白雪姫はりんご嫌い  はるた ◆On3a/2Di9o /作



【3】



ふと私は時計を見た。

そんなに時間が経っていた訳でもなかった。

でも、ろう下に人は居なくなっていた。

知らない間に。

――私はガランとしたろう下を見渡した。

誰も人は居なくて、この世界に私しかいないみたいだった。

そう思ったら、突然不安になった。

私は"帰りたくない"と思った。

でも、帰らなくてはいけない。

私は手が震えるのを感じたけれど、歩き始めた。

学校の玄関の方へ。


私には、あの家以外に帰る場所がないから――。