― 君と出会えた日― 名の無い少女 作者/浜頭.悠希...〆

第18夜
窓の向こうで鳥が鳴いている。
窓から差し込む朝日が、顔を照らしていた。
「・・・・ん・・・~・・・」
ゆっくりと目を開ければ誰かの寝息が聞こえた。
隣でアレンがベットに寄り掛かって寝ている。
「・・・ア・・・アレン・・・?」
声をかけたにも関わらず、スースーと寝息を立てて寝ている。
時計の針は朝6:50を示していた。
昨日遅くまでそばに居てくれたから―――?
セリーヌはアレンの白髪にそっと触れた。
「・・・ん~・・・」
ビクッと手を引いた。
アレンはその麗しき瞳をゆっくりと開けた。
「・・・おはようございます・・・セリーヌ」
アレンは此方を向いた。
「・・・お、おはよう・・・」
苦笑いをした。
「って・・・なんで僕此処に居るんでしょう・・・?」
「・・・自分で来た癖に?」
セリーヌが意地悪く笑う。
カッとアレンの顔が赤く染まった。
「あはは♪おもしろーい♪」
セリーヌは人懐っこい笑顔で言った。
第19夜 ―リリーside―
「・・・♪♪♪~♪」
歌を歌いながら花に水をやる。
水を浴びた花達は日光も浴びてキラキラと輝いていた。
「・・・あ・・・あのぉ・・・」
水をあげているリリーに声を掛けてきた少女。
「・・・レイア?」
団服を来た少女の方へ振り向く。
「新しく団服作ってもらったんですけど・・・
崩れてませんか?!」
リリーに言う。
レイアの団服はリナリーの団服に似ていた。
空中を舞えるように作られた黒いブーツ。
ヒールは高く、横に一筋の緑色の線が入っていた。
ブーツの一番膝に近い所と足首にあたる所に黒いリボンがついている。
ノースリーブワンピースで、上にも何か羽おっている。
手袋はちょうど肘のあたりまである黒い手袋。
スカートは膝下で、斜め左のところに黒いリボンがついている。
リボンの端にエクソシストのマークがついている。
スカートは膝よりも少し下で裾に黒いレースがついている。
「・・・スカート長くない?」
リリーはレイアの団服をみて口を開いた。
「・・・え・・・?
そうですか・・・?」
「長いよ?リナリーに比べたら」
「短くすると動いた時見えるからって・・・
短くしてくれなかったんですよ・・」
レイアはスカートの裾を掴んで言う。
「じゃー・・・
スカート切っちゃえば?
レースは一度取り外せばいいし?」
リリーは花にみずをあげながら言う。
「今すぐやりたいならそこの机でやりなよ・・・
ソーイングセット持ってるでしょ?」
リリーはポケットにしまってあるものを見抜く。
「な、何で分かるんですか・・?」
「勘よ、勘。」
「リリー!!!」
遠くから呼ぶ声。
「・・・ラビ・・・」
芝生の上をつかつか歩いてくるのは赤毛の少年、ラビだった。
「・・・その子は新しく入った奴さ?」
ラビがレイアを指差して言う。
「はっ、はい!!!
レイア・ソルジュといいます・・・よろしく・・・」
「・・・いいさ・・・
こっちはコムイから聞いてるさ」
ラビは言う。
「ところで・・・何のよう?」
リリーがじょうろを地面に置いた。
「リリー・・・酷いさ・・・
まぁ、アレンが倒れた・・・・って言いたかっただけさ」
「!!!」
ラビの発言に驚いてラビの方に向き直った。
第20夜
アレンが倒れる前の事。
「さーっきからフラフラしてるけどぉ、大丈夫ぅ?」
レイリーが言う。
食堂で朝ごはんをしているときの事だった。
「ホント、朝から元気無いよねェー・・・」
セリーヌがケーキを頬張りながら言う。
「あッ!!!セリーヌぅ!!!
私のチョコケーキ食べたでしょ!!!??
私のチョコケーキ返せぇぇ!!!」
セリーヌがチョコケーキを食べてぽわーんとした顔をしている。
そんなセリーヌの団服の襟元を掴んでグラグラと揺すっていた。
カラァンン・・・
下を見れば、銀色のフォークが下に落ちていた。
隣でアレンが辛そうに寝ている。
「・・・アレン?」
机に伏せて右手が下にブラリと垂れ下がっている。
「・・・ちょっと・・・!!!アレン!!」
レイリーがもしやと思いアレンのおでこに手を当てる。
「・・・熱い・・・」
アレンの顔は赤く熱っている。

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