花言葉の約束 空花 /作

【64】
最終回(優奈目線)
そして、それから2ヵ月半という時間が流れた。
私達は、今ではすっかり戻っている。
ずっと望んでいた、幸せだった昔のあの頃に。
七海の友達の神崎琴音ちゃんとも出会い、今ではすっかり仲良くなっている。
――そして、岡田さんは今の仕事を辞めた。
岡田さんは会社を辞めるときには1人ずつに謝った。
そして離婚して、遠くの実家があるという街に引っ越した。
仕事が見つかるまでそこの街に住んでいる両親の家に住んでいたが、引越し先で案外すぐに仕事が見つかり、アパートを借りて今は子供と2人暮らししているそうだ。
子供の為にも頑張って働いて、今までのような過ちを二度と犯さないように更生するのだという。
私も、七海にもうあんな事はしない。
そう思いながら私が時計に目を向けると、七海が学校から帰ってくる時間帯だった。
楽しみにしながら時計を眺めていると、ガチャッという玄関のドアが開く音がした。
私は籠から放たれた鳥のように玄関へと向かう。
「七海、おかえり」
作り笑いではなく、心からの笑顔で七海を迎える。
七海も、嬉しそうに笑った。
その笑顔を守れるよう、私は努力して生きて行きたい。
さよなら、過去の弱い私。
そして、あの言葉を忘れずにいたい。
そしたら、岡田さんともまた会える気がする。
また会う日を楽しみに――。
END

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