白雪姫はりんご嫌い はるた ◆On3a/2Di9o /作

【9】
何だか、心にぽっかり穴があいたみたいだった。
でもそれでいいと思った。
――ガチャッ
その時私の部屋のドアを開ける音が聞こえ、ドアが開いた。
「え……」
「七海、何よさっきの音は!? 五月蝿いわよ!! 静かにしてなさい!」
お母さん……!
ドクンドクンと、心臓が早く動くのが自分でも分かった。
お母さんの視線が壊れた写真立てに向けられた。
「何よ……これは……!!」
どうしよう。怖い。言い訳も出来ない……!
――グイッ
胸倉を掴まれ、お母さんは鬼のような形相で私を睨みつけた。
心臓がもっと早く動くのが分かった。
「どういう事!? 説明しなさい!!」
「それ……は……机から落ちちゃって……」
私はとっさに思いついた言い訳を言った。
でも大人にそんな言い訳は通じなかった。
「そんな言い訳聞きたくなんかないわよ! ちゃんと言いなさい!!」
私が黙っていると、お母さんはまた怒鳴る。
「何黙ってるの!? ちゃんと言いなさい!」
「だから……落としちゃったんです……。」
声がだんだん小さくなっていく。
怖……い。
――バシッ
平手打ち……か。
私、お母さんに嫌われてるから。
だから。
こんな事されるんだよね――。

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