おいでませ、助太刀部!!   野宮詩織 /作



第2章 「え!? 本当に依頼とか来るのか!?」(part3)



「や、やだな~。 殺すだなんて物騒なことを女子が言っちゃダメだろ?」
「戮(ころす)……!!」

どうしよう。
普通の高校生の男子が体験するような出来事じゃないぞ、コレ。
どうすればいいんだ!? 助けて! Help me ERIN(以下略

「漢字を変えてごまかすな!! 早く刀をしまえ!!」

桜が渋々といった感じだが、大人しく刀を鞘へ収める。
ふぅ……。 これで一安心だな。

そう思ったのもつかの間、桜が銃を引き抜き、俺のこめかみに銃口をあてた。

「劉(ころす)……!!」

……刀より危ないものが出てきたんだがどうすればいいんだ!?
舞踏王とか戦闘経験のない奴でも良いって言っただろ!? 初心者歓迎だ!!
だから、早く助けに来てくれよ!!

「歩~、我は早く帰りたいのじゃ。 早くしてくれないかえ?」
「妖賦。 こいつを殺すまでちょっと待っててくれ」

妖賦…。 緋狩妖賦か?
珍しい名前だし、独特な喋り方をしているし、番傘を持っているからきっと同じクラスの緋狩妖賦だろう。
まぁ、俺の知り合いでも、こんな喋り方する奴はいるが、あいつはここの学生じゃないしな。

「分かった。 外で待っているからのぅ」

この状況をスルーするのか!? 殺人現場の一歩手前だぞ!?

「誅(ころす)っ!!」

そんなことを考えていると、ズガーンとかいう派手な音を立てて、壁に銃弾が食い込む。

ぎゃあーーーーーーーーーーーーーーーっ!?
何、この状況!? ここは、本当に日本なのか!?

「歩ちゃんっ! 岡崎苛めはその辺にして、少し手伝ってもらいたいことがあるんだけどお願いできるっ?」

銃を撃ったことをスルーして深間が桜に話しかける。

「内容によっては手伝ってもいいぞ」

チャンスだ!!
深間に注意がいっている間に逃げてしまおう!

そんな俺の考えを読みとったのか、桜がこちらに向かって、銃を連射してきた。

「○▼∴♪*#$@%ッ!?」
「地球上に存在している言葉になってないよ?」

相斗がいつものヘラヘラした笑顔を崩さずに冷静にツッコミをいれる。
他人事だと思いやがって!!
それにしても、危なかった……!! マジで死ぬかと思った……!!

「で、頼み事は何だ?」

俺に発砲したというのに桜は何食わぬ顔で深間との会話を再開した。
俺の心拍数を分けてあげたい。
掠った時なんかはメーターを振り切るレベルの心拍数だったと思う。

「あのねっ、ここにいる笠井先輩のお手伝いをすることになったんだけど、生徒会の人の協力が必要なのっ!」
「内容を略しすぎて何が言いたいのかさっぱり分からないんだが」
「笠井先輩っ! 話して平気っ?」

プライベートな話のためか、しっかりと笠井先輩に許可をとる。
「深間も一応、高校生なんだなぁ」だなんて思ってないぞ?

「大丈夫ですわ」
「桜のような邪悪な人に教えて平気ですか?」

念の為、もう1度確認をする。

「岡崎、ちょっとこっち来い」

~歩が翔をボコボコにしているのでしばらくお待ちください~

「ごめんなさい……」



最終的に俺が土下座をして、ようやく桜の怒りは収まったらしかった。