白雪姫はりんご嫌い はるた ◆On3a/2Di9o /作

【4】
学校の玄関の扉を震える手で押して、私は外へと出た。
外は広かった。
――このまま家になんて、帰りたくなかった。
何処かに寄って行きたい気持ちもあったけど、もう薄暗くて、一人で歩くのはとても不安だった。
なので、仕方なくそのまま家に帰ることにした。
私は、重い足取りで家に向かって歩いた。
……私には、通りすがる人がみんな、『あの子は悪い子だから虐待なんてされるんだ』 『ほら あの子は全部自業自得よ 傷ついてるお母さんに無理矢理話しかけるから……』
そう言っているように見える。だから、人が怖い。
"こんなのただの被害妄想だ"
そう思っていても、私には聞こえてくる。
実際には私と通りすがる人達が言っていなくても、何も思っていなくても、私には通りすがる人が皆、私を責めているように見えた。
私は、俯きながら、家に向かって歩いていった。
その家までの道がとても近く見えた。
でも、本当は遠い。
そう、思っていた。
いつだって、家への道は遠いからって。
でも、本当は。
――遠くも、近くもなかったかもしれない。
だって、家へと帰ればまた、同じ事の繰り返しなのだから。

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