花言葉の約束  空花 /作



【52】



何で私が死ななかった?

どうして? どうして?

一気に心に詰まっていた感情が溢れ出す。

私が生きている意味は何?

私が死ねば全てが終わるのに。

七海だって幸せになれるはず。

なのに――。

気付けばまた、私は泣いていた。

七海の方が心が壊れそうな程辛いのに。

悔しい。

誰か、教えてよ!

私が、生きている意味を。



……孤独の世界。

本心を言い合える人が居ない。

虐待しているだなんて、誰にも言えない。

ここから逃げ出したい。

解放されたい。

楽になりたい。

自由な世界に生きたい。

私は玄関へと向かい、玄関のドアを開けて走り出した。

もう、止めるほどの意思は薄れていた。





     七海目線

私は気を取り直し床のじゅうたんを眺めて、思い出したくない記憶を思い出してしまった。

じゅうたんに残された茶色いシミ。

血。

そう、ガラスが刺さった時の血だ。

私はそのシミから目を逸らし、再びドアの方へと目を向けた。

――ガチャッ

走り回る音と共に、ドアを閉める音が聞こえた。

何が起こったのか分からなかった私が部屋のドアを開けると、リビングにお母さんの姿はなかった。

まあ、ドアを開ける音がしたから居ないに決まっているだろうと思い、私は怒られるだろうかと躊躇いながらもお母さんの部屋のドアを開けた。

そして、気付いた。

お母さんの姿がない。

リビングのイスに座って5分程待ってみたがお母さんは戻ってこなかった。