ふと私は時計を見た。 そんなに時間が経っていた訳でもなかった。 でも、ろう下に人は居なくなっていた。 知らない間に。 ――私はガランとしたろう下を見渡した。 誰も人は居なくて、この世界に私しかいないみたいだった。 そう思ったら、突然不安になった。 私は"帰りたくない"と思った。 でも、帰らなくてはいけない。 私は手が震えるのを感じたけれど、歩き始めた。 学校の玄関の方へ。 私には、あの家以外に帰る場所がないから――。
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