― 君と出会えた日― 名の無い少女 作者/浜頭.悠希...〆

第21夜「言葉」



ドォォォォン・・・


物凄い騒音がする。

地面の冷たい感触。


「・・・ラビ・・・?」


僕はそっと目を開けた。


Lv.2のアクマと戦っている。

「ラビ!!」

僕は思わず叫んだ。


「もう終わるさ・・・
 そこで静かに寝てろさ・・・」

ラビは微笑んだ。


そして槌を一気に上から下へと振り下ろす。


ドォォォン!!


アクマは一気に破壊され、塵になって消え失せた。


ラビは槌を元に戻し、こちらに歩いてくる。


「怪我はなかったさ?」

とラビは笑った。


私の頬に一粒の涙が伝った。


「ど・・・どうしたさ!?
 どこか痛いんさ!?」

ラビは慌てたように言う。


「ううん・・・
 なんか・・・嬉しくて・・・」

僕は涙を拭いながら笑った。



第22夜「声」



「ラビ!!!」


空から降って来たのは、アレン、リナリー、ブックマンの3人。


「大丈夫だった?」

リナリーは言う。


「結構手強かったさ・・・」

とラビは汗を拭った。


「行くぞ」

ブックマンは再び空へと飛び立った。


「行こう?セリーヌ」

リナリーが笑う。


「・・・待って」

僕は目を閉じて言う。


「・・・上から・・・誰か来る」


僕は目を開いた。


上から降りて来たのはlv.3のアクマたち。


そして四方からlvがバラバラのアクマたちが押し寄せて来た。


「あはははは♪
 僕から逃げ切れるとでも思ってたぁ?

 そんなわけねーんだよぉ♪」

空中からレロに乗って来たロードが左から右へ右手を大きく振る。


「とっとと殺しちゃって♪アクマ達ぃ♪」

ロードは手に持っていた飴を空高く抛り投げた。


同時にロードがレロから飛び降りる。


パリィィィン・・・


威勢のいい音を立てて飴が粉々に割れた。


エクソシストたちが一斉にイノセンスを発動する。


「・・・アハハハハ♪
 死んで死んでぇ♪皆殺しちまえぇ♪」

とロードが甲高い声で笑いながら言う。


エクソシスト達が一斉にアクマにかかった時――――。



「ヤメロォォォォォォッ!!!」



第23夜「禁断の言葉」



悲鳴に近い声で叫んだのはセリーヌだった。


「セリーヌっ!!!」

リナリーは叫ぶ。


「セリーヌ!!
 あいつ等は敵なん・・・」


「黙れ!!皆黙れぇっ!!!」

セリーヌはアレンの声を掻き消す。


「よーく考えればさぁ・・・
 まずは・・・僕なんかが無ければいいんだよ・・・」

「!!!」

セリーヌの言葉に皆の顔色が変わる。


「何考えてるの??
 皆セリーヌが必要・・・」

「黙れよ・・・
 皆僕を物としか扱ってないくせに」

セリーヌの声の高さが急に下がる。


そして同時に、全部のアクマが塵になり消え失せた。


「僕はこうやって望めばなんだって出来る・・・
 『万年珠』の僕を皆は利用したいんだろう?

 だって僕は『万年珠』でなんでも出来るから・・・

 望めば世界崩壊でも新しい世界でも何でも作れる。
 望めばこんなヘボい世界なんか打っ潰せるんだ」

セリーヌは言う。


「僕はこの世界の未来を見たいから生きてきた・・・
 でももうこんなヘボい世界の未来なんか見たく無い・・・

 僕もうこの世界に生きる事が飽きちゃったんだよぉ・・・


 だからこの世界ごと打っ潰す」

セリーヌはニヤリと笑った。


「最初からそーいえ・・・」

「別にノアの見方になったわけでも無い。
 ノアでもエクソシストでもなんでも丸ごと潰れちまえ・・・」

セリーヌはロードの声を遮った。


「僕のお願い・・・
 この世界を地球の玉ごとぶっ壊して」

セリーヌの顔から表情が消える。


「セリーヌ!!」

アレンは叫んだ。