花言葉の約束 空花 /作

【20】
ワタシガシンダラカナシイッテ。
ホントウニ?
「本当……に? 本当に、そう思ってる?」
私は、その子の言葉を信じたい。
だけど――信じられないんだ。
たった1つの言葉では。
「……本当だよ」
少し、時間が経ってからその子は頷きながら言った。
「本当に? 嘘じゃないよね?」
私は聞き返す。
嘘だって言うなら今言って。
もう、後で傷つきたくない。
後で傷つくなら、今、言ってくれた方がいい。
『嘘、お前なんか死.んでも僕は悲しまない。さっきのは、ただの綺麗事』
――そう思っているなら、
今、言って欲しい。
「嘘じゃない。さっきの言葉も全部」
その子はしつこく聞く私に文句1つ言わずに答えた。
しかも、私が死.んだら悲しんでくれる。
そう言ってくれた。
――信じたい
いや、信じよう。
この子ならきっと分かってくれるはず。
私の願い――叶えてくれるはず。
「ありがとう……。すごく嬉しかった。
あのね、1つだけお願いがあるんだ……」
本当に嬉しかった。
私の願い。
それは。
「……私の友達になってくれますか?」
こんな変な願いでごめんね。
「いいよ」
その子が言った言葉は、たった3文字の言葉なのに、 私の目からは涙が溢れていた。
「……だ、大丈夫!? どうしたのっ、ねえっ」
その子は泣いている私を見ておろおろしてた。
でも、その時の私の涙は。
悲しい涙でもない。
苦しい涙でもない。
痛い涙でもない。
嬉しい、涙――。

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