花言葉の約束  空花 /作



【41】



      優奈目線

私はあの人がいなくなってから働くようになった。

もう、自分しか七海を養える人はいないから。

そして必死で仕事を探して今の仕事に就いた。

でも、そこは"差別される場所"だった。

まるで身分制度でもあるかのように。

新人や部下は"召使"

上司は"偉い"

そんな風に岡田さんは考えているのだろうか?

誰かを見下すことで何か岡田さんにとって良いことがあるのか。

そんなこと、分からないけど――。

ふと、考えた。

あんな風に差別されるのは嫌だ。

それは痛すぎるほど知っている。

岡田さんが原因で、ここを辞めていった人も少なくはない。

それくらい岡田さんは性格が悪いのだ。

だけど、岡田さんは仕事が出来る人だから、岡田さんの上司はその"差別"を見て見ぬふりをしている。

人間なんて所詮そんなものだと、私は改めて思った。




七海目線

そして、一ヶ月が経った。

私とお母さんは相変わらずで、元の優しいお母さんに戻る様子なんかこれっぽっちもない。

あれから、琴音には一度も会えていない……。

私、まだ、忘れてないよ。

忘れる訳ない。

『また会う日を楽しみに』

きっといつか会えるって、信じるよ。