― 君と出会えた日― 名の無い少女 作者/浜頭.悠希...〆

第15夜



「あー・・・?
 君は確か今日来る予定だった子?」

リリーが少女を指差して言う。


「はい・・・そうなんです・・・
 レイア・ソルジュといいます・・・。
 友達と一緒に帰ってたら・・・なんか・・・
 後ろから黒い服を来た虚ろな目の男の人に・・・

 斧で切り裂かれてしまって・・・

 その男の人も友達もさっきの光で消えたんですけど・・・」


レイアはおどおどとしながら言う。


「その光はこの人が放ったものですよ」


アレンがセリーヌを抱き起こして言う。


「その人・・・が・・・?」


レイアがセリーヌを指差す。


「一つ問う。
 お前はエクソシストか?」

シフォンがピストルを元に戻して言う。


「・・・はい・・・一応・・・
 今まではずっと学校に通い、家に帰って教団からの命令を待って行動してたんですけど・・・

 それじゃぁ余りにも時間がかかって・・・

 教団と家遠いし・・・?
 なので、今日から新しく教団に居つく事になったんですけど・・・」

レイアは言う。


「提案~。
 此処で立ち話も何だから・・・

 教団帰ろ?」

レイリーが言う。


「その前に!!!」


シフォンがレイリーの頭の上に頭を乗っける。


「レイアチャン、俺の彼氏にな・・・」


「いーかげんにしよーねぇ♪」

ムカつくマークを顔に浮べながらシフォンの顔を思いっ切り殴ったレイリー。


「今度触ったら八つ裂きにしてやる・・・」


プルプルと拳を震えさせながら恐ろしい程の低い声でレイリーは言った。



「まぁまぁ・・・
 セリーヌがかなり衰弱してます・・・

 急いで帰りましょう・・・」

アレンが頬を赤く染めて息を荒くしているセリーヌを見つめた。


「・・・アレン・・・熱が・・・」


リリーがセリーヌのおでこに手を当てながら言う。


「分かってます・・・急ぎましょう」

アレンがセリーヌを抱いて教団へ走り出した。


「おい・・・待てよォ!!」


シフォンが腫れ上がった顎を押さえながらアレンの後を追いかけた。



第16夜



「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・」

息を荒くして司令室のソファーに寝ているセリーヌ。


「お粥・・・作ってきたよ」


分厚い手袋をして鍋を持ってきたレイリー。


リナリーが置いて行った机に鍋を置いた。


蓋を開けて鍋の横に置く。



「・・・セリーヌ大丈夫・・・?」


司令室の置くから出て来たリナリーが言う。


「・・・良くならないみたい・・・
 お粥に科学班から入れろって言われたものあるけど・・・

 そんなへんてこリんな物入れてないから大丈夫・・・」

レイリーが湯気を立たせているお粥を見つめながら言う。


アレンはどんな質問にも答えずに、衰弱しているセリーヌを心配そうに見つめていた。


「・・・アレン・・・」


リリーはお昼ご飯も食べずにただただ此処に居るアレンを心配そうに見つめていた。






―夜 1:30―


鍋も空になり、時計の秒針が音を立てていた。


セリーヌはスースーと綺麗な寝息を立てている。


「・・・ねぇアレン・・・
 まだ起きているの・・・??

 もうそろそろ寝なよ・・・

 体壊しちゃうよ・・・?」

レイリーは目を擦りながら言う。


「・・・僕部屋に連れてけって頼まれてるんですよ・・・
 なので・・・・セリーヌを連れてったら寝ます」

アレンはセリーヌを見つめながら言う。


「そっか・・・
 くれぐれも・・・体壊さないでね・・・」

レイリーは心配そうな目をしてアレンを見つめた。



第17夜



コッコッコッコッ・・・


長い廊下に足音が響く。


カチャ・・・


セリーヌの部屋の扉が開く。


広く天井が高い部屋だった。


「・・・奥・・・・ですかね・・・」


アレンはポツリと呟くと、遠くに見えるドアに向かって歩き出す。


「・・・スー・・・・スー・・・」


セリーヌは規則正しい寝息を立てながら、穏やかな顔をしていた。


キィ・・・


奥の扉を開ける。


大きな窓から月の光が差し込み、左にベットがあり、右に机があった。


ベットの毛布を捲り上げて、セリーヌを寝かせる。


そっと毛布を掛けてあげた。



雨水が当たって綺麗に輝いた葉のように潤った唇。


アレンは思わず自らの唇を重ねた―――。





アレンはそのまま眠りについた。


穏やかな表情をした、セリーヌの横で―――。