白雪姫はりんご嫌い はるた ◆On3a/2Di9o /作

【12】
しばらく呆然と立ち尽くしていた。
その間にも、痛みは更に増していった。
でも……私が一番痛いのは、心――。
お母さんが答えてくれなかった事が悲しかった。
どうして答えてくれなかったの。何で。
手が小刻みに震えていた。
血はまだ流れていた。
――ポタッ
真っ赤な血の雫が私の手をつたって、やがて床のカーペットに落ちていった。
血の雫は、床のカーペットに小さなシミを作って、やがて広がっていった。
その間も、血は私の手をつたって流れ続ける。
でも、もう怖くはなかった。
それから、何分経っただろうか。
私は、やっとの思いでガラスを取り除いた。
時間が経つごとに、痛みは少しずつなくなっていった。
けれど、心の痛みは少しもおさまらない。
どうして答えてくれなかったのか、という思いがずっと頭の中にあった。
こんな事をされる辛さが、お母さんには分からないのだろうか。
知って欲しいのに。
でも、他人の心など誰にも分からない。
でも……私に一瞬でもいいから笑って。お母さん。

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