白雪姫はりんご嫌い はるた ◆On3a/2Di9o /作

【6】
顔を上げた。
家……がもう少しだ――。
はあ、と、ため息をついた。
私の家はマンションだ。
そんなに狭くはない、ベランダから綺麗な景色がよく見える。
――ギイッ
私はマンションのドアを開けた。
そして、エレベーターに乗り、【7】の文字のボタンを押した。
私の家は、七階。
私は少しエレベーターの壁にもたれかかった。
何だかとても疲れたような気がした。
と、その時、エレベーターの扉が開いた。7階に着いてしまった……。
私は自分の家へと振り向きもせずに向かった。
……しばらく、俯いていた。
それでも、足は止めなかった。
私の家の番号の部屋に着くと、私はカバンから家のカギを取り出して、家のカギを開けた。
――ガチャ
「ただいま……」
ただいまなんて言っても、笑顔で『おかえり』なんて言ってくれないことは分かっている。
「あー? 帰ってたの?」
だるそうなお母さんの声。
いつもと、変わらないや……。
お母さんはリビングでイスにもたれかかって、スナック菓子を食べていた。
リビングには、お母さんがスナック菓子を食べている、パリパリという音しか聞こえない。
私はこの空気が嫌で、思わず部屋に逃げた。
「はあ……」
ベットに大の字でゴロ寝をしながら、私は思わずため息をついた。
私は棚のアルバムに手を伸ばした。
何となく見たかったからだ。
理由はただ、それだけ。

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