― 君と出会えた日― 名の無い少女 作者/浜頭.悠希...〆

第6夜「ノアの言い分」



「・・・だよぉ」


「はぁ?・・・・・だろ」


「・・・だね・・・・ヒヒッ!!」


誰かの話し声が聞える。


恐らく、ノアの奴等だ。


「・・・ウッ・・・」


私はようやく目を開けた。


「あっ、伯爵ぅー、起きたよぉ~」


とロードの声。


その声を聞いて私はハッとした。


「おヤ?♪
 どうやら起きたようですネ♪
 みんナ、この子に話をつけてあげましょウ♪」

と伯爵の声がした。


「・・・はな・・・し?」


そういう私の目は虚ろだった。



―悪性兵器、アクマのように―


「まずぅ~
 君を僕達はどうしても必要としてるんだよぉ~」

「お前は俺等の手伝いをするんだよッ!!!ヒヒッ!」

「俺を手伝え!!」


等とめちゃくちゃな言い分ばかり。


「要するに、お前は世界を壊すのに、
 絶対に必要なモノだ。」

と色黒の背の高い男が言う。


「ティッキーはバカだから説明してもわかんないよぉ~」


「「「「ギャハハハハ!!!」」」

全て聞えないフリをした。


―聞きたくなかった―



第7夜「新しい名前」



「お前は世界で唯一、
 『世界を壊す』コトが出来る、
 『万年珠』と呼ばれる物質を持った
 選ばれし人間なのデス♪
 我々は世界の終焉を望んでいル♪

 そこでお前、
 セリーヌ・レドリアが必要なのデス♪」

と伯爵が言う。

「・・・私が・・・必要・・・?」

今までこんなコト言ってくれる人など居なかった。


『不必要』だと言われていた私を、


『必要』だと言ってくれるなんて―――。

「お前は万年珠を生まれ持った人間デス♪
 お前が望めば何だって壊すコトが出来、
 お前が望めば何だって作るコトが出来マス♪

 お前が望めばのお話ですガ♪」

と伯爵がニヤリと笑った。


「・・・しは・・・・・・を・・・望む」

私はボソリと言った。


「はイ♪?」

「私は・・・世界の終焉を望みます!!!」


と誰にでも聞えるように強く言った。


「!!」

ノア一族の目の色が変わった。


こんなに早く飲み込むとは思っていなかっただろう。


そんな中、伯爵はニヤリと笑い、


「よくゾ行ってくれましタ♪
 世界崩壊以外で、小さな望みを叶えましょウ♪

 何がいいですカ?♪」

と言った。


「今までの私の記憶を全て消して!!!
 此処に来る前の記憶を全て!!!」

と私は必死で叫んだ。


「叫ぶほど辛いのですネ♪
 いいでしょウ♪今すぐ消してあげましょウ♪
 完璧に消したいなら強く、願ってくださイ♪

 『記憶を消したい』ト♪」

と伯爵は言う。


私は瞳を閉じて、願う。


『記憶を消して』


と・・・。



第8夜「全ての記憶」



「・・・私が誰だカ、分かりますカ♪?」

私は目を覚ました。


「千年伯爵・・・
 世界の終焉を望む者」

「でワ♪
 ここに居る者たちハ♪?」

「ノアの一族・・・
 ノアの遺伝子を生まれ持った、選ばれし神の使徒」

と私は虚ろな目になりながら言った。


「いいでしょウ♪
 お前の名は今日かラ、

 『ユリア・セルダ』デス♪
 これからハ、この名前を名乗りなさイ♪」

と伯爵は言った。


「ありがとう御座います・・・」


「いーじゃ~ん?
 伯爵ぅー、この子アレンジしても良~い?」

とロードが言う。


「いいですヨ♪
 原形が分からなくなるまデ改造してモ♪
 好きにしなサイ♪」

と伯爵は笑う。


私は一体、何をされるのだろう・・・・。