― 君と出会えた日― 名の無い少女 作者/浜頭.悠希...〆

第3夜



♪♪♪~♪♪~~~♪♪♪♪♪~


フープを自由に操り、曲に合わせて踊っていた時の事。


カチッ


途中で音楽が止まってしまった。


「・・・あれ?」


私は音楽を流している機械を見る。


機械はカセットの蓋が開いている。


足でカチリと閉めてみた。



が――――。



すぐに蓋は開いた。


「・・・故障?」


そんなコトになってくれては困る。


踊れなくなってしまうじゃない・・・。


彼女にとって、踊るということは生きがいにもなっていた。


「・・・仕方ないわ・・・
 気分転換に・・・散歩でも行こうかしら」

セリーヌは壁に掛けてある団服に手を伸ばした。



第4夜



「・・・ふぅ」

団服に身を包んだ私。


団服ってこんなに暑かった・・・?


団服が長い黒の長袖のコート。


コートを脱げば、両腕には対アクマ武器、ノースリーブのミニスカートワンピース。


そしてヒールの高い黒いブーツ。


10㌢程ヒールはあるので、動きにくいのでは無いかと指摘されたコトもあるが、何故か普通のブーツよりヒールが付いた方が一層動きが早くなる。


2時間ぶりの団服。


私はドアを閉めて部屋を出た。




司令室前を歩いていた時。


「・・・重い・・・重過ぎますよ・・・」

「・・・しょうがねぇよ・・・仕事だし」


書類の山を持って顔を見合わせながら来る2人組。


リーバー班長とアレンだった。


リーバー班長は一層ヒゲが伸び、目の下にクマが出来ていた。


まさに『疲れている』をアピールしている。


「班長~♪」


私は口元を嬉しそうに吊り上げて駆け寄った。


「おおセリーヌ・・・少し手伝ってくれない・・・ガッ・・」

「駄目ですよ、班長でしょ」

アレンの突っ込みが入る。


「ううっ・・・重い・・・もう駄目・・・だッ」

フラリと書類を手から離す。


バタッ!!


フラリユラリと落ちた大量の書類は、リーバー班長を取り囲んだ。


「っちょっ!!!・・・うわっ!!!」

落ちた書類の山に足を滑らせたアレン。


「ひゃっ!!!」

倒れて来るアレンに押し倒されて私も足を滑らせる。


ヒラヒラリと倒れた2人の上を書類が舞っている。


仰向けに倒れ、アレンと唇が触れていた。



第5夜 ―リリーside―



「♪♪♪~♪」

鼻歌を歌いながら大好きな花に水をあげていた時。


ピタリとじょうろから水がきれた。


「あれ?さっき水入れたばかりなのに・・・」


少女はふと曇り曇った空を見上げた。


「空にも水―――あげたいな」

悲しそうな目をしながら空に笑った。


「リリー・・・!!!」

駆け寄って来たのはラビ。


「ラビ・・・任務終わったんだ?」


上目づかい。


私はポケットに入れてあったハサミを取り出す。


じょうろを地面に置いた。


「どれにしようかな~・・・」

私は花壇を一通り見回す。


「これにしよう♪」


ラビの前でしゃがんで一輪の花の茎をハサミで切った。


ハサミをポケットにしまい、立ち上がる。


「ラビお帰り♪」

紅い花をラビに差し出した。


悩殺スマイル――――。


3歳年上のラビでも落とし入れられそうな笑顔は、女の子でも惚れ惚れするほど。


{何となく、リリーはアレン、神田、ラビには馴れ馴れしい?}


「・・・今日も綺麗さ」


ラビは微笑むと視点を私に合わせた。


そして自らの唇を重ねた―――。