花言葉の約束 空花 /作

【47】
――もう、家族のことすら考える時間もない。
家族を養うために、働かなくてはいけないから。
私は急いで支度をし、二人分のご飯を作り、1つは自分で食べた。
そして、もう1つのご飯をテーブルに置いて、私は家を出た。
とにかく、急がなくては。
仕事に遅れたら、また岡田さんに色々と言われるかもしれないから。
遅れたとしても、私が悪いのだけれど。
七海目線
私は布団を頭からかぶった。
もう、何もしたくない。このまま寝ていたい。
今日は土曜日だから、休みだし。
そう、私が考えていた時、ガタッと音がした。
私の部屋じゃない。お母さんの部屋からだ。
お母さん……起きたんだ。
また、仕事かな……。
しばらくバタバタと走り回る音が聞こえた。
布団から頭を出し、時計を見てみるとお母さんが仕事に行く時間帯だった。
お母さん、最近忙しいみたいだな。
私のこともあまり気にかけてはくれない。
虐待も減ったけど、家族はバラバラ。
前からバラバラだったけれど、更にバラバラになったような気がするのだ。
それは、お母さんの仕事が忙しいから?
私は……全然知らない。お母さんのこと。
お母さんが何の仕事しているのかさえ、知らない。
小さく溜め息をついて、私はまた布団に潜った。
ここが安心できる。
眠くはないけど、落ち着ける。
自分だけの空間。
誰も私に文句を言わない。
ここは、自由――。

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