白雪姫はりんご嫌い  はるた ◆On3a/2Di9o /作



【5】



それに、遠くても近くても"家に帰りたくない"という気持ちは同じで……。

家なんて、狭い穴の中のようで、嫌だった。

"今日は何もされないよね"

"今日こそきっと笑ってくれる、またあの優しいお母さんに戻ってくれる"

"もう無理なんだ、もう……あの頃のお母さんになんて、戻らない。"

希望を求める気持ちや諦めかけた気持ちが左右に私の頭の中で揺れ動く。

ふとその時、思った。

"私が虐待なんてされるのは、お父さんのせいじゃないか"

って――。

でも違うと思った。

お母さんは私が嫌いだから。

そう……だよね?

自分はとても悲しかったのに、私が居たから泣けなかった?

そうなのかもしれない。

きらきらと、夕焼けの空が輝いた。

突然切なくなった。