― 君と出会えた日― 名の無い少女 作者/浜頭.悠希...〆

第27夜
「あ・・・あの・・・?」
アレンが困り果てた表情で言う。
いくら年下といえ、×2だ。
「「なーに?」」
セリーヌとレイリーが同時に言う。
恐ろしさと可愛さは比例する。(らしい)
「えーっと・・・これからどうしますか?」
アレンが言う。
「あ、そっかー・・・
これから何処行く?」
レイリーが言う。
話が反れてホッとしているリリー。
「じゃぁ・・・さ・・・
シフォンの様子・・・見に行かない?」
セリーヌが言う。
そんなもの見に行ってはいけないだろう。
「・・・でも・・・
そういうものって・・・見に行っちゃいけな・・・」
「じゃぁ同じ仲間を放っておくの?」
セリーヌの円らな瞳。
誰もいいと言わざるを得なかった。
廊下を歩いて5分ほど。
確かに人だかりが出来ていた。
私達は沢山の団員達の間を抜けて真ん中へと目指す。
1人通り過ぎる度に、1人が噂を立てる。
たちまち私達が来たコトは大騒ぎになった。
20人にも満たないエクソシストのうちの4人が仕事も行かずに此処に居るというのがそんなに珍しいものなのか?
「!!!・・・いやぁッ・・・」
リリーは目の前の光景を見て両手で口を覆った。
めまいがしたのか、後ろに倒れて行く。
「おおっ!!と・・・」
リリーがはっと目を開けた。
「大丈夫さ・・・?リリー・・・」
倒れそうになったリリーを受け止めたのはラビ。
リリーの頬が赤く染まった。
怖いものは案外平気なリリーが倒れる程・・・?
セリーヌは恐る恐る見た。
「・・・!!!」
第28夜
「・・・う・・・そ・・・ッ・・・」
私は呟いた。
「ハァッ・・・」
恐ろしい余り深く息を吸ったレイリー。
「酷いですね・・・」
アレンが目を細めて言う。
医療班が一同集まって、色々な機械を持って来たりと忙しそうだ。
その医療班に囲まれているシフォンはぐったりとしていた。
リリーが言っていた通り、シフォンの後ろに血の道筋が出来ている。
想像していたものよりもずっと、グロテスクな光景だった。
―アレンside―
「シフォン・・・嘘・・・」
セリーヌの目に涙が溜まって行く。
セリーヌはその場を離れて医療班の元へ向かった。
「セリーヌ!!!」
僕はいつの間にか呼んでいた。
愛しい君の名を――――。
「駄目です!!来ないでください!!!」
医療班の班員が言う。
セリーヌは医療班班員を1人蹴り飛ばしてシフォンの元に駆け寄った。
「ねぇ・・・シフォン!!!
おきてよ・・・!!!」
セリーヌがぐったりとしているシフォンの体を揺する。
「駄目です!!!下がってください!!!」
医療班の人が言う。
「・・・セリー・・・ヌ・・・・」
シフォンが目を閉じたまま言ったのが聞こえた。
「シフォン!!!」
セリーヌに笑顔が帰って来る。
「セリー・・・・ヌ・・・」
シフォンは起き上がると、セリーヌの唇にそっとキスをした。
第29夜 ―セリーヌside―
シフォンの腕が首に回る。
私の瞳は大きく揺らいだ。
シフォンは唇を離して横たわった。
私は慌ててアレンを見る。
アレンは悲しそうに笑った。
そして人ごみを掻き分けて消えて行く。
「・・・!!アレン・・・!!!」
私は立ち上がって走りだす。
「セリーヌ!!!」
リリーが私を呼んだ。
私は走るアレンを追いかける。
―シフォンは酷く、悲しそうな目をしていた―
「・・・アレン!!待ってよ・・・」
聞かずに走るアレン。
私はブーツを使って、空高く飛び上がった。
アレンを通り越してアレンの前に着地する。
息を切らしながら君を見た。
「・・・!!」
私は驚く。
アレンの目から涙が零れ落ちていた――――。

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