花言葉の約束 空花 /作

【37】
今日は"朝"がいつも以上に眩しく見えて、思わず目を伏せた。
私――私は――。
本当はいつも笑顔で居たい。
でも……無理矢理笑顔を作ろうとしても、イライラが溜まるばかりで。
笑顔で、七海と一緒に幸せに暮らしたい。
今ある幸せを、大切にしたい。
だけどそんな"希望"も崩されてゆく。
誰かに相談できれば……いいのに……。
*
ふと、時計を見ると時計の針は7時半になっていた。
カチッ、カチッと針の音が鳴る。
仕事に行かなくちゃいけない……。
本当は、仕事なんかに行きたくはない。
でも、仕方ない。
私は仕事へ行く準備をして、リビングに向かった。
そして、メモに書き置きした。
――――――――――――――――――――――――――――
七海へ
お母さん今日も仕事だから朝ごはん、冷蔵庫にある残り物で何とかして。
それじゃあ、行ってきます。
――――――――――――――――――――――――――――
いつもはもっと早く起きていたけれど、今日は寝坊してしまって、朝ごはんを作る暇などなかった。
だから私は、何も食べずに玄関へ向かった。
――ガチャッ
「行ってきます」

PR
小説大会受賞作品
スポンサード リンク