河川敷に出る、自分も頑張らなければ……祐介は静かにそう思い、汚いおっさん同様、走って河川敷に出る──今日も頑張って、明日も頑張ろう、そう思いながら──
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