― 君と出会えた日― 名の無い少女 作者/浜頭.悠希...〆

第3夜



「アレン!!!」


セリーヌはコートだけを羽織って部屋に着た。


「セリーヌ・・・
 セリーヌも今の叫び声聞いたんですか?」

「うん・・・
 だって物凄い声だったもの・・・

 今科学班の奴等がファルの部屋調査に行ってるらしい・・・」

セリーヌが心配そうに言う。


「ファルに何かあったらどうしよう・・・」

セリーヌは突然泣き出す。


そんなセリーヌをアレンはそっと抱き締め、


「大丈夫ですよ・・・
 ファルは何処にも行きませんよ・・・?」

アレンの抱き締める力が強くなる。


「ラブラブ中の所すいませーん」

ドアからひっそりとやって来たのは、リリーだった。


「・・・・リーバー班長から聞いたんだけど・・・
 ファル・・・・・部屋に居ないんだって」


リリーの声に2人の顔色が変わる。


「そ・・・・そんなぁ・・・」

セリーヌの肩がフルフルと震え出す。


―「おはよう、セリーヌ」

  「今日のお菓子は?」―

笑顔でお菓子を頼みに来るファルの姿がふと浮かんだ。


ファルは隠れたお菓子好きなので、レイリーと私でよくお菓子を届けに行ったものだ。


そのお菓子を受け取って食べるたびに、ファルは「美味しい」と笑顔で言ってくれた。



その笑顔を忘れることは無い。


「それでね・・・
 ファルの部屋に・・・
 ピンク色の飴カスが落ちてたんだって・・・

 もしかしたら・・・

 ノアの仕業かもしれない・・・」

「!!!」

リリーの言葉に、セリーヌの顔が悲しみに満ちて行く。


アレンの部屋のカーペットに滲んでいく涙。




それは紛れも無く、セリーヌの物だった―――。



そして、更なる悲劇がセリーヌを襲う事になる―――。



第4夜



トゥルルルルルル・・・


翌朝、セリーヌの部屋の電話機が鳴った。


「・・・もしもし・・・」


目を擦りながら電話に出る。


「もしもし?セリーヌ?お母さんだけど・・・」


電話の相手はお母さんだった。


教団は私を無理に連れて行ったのではなく、連れて行く際に母親に事情を説明したのだ。


「少しでも娘がお役に立てるなら・・・」


とお母さんは了承して私を見送ってくれたのだ。


「・・・・・お母さん?
 久しぶりじゃない・・・・どうしたの・・・?」

セリーヌは受話器の向こうの声に親しみを感じていた。



「あのね・・・
 今日朝起きたら、ミィナが居ないのよ・・・」

ミィナとは、私の妹の名だ。


「・・・え??」


「それでね・・・
 部屋にピンクの飴カスが落ちてたから・・・
 それで間違いなくセリーヌが好きだった飴のカスで・・・

 セリーヌが連れて行ったんじゃないかなって・・・」



お母さんの声に私は耳を疑った。


「嘘ぉ・・・
 私・・・・ミィナは連れて行ってないよ・・・?」

「そんな!!!
 確かにピンクの飴カスが落ち・・・」


ガラッ


私は思わず手の力が抜け、受話器が落ちた。


「・・・ちょっと?!セリーヌ!!!
 返事しなさい?!セリーヌ!!!」

そして受話器を手に取り、


「御免・・・お母さん・・・
 私・・・聞きに行ってくるから・・・

 新しい情報入ったら連絡する」

「え?!セリーヌ!!ちょ・・・」


カチャ


私は受話器を元に戻した。



余りにも共通点が似過ぎている。


「・・・セリーヌ・・・・何かあったんですか??」


後ろで立ってみていたのはアレンだった。


「・・・ッ・・・」


私は見る見るうちに涙が溢れ出す。


「え?!
 何かあったんですか?!セリーヌ!!」

「うわぁぁぁぁぁん・・・!!!!」


セリーヌは思いっ切り泣き叫ぶ。


「セリーヌ・・・
 電話で何を話したか言ってもらえませんか?」

その場でしゃがみ込んで泣き叫んでいるセリーヌに言う。


「・・・ッ・・・あのね・・・ッ・・・
 ミィナが・・・ッ・・・私の妹がッ・・・

 ノアに・・・ッ・・・浚われた・・・のッ・・・」

セリーヌの途切れ途切れの声。


「・・・・なんだって・・・?」


セリーヌの声に耳を疑うアレン。



「本当だよ・・・
 お母さんからさっき電話があったんだよ・・・

 妹が朝起きたら居なくて・・・
 近くに飴カスが落ちてて・・・

 そんで私が連れて行ったんじゃないかって・・・」

セリーヌは言う。


「・・・飴カス・・・だって・・・?」


アレンは聞き返す。


「・・・セリーヌ・・・・」


後ろから聞こえた声。


「・・・リリー・・・」


リリー、レイリーの2人だった。


「・・・その出来事・・・
 詳しく説明してもらえる?」

リリーは恐ろしく低い声で言った。



第5夜



「ええ・・・
 それで・・・どうなさったんですか?

 はい・・・ええ・・・」

リリーはペンと手に取りながら電話をしている。


相手は私の母親だ。


私はその間中、ずっとアレンの団服を握っていた。


そして酷く怯えているような私をずっと抱き締めてくれていた。


レイリーはコムイに報告に行っている。


カチャ・・・


リリーが電話を切った。


「・・・セリーヌ・・・
 電話繋いでくれて・・・ありがと・・・

 多分コムイから命令出ると思うから・・・

 だから・・・その時・・・
 一緒に2人を助けに行こう・・・?」

リリーは言う。


私は深く頷いた。


「じゃぁ・・・
 私、コムイに言ってくるから・・・

 後は・・・アレンお願いね・・・

 セリーヌに手ぇ出すんじゃないわよ?!」

リリーが恐ろしい目でアレンを見つめる。


「ひぃ・・・!!!
 出しません出しません!!」

アレンは言う。


リリーは恐ろしい形相でアレンを睨みながら部屋を出て行った。


「リリーが居たら触れもしないですよ・・・」

アレンはふぅとため息をついた。


「じゃぁリリーが居なかったら?w」

セリーヌが面白半分で言う。


「・・・それは・・・
 もうセリーヌは僕のものですね」

アレンは笑う。


「私はそれがいいけど・・・」


セリーヌが言った瞬間、アレンはベットに押し倒した。


「今度そんなコト言ったらお仕置きですよ?」


アレンは言う。


「寂しくなったら言ってあげる♪」


セリーヌは意地悪く笑うとアレンにキスをした。


アレンは早く言って欲しいというのが本音で、


セリーヌは今すぐにでもいいたいというのが本音であったo(ぇ