おいでませ、助太刀部!!   野宮詩織 /作



第8章 「吾こそ翔の正妻なのじゃ!!」(part8)



「は、早くするがよい! 味は……ま、まぁ、悪くは無い筈じゃ」

そういうことじゃないんだ……!!
この光景なんか既視感があるだろ……………!?

「翔は照れてるんだよ」

相斗がフォローを入れてくれた。 相斗、本当にありがとう………!

「猿は黙っておれ! さぁ、翔、口を開けるのじゃ!」

………残念なことに、月海は相斗の言葉を聞く気すらないらしい。 しかも、まだ人間として認識してもらえてないし………。

アレ……? 背後にクラスメイトよりも殺気立っているような……まさしく刺すような視線があるんだが……。

「翔クン、それを口にしたら貴方の命は保証できないわよぅ」
「ちゅ、中子!?」

俺の後ろで殺気を出していたのは、中子だった。

「そんなに手作りお弁当が食べたいんなら私が作ってきてあげるわよぅ♪」

中子が俺に抱きつきながら言う。 お願いだから、公衆の前でこういうことをするのは止めて欲しい。 これ、結構、切実な願いなんだぞ………!?

「な、汝、何をしておるかーーーーーーーーーーーっ!?」

月海が顔を真っ赤にしながら、俺に抱きついている中子を指差して言った。

「え~? 何ってスキンシップを図ってるだけよぅ♪」

学校には兄貴がいなくて安心とか思ってたのに、もう、学校にも安息の場所はないらしい。
ただでさえ、中子と月海の相手をするのに疲れているのに、クラスメイトの奇襲から逃れなくてはいけないことを考えると、もう身体が持たないことは明白だろう。

「相斗、助けて!」

近くにいる相斗に助けを求める。 きっと幼馴染のよしみで助けてくれるだろう。 最悪でも助け舟くらいは出してくれるはずだ……!

『ねぇ~、今日の夜、空いてる?』
『えーと……ごめん、今日は葎ちゃんと約束しちゃった』
『あ~ん、残念~。 ってか、相斗ってホント遊び人だよね~』
『そうかな? そんなこと言ったら、美穂ちゃんだって僕を誘ってる時点で遊んでるよね?』
『アタシは相斗が本命だも~ん♪』

…………………………………一つ言うとしたら―――――――――――――――――――

「リア充爆発しろっ!!」

相斗のバカ! 自分だけ遊べるほどの人数の女子に囲まれやがって!

『ちょっとー、藁人形が一個足りないんだけどー! 風葉と岡崎の分の2つ作らなくちゃいけないんだぞ!?』

おい、さっきから黒魔術に手を出してる奴がいるんだが!? 誰も止めないのか!?

『誰か飾り緒と憑依のやり方知らない!?』
『イビルアイ使える奴出て来い! もしくは、直接バロール呼んで来い!!』
『リアンノンの歌う鳥、どこにいるか知らない!?』



…………こいつらは、黒魔術以外の手段を知らないのだろうか?