花言葉の約束 空花 /作

【38】
七海目線
私は、しばらくベットの上に座っていた。
――ガチャッ
その時、部屋のドアが開く音がした。
少しびっくりしたけど、私の部屋じゃなかった。お母さんの部屋だ。
静かだった家に、お母さんがパタパタと走り回る音が聞こえた。
今日も仕事に行くんだな……。
お母さんはほぼ毎日、仕事に行っている。
今は――7時半か。
だいたい今の時間から、昼の3時くらいまで働いている。
いつも大変なのは分かる。
――ガチャッ
また、ドアが開く音がした。
「行ってきます」
確かにそう、お母さんの声が聞こえた。
*
お母さん……仕事に行ったんだな。
私は部屋のドアを開けて、リビングに行ってみた。
すると、テーブルの上に1枚のメモが置いてあった。
――――――――――――――――――――――――――――
七海へ
お母さん今日も仕事だから朝ごはん、冷蔵庫にある残り物で何とかして。
それじゃあ、行ってきます。
――――――――――――――――――――――――――――
ふうん、残り物か。
まだお腹すいてないからいいかと思ったけれど、私は冷蔵庫を開けてみた。
冷蔵庫の中には昨日のエビピラフが皿に乗ってラップをかけて置いてあった。
冷蔵庫に置いたら冷たくなるじゃん……。
私はそう思って、エビピラフを冷蔵庫から出して、冷蔵庫の扉をしめた。
そしてそのままエビピラフをテーブルの上に置いた。
メモはぐしゃっと丸めて近くのゴミ箱に捨てた。
何、しようかな……。
その時、ふいに私の視界に窓が入って、窓を開けることにした。
――サアッ
窓を開けたらそっと風が吹いてきて、心地よかった。

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