花言葉の約束  空花 /作



【40】



慣れたと言っても、私が仕事に行きたくない理由は"岡田さん"なのだ。



いくら慣れても、嫌いなのは変わらない。



私達は確かに岡田さんの部下だけど――岡田さんの言いなりなんかじゃない。



家族を養うためとか、自分が生活するためとか、それぞれ"働く"理由がある。



それは決して、『誰かの言いなりになる』という理由じゃないはずだ。



本当はここの仕事を辞めたいけど、もし仕事が見つからなかったら……。



そうなったら、私達は生活していけない。



だから働く。



自分と七海が生活していくために。











七海目線



私は、しばらく風に当たっていた。



何もすることもなかったし、ぼうっとしていたかった。



"お母さんが居ない"



それは、何もされないし何も言われないこと。



正直、嬉しかった。



休みはそんなに好きじゃなかったけど、私が小6のときにお母さんの仕事が急に忙しくなって、そのときからずっとお母さんは7時半くらいに家を出て3辞くらいに帰ってくる、というのが続いている。



昔は、もう少しお母さんは家に居た。



私はそれが嫌だった。虐待されていたから。



でも、昔の方が今より虐待が少なかったと、最近思うようになった。



どちらにしても、虐待されていたことに変わりはないけれど。