― 君と出会えた日― 名の無い少女 作者/浜頭.悠希...〆

第12夜「誰かの」



「嘘ッ・・・!!嘘よォッ!!
 あんな奴・・・あんな奴・・・

 仲間なんかじゃない!!!」

「アハハハハハハッ♪アハハハハハハッ♪」

リナリーの泣き叫ぶ声を引き裂く笑い声。


それはセリーヌ・・・いや、ユリアが発したものだった。


「♪♪♪~♪♪♪~~♪♪♪♪~♪♪♪~~♪」


ユリアは突然歌いだす。

歌詞は想像出来ないような気持ち悪い歌詞。


不敵な笑みを浮かばせ、2人を見ながら歌い続ける。

「イヤァァァァァッ!!!」


リナリーが叫んで膝を落とす。


そう、この歌はほぼ全員のエクソシストを滅ぼす事が出来る。

「リナリー!!」

しゃがみ込んだリナリーは酷く息を切らしていた。

アレンには全く効かないこの歌。


装備型のエクソシストにしか効かない歌らしい。


「・・・アハハハハッ♪
 その調子だよ、可愛いお姫様♪
 調子を崩さずにどんどん滅んで♪

 この歌を聞いた以上、死なないことは許されないから♪」


ユリアは不敵に笑った。


アレンはそんなユリアを見て、ユリアに向かって地面を蹴り上げた。


「短気な子だなぁッ♪アハハッ♪」

ユリアは向かってきたアレンの腹を強く蹴って弾き返す。


「アハハハハハッハッ♪
 死のう、どんどん死のうよ♪」

とユリアは笑う。


「ふざけるなッ!!」

アレンは体を起こして叫ぶ。


「ふざけてないよぉ♪
 お前らが生意気でアホなだけぇ♪」

ユリアは再び甲高い声で笑い続ける。


「セリーヌ!!
 目を覚ますんだ!!

 あいつ等なんかに騙されないで下さい!!
 貴女は僕達の仲間です!!!」

アレンは叫ぶ。


「黙れッ!!!」


ユリアは悲鳴に近い声で叫んだ。


その声にアレンの動きがピタリと止まった。



第13夜「裏切り」



「仲間ぁ??
 そんなの僕は知らないね~・・・。

 お前らの仲間ぁ?
 僕はそんなんなった覚え無ぇんだよ♪」

ユリアは素手で軽々と森の木を次々と折って行く。


余程イライラしているのだろう。


「アハハハハッ♪
 この森とか世界なんてぶっ壊れちまえ♪
 こんな雑魚い世界なんていらねーんだよ♪

 エクソシストって矛盾してるよね♪
 世界を救いたいなんて言ってるくせに、
 僕等と殺そうとしてやがる♪

 僕等も人間なのにね♪」

ユリアは木々を倒し続ける。


これでもか、というぐらい―――――。


「矛盾しているのはそっちだ・・・・・・」

「あーあぁ・・・♪
 飽きて来ちゃったよ、コイツ等弄るの・・・。
 ティッキー、帰ろぉ?」

ユリアは振り返る。


「勝手にしろ」

とティキは言った。


「じゃーかえる♪
 じゃーね、雑魚エクソシストたち♪
 今度僕と会う時が君達の最後♪

 僕の名前はセリーヌとか言う奴じゃなくて・・・


 ユリア・セルダだよ♪
 君達が死ぬまで絶対に憶えててね♪」

と不敵に笑うと2人のノアはドアの向こうへ消えた。



第14夜「拘束」



「よー、中々の任務だったじゃーん?」

ロードはぐるぐるキャンディーを舐めながら言う。


「よく頑張りましたネ♪ユリア♪
 そんなユリアにハ、ご褒美を上げましょうネ♪

 皆、連れて行きなサイ♪」

と伯爵が笑う。


僕はポカンとしていると、両腕が誰かに抑えられた。


「っ?!」

抑えたのは先程任務で一緒だった、ティキだった。


そしてガツンと後頭部に衝撃が走る。


目の前には、「バイバイ♪」と手を振るロードが居た。


「皆?
 何するの?僕を、どうするッ」

ユリアは首をガクリと落とす。


「みんナ、拘束開始デス♪」

伯爵の声によって皆一斉に動きだす。


連れて行かれるユリアの目は、悪性兵器のように虚ろだった。




「みんナ、拘束開始デス♪」

******



体中が痛い。首、手、足首にぬれた感触がある。


動くたびに痛みが走り、ジャラッという音がする。


僕はゆっくりと目を開いた。


何処までも灰色の小さな牢屋の真ん中に、僕は寝ていた。

「うッ・・・アガッ!?」


口に血のような味がして、冷たさがある。


左には壁一面を覆いつくす大きな鏡がある。


右側の壁には、「お前の醜さを知れ」と英語で書いてあった。


「!!!」

私は思わず息を飲んだ。


鏡に映った自分。



口に鎖を銜えられて、首は一面に薔薇が咲いて棘が生えている薔薇の首輪がはめられている。


手首も薔薇で、足首は鎖。


薔薇の手錠と、足の鎖。


口から血が零れ出て、手首は血の赤い布の上に薔薇の手錠。

足も同様だった。


僕はあまりの自分の醜さに涙が零れ落ちた。