花言葉の約束  空花 /作



【27】



その雲を取り除ける日は、私には来るのだろうか。

「夜のパトロールって言ったら変かも……まあ意識ある夢遊病みたいな?」

琴音が黙っている私に向かってさっきのセリフに言葉を付け足した。

ていうか、意識ある夢遊病って。

病気?

「えっ、意識ある夢遊病?」

「まあ、でも体が勝手に動くわけじゃない。夢遊病って、言い方変だったね」

言葉は慌てているようだったけれど、琴音の顔は落ち着いていた。

「夢遊病……」

私は呟いた。

夢遊病って、確か夜中に眠ったまま起きて、勝手にどっか行くっていう病気だっけ。

その時の記憶はないとか……。

「夢遊病、ではないな。 自分からここに来てるんだ。いつも」

「え……いつもこの時間帯に?」

「今日はちょっと遅かった、いつもならもう少し早い」

琴音は笑ってた。

でも、笑って誤魔化しているようにも見えた。

「……ていうか何で自分から……」


「……それは……」

琴音は黙った。

何か、隠している。

そう私は感じた。

思わず私も黙ってしまった。

重苦しい空気の中、やっと琴音が口を開いた。

「さっき、言ったでしょ。もう心が淋しい人もそれに傷ついて自.殺する人も増やしたくないって」

琴音は冷たく言い放った。

「でも、何で増やしたくないの? 元からそーゆうのに興味あったの?」

私の疑問は次々増えていく。

そして次々私の口から出る。

「……時が来たら話すよ。全部」

琴音は暗い表情をして言った。

「今は言えない、ごめん」

そう琴音は言うと、苦しそうにしゃがみこんでしまった。

「……琴音!?」