おいでませ、助太刀部!! 野宮詩織 /作

第7章 「高校生には見えないんですけど!?」(part11)
「さぁっ、ケーキも食べたし次の依頼の整理するよっ」
深間が口(というかほっぺ?)にクリームをつけたまま立ち上がった。
本当に見た目は子供、中身も子供っていう感じだな、うん。
「秋牙、ほっぺにクリームついてる」
「えっ? 本当っ? 伊野ちゃん、取って取ってっ!」
「分かった。 ちょっと待って」
伊野がポケットティッシュを取り出し、深間の口付近のクリームを拭き取る。
この2人、並んでると年の離れた姉妹……………下手したら親子にも見える。
そう考えると伊野って大人っぽくて良いよなー。 中子ほどではないにしろ、外見は好みだし、なにより数少ない常識人だしな!!
でも、伊野はかなりモテるから倍率高そうだし、何より、本人が堅そうだしな………。
「…伊野先輩を邪な目で見ないで」
「分かった。 分かったからハンマーをしまえ!!」
花薇は変なところで常識を発揮するよな……。
変なところっていうか、俺に不利益なところだがな…。
「さてっ、気を取り直して依頼の整理するよっ! 明後日は鎖月薺さんからの依頼で妹探しだよっ。 存在しているかいないかも五分五分らしいけどねっ!」
「おい、その事件は警察に届け出ろ」
どう考えたってその仕事は、高校生の仕事ではなく警察の仕事だろう。 捜索願を出せば万事解決だ。
それにしても、存在しているか否かが五分五分って妹さんはツチノコか何かなのだろうか?
「で、その次にやらなくちゃいけないのは第2新聞部の取材を受けることだよっ」
「翔のことを無視するなんてこのロリ何様!?」
「うげっ、兄貴、いつの間に戻ってきたんだよ!」
「今さっき、変な人を全力で振り切ってきたよ」
兄貴がさりげなく俺の隣に座っていった。 これ、月海にばれたら、俺が怒られそうだなぁ………。
というか、ただでさえ、中子が先に学校に来ちゃって機嫌わるいんだけどな……。
「あれぇ? 明日は何もないのぉ?」
何故か一条院が尋ねた。
「うんっ。 明日は帰国子女枠の子がもう1人来るから、勧誘用に空けてるんだよっ」
「ちなみに、私も帰国子女枠で入ったから少し手続きが遅れちゃったのよぅ」
え!? 中子って帰国子女枠で入ってきてたのか………。
ってことは、明日来るのは………
「まさか、月海が来るのか……?」
四月朔日と中子にしか聞こえないくらいの小声で尋ねる。
「明日のお楽しみだ」
「月海に直接聞いてみればいいじゃないのよぅ」
* * * * * * * *
「ねぇねぇ、翔。 月海って誰? 後、忍さんと中子さんって知り合いなの?」
「それ、ボクも気になってたんですよね」
寮の部屋に入るや否やさっきまで大人しかった相斗と眸から質問攻めを受けた。
ここで下手にごまかすと面倒なことになりそうだから、説明をする。
「あー………。 2人とも、兄貴の知り合いでな……。 なんか懐かれた(?)」
嘘は言ってない。
でも、月海の件に関しては確認してみないことには分からない。 一縷の望みにかけて、携帯電話で連絡を取ってみる。
「もしもし、月海?」
『翔かっ!? 汝(なれ)から連絡を寄こすとは珍しい』
「あぁ、聞きたいことがあるんだが……」
『何じゃ?』
「明日から学校に来るって本当か…?」
『無論じゃ! 中子などに後れをとってなどはおれぬ!』
ブチッ(←俺が携帯の通話を切った音)
さらば、俺の楽しい高校生活………!
第7章 「高校生には見えないんですけど!?」
グダグダですが完!!

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