白雪姫はりんご嫌い はるた ◆On3a/2Di9o /作

【7】
私は手に取ったアルバムのページを夢中でめくっていった。
と、その時、一枚の写真がはらっと床に落ちた。
私はそれを慌てて拾って、その写真を見て、気付いた。
――これは。
お父さんが亡くなる前の、家族3人で最後に取った写真だった。
写真の中のお父さんとお母さんは、満面の笑みで、私は幸せな、いや無邪気な笑顔で写真に写っていた。
懐かしい……ホントに、懐かしいよ。
お母さんも……お父さんも……私も……幸せだった頃の写真。
その写真は、一見幸せな家族写真。
でも、今の私には、ただの過去の写真にしか見えなかった。
家族写真って……幸せな過去を写すモノ、としか、私は思えなくて。
今は幸せじゃないから。
余計辛くなるんだ。
幸せはもう、そこにはないから。

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