― 君と出会えた日― 名の無い少女 作者/浜頭.悠希...〆

第6夜
「ふったりっともぉ~!!!」
そう大声で部屋にやって来たのはリリー。
「司令室に来いだって!!!
もうみ~んな集まってるよぉ!!!」
リリーが嬉しそうにいう。
「分かりました・・・行きましょう、セリーヌ」
「りょーかい♪」
幸せそうな2人。
―この幸せは、いつまで続く?―
「・・・まぁ・・・そんなわけで。
ノアに乗り込んで欲しいっていうわけなんだ。」
コムイが言う。
司令室に居るメンバーは、
リリー、レイリー、レイア、ラビ、シフォン、アレン、セリーヌ・・・
の7人だ。
長いすには納まりきらないので、ラビとシフォンだけが床に座っている。
シフォンは話も聞かずにリナリーの入れてくれた紅茶に目を輝かせている。
「ちゃんと話を聞かんかゴラァ!!!!」
レイリーがシフォンの頭の頂点をガツンと殴る。
熱い紅茶に顔をつけて、顔を上げたシフォンの顔は真っ赤だった。
「大変!!・・・今ぬれタオル持って来るね!!!」
リナリーが司令室を出ようとした時。
「待って!!!」
リナリーを呼び止めたレイリー。
「こんな奴にタオルなんかいらないわ!!!
こーしとけばいいのよ!!!」
レイリーはシフォンの顎を高く高く蹴り上げた。
シフォンは高く吹っ飛んで本棚にぶつかった。
「・・・レイリー・・・
マジでシフォン死ぬんじゃない・・・?」
「だーいじょうぶだーいじょうぶ♪
タラシにはこれが十分効くお薬だからぁ・・・」
レイリーの周りのオーラが黒くなる。
「・・・・・・・黒レイリー・・・?」
「黒アレンのパクリさ?」
皆レイリーを見てヒソヒソと言う。
シフォン頭から血を流して逆さ摺りになっていた。
「・・・そろそろ行った方がいいんじゃないんですか?
コムイさんもう寝てますよ・・・?」
アレンがヨダレを垂らして寝ているコムイを見ながら言う。
「さんせー・・・
だって今騒いでる間に誰かが殺められてたら?
その殺められた時間は戻せるの?」
セリーヌが言う。
「・・・まぁとにかく・・・
2人が生きているコトを信じるさ・・・」
ラビが言う。
「生きて帰ろ?」
セリーヌが微笑む。
「「「「「生きて帰ろ~!!!」」」」」
シフォン以外の皆が言う。
「・・・生きて帰る・・・」
シフォンも後から言った。
第7夜 ―ファルside―
「放せ!!!
放して!!!放してよぉッ・・・」
拘束されたまま暴れている私の隣に居る少女。
私は暴れれば死ぬ事が分かっている。
だから暴れない。
「嫌ぁッ!!!放してぇッ!!!」
声が掠れても叫び続ける。
「伯爵ぅ、コイツ等をどーしたいのぉ?」
飴を舐めながらロードが言う。
「そうですねェ・・・・♪
まず外見から改造してもらいましょうカ♪
ロード♪」
伯爵が言う。
「どんな風に改造してもいーのぉ?」
ロードが私の腕を掴んで言う。
「いいですヨ♪
後でコイツ等の名前も変えるんですヨ♪
コイツが誰だか分からないようにしてくだサイ♪」
伯爵が首を傾げる。
「りょーかぁい♪」
ロードは私達を連れて行く。
そしてロードは一つの部屋の前で立ち止まった。
扉を開けると、色々な服や靴が置いてある。
「・・・・此処何処よ・・・」
私は呟いた。
「此処ぉ?衣装室だよぉ♪
攫って来た人間を此処の服を着せたりして改造するんだよぉ♪」
ロードが言う。
そこで私は、1着の洋服がハンガーに掛かっていない事に気付いた。
「・・・あぁコレぇ?
ユリア・セルダ・・・じゃなくてぇ・・・
セリーヌ・レドリアが此処に来た時に着てた洋服だよぉ♪
今はもう教団に戻っちゃってるみたいだけどぉ・・・
あれ以来洋服戻って来てないんだよぅ♪」
ロードが言う。
「・・・お姉・・・・ちゃん・・・」
ミィナが顔を上げる。
「そう♪お前のお姉ちゃん♪
おっかしかったよぉ~♪
3年間ず~っとおりの中にいたんだけどさぁ♪
昼も夜もず~っと泣いてんのぉ♪
助けて助けてってさぁ♪
だ~れも助けるはずないのにさぁ♪」
ロードが笑う。
「・・・ふざけるなぁッ!!!!」
私の隣で叫ぶ。
「君、死にたいのぉ?」
先のとがった蝋燭がセリーヌの妹の周りに集まった。
第8夜
「ふ・・・ふざけるなぁッ!!!」
悲鳴に近い声で叫ぶ。
「さよならぁ♪ミィナ・レドリア・・・
お姉ちゃんにろくにサヨナラもいえなくて残念だったねぇ♪」
ブシュゥッ・・・!!!
鈍い音が部屋を覆った。
ミィナは体のそこら中に穴が開いた。
ミィナは白目を剥いて、カクリと首を落とす。
そして大量の血が吹き出した。
ふと私の体に血が飛びついた。
そして何故か心臓部には穴が開いていない。
「・・・さぁて・・・
ティッキーに渡して来なくちゃなぁ・・・
研 究 が 出 来 な く な る よ ぉ 」
ロードは口を裂かして笑った。
バタンッ・・・
ロードはミィナの死体だけを部屋から運び出した。
「・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ファルは1人叫んだ。
1人残されたのが悲しいわけでも無く、
虚しかったわけでもなかったのに――――。
―セリーヌside―
ザワザワと騒がしい廊下。
「それでぇ・・・・・・・・・・がぁ~・・・」
リリーとレイリーとレイアと私で楽しく話しながら出発口に向かっていた時の事。
「・・・!!!セリーヌ!!!危ない!!!」
アレンがこっちに飛び掛ってきた。
パリィィィィィン・・・!!!
ガラスが割れるような音が廊下に響いた。
仰向けに倒れている私に、アレンが上に被っているような状態になる。
ポタリと紅い血が垂れる。
「・・・アレン・・・?」
「ふぅ・・・よかったです・・・」
そういうとアレンは起き上がる。
「アレン・・・血・・・」
私は起き上がったアレンを指差す。
「血?何処ですか?」
アレンが言う。
「此処♪」
私は切り傷から出ている血を指で拭き取り、アレンに見せた。
「本当だ・・・有難うございます・・・」
セリーヌはお礼を言われているうちにアレンの頬から拭き取った血をペロリと嘗めた。
「セリーヌ・・・大丈夫?
上からあのシャンデリアが落ちて来たんだよ・・・?
ほら・・・」
リリーが駆け寄って来て、後ろを指差す。
ガラスが見事に砕け散っていて、ファインダー達が掃除をしていた。
「・・・セリーヌ・・・
もしかして・・・飛んで来たガラスで切った?」
リリーが首をかしげながら言う。
「え?何処?」
セリーヌが言う。
「此処ですよ」
アレンが先に言って、私の右頬を嘗めた。
「・・・アレン・・・!!」
セリーヌは照れながらも言う。
「ラブラブだね♪」
リリーが笑いながら言う。
幸運のような出来事が、不幸の目印だという事は誰も考えはしなかっただろう―――。

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