― 君と出会えた日― 名の無い少女 作者/浜頭.悠希...〆
―序章―
♪~♪♪~♪~~♪~・・・
天井がやけに高く、正方形の部屋でリボンを宙に舞わせ、踊り狂う少女が居た。
リボンは5メートル程あり、色は黒。
スティックの色は白い。
♪♪~♪♪♪~~~♪~
音楽のテンポが早くなると、咄嗟に彼女の動きも早くなって行く。
彼女は横向きにジャンプをし、着地した途端に両足でクルリと一回転し、高くリボンを投げた。
空中で黒いリボンがフラフラリと舞う。
その間に綺麗に足を前後に開いた。
リボンもその動きと一緒に下へ舞い降りて来る。
後ろ足を内側に曲げて反り、リボンを取った。
両手を開いてリボンを綺麗になげ、その体勢のまま両手を広げた。
そして、彼女の一日も始まった。
第1夜「狂い」
パチパチパチパチ・・・
ドアの方から拍手が聞えた。
私は体勢を崩さず、横目で見た。
「いやー・・・・・・・
やはり君が踊る物は全て美しいね~・・・」
と拍手しながら笑うメガネの男。
黒の教団室長、コムイ・リーだ。
「・・・室長」
恐らく今日も仕事をサボって来たのだろう。
「いや~・・・
今回君に一つお願いがあるんだ・・・」
「お願い?なんですか?」
私はリボンを片付けながら言う。
「僕を此処に匿ってくれないかな」
耳元でコムイが言う。
「嫌です、出てってください」
と私は言う。
「・・・いや・・・でもさ・・・」
「いいから出て行ってください」
ゴンッ!!
私はコムイの腹を蹴った。
「うわぁ~・・・!!!」
遠い部屋のドアまでコムイは跳んで行った。
「今度来たらぜってーメッタ刺し・・・」
と呟いた。
―まるで彼女は踊り狂う人形のよう
彼女を一目見れば誰でも時間が止まる―
第2夜「挨拶」
「・・・室長!!!
またセリーヌの部屋に居たんですか!?」
「今すぐ捕まえろ!!!」
科学班の奴等が部屋の外でドタバタ騒動を起こしていた。
「朝からお騒がせしてすまないな・・・。
このまま任務が入らない限り続けてくれ。
あっ!!逃げたぞ!
追え!!」
科学班班長リーバー・ウェンハムは朝から忙しそうだ。
科学班の奴等も大変だな。
「リーバー班長!」
私は去り行く班長を呼び止めた。
「おはようございます!」
笑顔で言った。(なんとなく)
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