花言葉の約束  空花 /作



【45】



    優奈目線

それからまた時は過ぎていき、あの"岡田さんの万引き事件"から2週間程経った。

岡田さんは前より少し大人しくなった様な気がする。

ただの気のせいかもしれないけれど……。

私は溜め息をついて、部屋のカレンダーを見た。

9月14日。

時が過ぎるのは早いと私は思い、また溜め息をついた。

今日も私は仕事で、でも今は午前の2時だった。

妙に胸騒ぎがして、眠れなかったのだ。

何故だろう?



今夜はもう眠れそうにない。

でも、こんな早くに起きたってすることなんかない。

やっぱりもう一度、寝ようか。

……眠れるだろうか。

私は少し迷ったが、また寝ることにした。

すっかり目が冴えてしまったけれど、無理矢理にも眠れない程酷くはなかったから。

私は、ちらりと横目でカレンダーを見てから、部屋へ行った。

――ガチャン

部屋のドアを閉め、私はベットに潜り込んだ。





     七海目線

私は、過去の夢を見た。

「おとうさん、おかあさん、たのしかったね!!」

水族館から出て、駐車場まで向かっていた時、私はにこにこしながら言った。

私の両手はお父さんとお母さんの手をしっかりと握り締めていた。

「うん。楽しかったね。また来ようね」

「七海、また来ような」

そう言って微笑むお父さんとお母さん。


過去の薄れた記憶が、私の夢の中で再生されていく。


「七海、ありがとう。すごく嬉しい」

「おかあさんがよろこんでくれたから、ななみもうれしい!!」

私の頭を優しく撫でてくれるお母さんとお母さんをじっと見つめる私。

これは……母の日だっけ。



そしてまた夢は続いていった。

「お母さん、ただいま!」

「五月蝿いな、黙って宿題してなさいよ」

「……ごめんなさい」