― 君と出会えた日― 名の無い少女 作者/浜頭.悠希...〆

第9夜 ―レイアside―



晴れ渡る空。


教団の空とは違い、青々として曇りが無い。


「どうしたの?さっきからぼーっとして。」


友達に声を掛けられた。


青々とした空の下にある、通学路。


「・・・何でもない・・・よ」


ふと空を見上げる。


{貴方は今、笑っていますか?}


空に向かって問いかけても、何も返らない―――。


{私は今、笑っていると思いますか?}


だから、返って来ないんだって―――。


{私に、名はありますか?}


止めて・・・止めてよ―――。



「・・・レイア・・・?」


目から涙が伝って行く。


バサッ・・・


草の上に膝を落とす。


「・・・嫌・・・嫌だよ・・・」


座り込んで止まらない涙を拭き続ける。


忘れてはいけない。


私はエクソシスト。


無駄な感情は・・・いらない。



「・・・リア・・ッ・・・」


たった一人、亡き友人の名を呼んだ。



第10夜「待ってよォ・・・皆ぁ」



現在待ち合わせの場所。


「・・・ずいぶんと大人数・・・ね」

前にズラリと並んだ仲間達を見て、セリーヌは言う。


アレン、ラビ、リリー、シフォン、レイリー・・・


そして私。


アクマ退治に6人で行くか・・・?


「・・・なんかねー・・・
 うろついてるアクマ、Lv3が含まれてるかもだって」

リリーが司令室の資料を見ながら言う。


「リリーの言うとおり。
 今回、教団周辺に集まっているアクマは低くてLv2。
 レベルはバラバラで、どんな奴かも分からない。」

コムイは言う。


「それで・・・だ。
 1人で行かせるとLv3が出た時に困るだろう?
 そんなわけで、6人で教団から追い払ってもらおう。」

コムイは言う。


「早速行くさー・・・」

ラビが欠伸しながら言う。


「・・・ふぁー・・・
 Lv3?上等じゃね?

 俺そんな任務行くよりリナ・・・」

「はいはい、行きましょうねー」

〝リナリー〟と言いそうになったシフォンの耳たぶを掴んで引き摺り歩いていくアレン。


「待ってよォ、皆ぁ」


レイリーが男子群に駆け寄る。


リリーと私もレイリーについていく。




―教団外―


外に出ると、そばの花壇でハチが飛んでいた。


その花壇にニコリと笑うリリー。


そんなリリーをラビは微笑みながら見つめていた。



第11夜



ふと外に出れば、賑やかな町並みが広がっていた。


地面に敷き詰められた赤いレンガはチョコレートのよう。


ザワザワザワ・・・


真っ直ぐに進むと、一軒の仕立て屋の前に人だかりが出来ていた。


「・・・何なんだ・・・これは・・・」


アレンが立ち止まって呟いた。


「・・・何なんだって・・・どうしたの?」

セリーヌは顔を覗き込む。


「・・・この町の住民は・・・」


アレンは言いかける。


「・・・まさか・・・ッ・・・」


リリーが怯えたように言う。


「・・・そのまさかです・・・」

アレンは口を開いた。


「・・・まさか・・・って・・・」


レイリーが聞き返す。


「・・・この町の住民は・・・
 全員アクマの可能性があります」

機械のような左目が光った。


「!!!・・・そんな・・・」


レイリーが顔を両手で覆った。


「・・・皆行くさ・・・」

ラビが槌に手を掛ける。


「・・・うん・・・そうだね・・・」

セリーヌが決心したように言う。


「幸い、このアクマ達はLv1程度・・・
 恐らくコムイさんの言っていたのはこれでしょう・・・」

アレンは言う。


「・・・なら話は楽だな」


シフォンは腰に挿してある銀色の銃を取り出す。