― 君と出会えた日― 名の無い少女 作者/浜頭.悠希...〆

第3夜「呼び出し」



♪~♪♪~~♪~~~


手具を変えて踊っていた時のコト。


「・・・・・・・・さ・・・・・・・・・~・・・!!!
 セリーヌさ~ん!!!」

チラリと横目でドアを見れば、入り口に白髪の少年、アレン・ウォーカーが立っていた。


「あら、おはよう。」

「おはようございます。
 じゃなくて!!!

 10分ぐらい前からずーと呼んでいるのにセリーヌさんたら全然気付かないんですから!!!
 おかげで声が枯れる寸前なんですよ?!」

とアレンが唾を飛ばして大声で喋った。


「はいはい・・・
 で?
 アレンが此処に来たってことはー・・・
 何か私にあるんでしょ?」

「あ、はい。
 任務だってコムイさんが呼んでました!
 それじゃ!」

とアレンは去って行った。



「・・・チッ・・・任務か」

私はこっそりと舌打ちをし、部屋を出た。


*******

―コムイの部屋―


「コムイ室長・・・コムイ室長・・・!!」

班長が必死でコムイを揺する。


「んゴー・・・んゴー・・・ズルズル・・・」


コムイはヨダレ垂らして寝たままだ。


班長が室長の耳元に手をあて、


「リナリーちゃんが結婚しちゃうってさ」


と耳元でボソッと言った。


するとコムイが0.1秒も経たずに、



「リナリィィィィィィ~!!!!!!!!」


と叫んで飛び起きた。


「・・・何て威力なの・・・」

「ですよね・・・」


椅子に座って待っていたアレンと私は恐る恐る言った。


「いや~ごめんね・・・
 徹夜明けだったもんだから・・・」

と室長が話を切り替える。


{{切り替え早ッ!!!}}


アレンと私の心の声であった。



第4夜「任務」



「今回の任務は、イギリスの時計町という所に行ってもらおう。
 詳しくはその資料を見てくれ。

 さて、時間が無いから粗筋を見たらすぐ出発して。」

とコムイは言った。


―イギリス、時計町―


この町では、最近2日に6人のペースで人が消えているらしい。


この時計町のはずれで発見されたイノセンスを取ればいいのだと言う。


時計町は膨大な面積を誇り、行くのにも大変そうだ。


「後、任務はその椅子に座っている3人組で行ってもらう。
 さ、分かったら行こうじゃないか!」

とコムイが笑った。


椅子に座る3人とは、


セリーヌ、アレン、リナリーの3人だ。



エクソシスト3人がかりで行くとは…


そんなに大掛かりな任務でも無さそう・・・。



私達は司令室を出て、黒の教団を出た。





―時計町―


半日掛かりやっと時計町に着いた。


所々にまき付いた緑色の雑草が石の門を多い、真ん中に大きく英語で「時計町」と書いてあった。


「…大きな門ですね…。」


門の向こうには賑やかな町並みが広がっていた。


「さ!!
 時間無いんだし、入ろう!」


と私達は門をくぐって中に入った。




ザワザワと騒がしい町並み。


この町では毎日がお祭り騒ぎ。


「…どうやら、ここでは過去3回もイノセンスが発見されているらしいわ。
 だから、今見つけようとしているイノセンスの他にも、何かまだあるかもしれない・・・」

とリナリーが言った。


「そうね…
 じゃぁ、手分けして探しましょ?
 今から2時間後に此処で集合。
 い~い?」


私は言う。


「分かったわ。それじゃ!
 私はこっちに!」

「僕はこっちを見てみます!」

と2人はバラバラに砕け散った。


私はまた別の方向に散った。



第5夜「蒼白い月」



私は森の草を掻き分けながら、町外れを目指して突き進んでいた。


「こんな所にイノセンス…??
 こんな草だらけの森のはずれにあんのぉ…?」


と文句を垂れていた。


ガサガサッ!!


物音がしたので、後ろを振り向いてみれば――――。



「キミがセリーヌ?」


傘を持って、黄色いぐるぐるキャンディーを右手に持った小さな少女が言った。


「キミがセリーヌ?」

******



「…貴方は…ッ…」


私は彼女の顔を思い出した。


―ロード・キャメロット―


小さくて一見可愛らしい女の子だが、中身が恐ろしい。


人間を嫌っている―――――。


    私 
敵が、エクソシストに何の用…??


「…そう、あの時の僕だよぉ?
 君がセリーヌ?」

とロードは言う。


「・・・」


私はゴクリと息を飲んだ。


「…セリーヌ・レドリアかって聞いてるんだよ」


とロードの顔が引き攣った。


「ヒッ…!!」


私は小さく頷いた。


「そっかぁ~…
 なら予定は変更だねぇ~♪」

とロードが笑い出した。


ガサッ…


ロードが一歩踏み出す。


「…うっ…動くなッ!!!」


私は右腕を立てて内側の金色のボタンを二本指でなぞった。


「イノセンス発どぉ~?
 残念、僕は殺せないよ」

とロードの前に数体のアクマが現れた。


「…ッ…」

私はそのままの体勢で歯を食い縛った。


「僕は君を殺したいんじゃないのぉ~。
 僕は~伯爵に言われて来たんだよぉ~?

 勿論、君に用があって」

とロードは言った。

「…ハッ??
 伯爵が私に用…?」

「そうだよぉ~?
 ということでぇ~…

 一時死んでて♪」

ドカッ…


森の中に鈍い音が響いた。


私の目の前は真っ暗になる―――――。