おいでませ、助太刀部!!   野宮詩織 /作



第7章 「高校生には見えないんですけど!?」(part7)



「事情はよく分かった」

兄貴を引き剥がしてすぐに四月朔日と桜が教室へはいってきて、俺と兄貴をその場に正座させ、相斗と花薇に事情を聞いた。
どう考えたって、正座と事情聴取の順番が逆だと思う。

「岡崎兄」
「何?」

四月朔日が兄貴のことを呼ぶとすぐに兄貴が返事をした。
俺と兄貴は名字が同じだから、兄とか弟をつけて区別するつもりらしい。

「帰れ」(←四月朔日)
「嫌だ。 もっと、翔と一緒にいたい」
「いいから早く帰れや、ボケ」(←桜)

兄貴のアホな回答に怒りの沸点が異常に低い桜が暴言交じりに最もな意見を言った。
今回は四月朔日と桜の意見に激しく同意する。

「翔から長時間離れるくらいなら、タバスコ10リットルくらい飲む方がマシだ!」
「そうか。 今すぐ、タバスコ(ワサビやハバネロ等も混ぜたオリジナルmix)を用意してやろう」

()の中に悪意が純度100%でたっぷりとつまっている気がする。
今更だが、桜と四月朔日は曲がりなりにも年上の兄貴に敬語を使う気はないらしい。 まぁ、敬えないし当たり前か。

「翔、兄さんがんばるからね」
「飲むのか!? 本当に飲む気なのか!?」

兄貴は要らないところで、無駄な根性というか覚悟を発揮した。
本当にアホだな…………。

「それなら、ウーロン茶とかも混ぜて意味分からない味にした方が面白いわよぅ」
「ダメだ。 そんなことしたら、素材の味が消えるだろうが」

中子の提案に四月朔日は少し頑固なシェフといった感じの言葉を返した。 タバスコは素材の味を生かすと大変なことになると思う。

「歩ぅ~、タバスコ持ってきたよぉ」
「思ったより重くて疲れたのじゃ」
「桜ノ宮ちゃんに途中であったから、先生も手伝ったのよ~」

声が聞こえた方――――――――扉の方向を見ると一条院、緋狩、稲田先生という変わった面子がタバスコが入ってると思わしきダンボール箱を抱えて立っていた。
あれ? このタイミングにタバスコが搬入されてきたっていうことは………。

「さぁ、岡崎兄。 思う存分飲め」
「あと3箱はあるから頑張れよ」

案の定、鬼(のような性格の人)たちが兄貴を処刑する準備が整っていた。
これをバカ正直に飲んだら死ぬと思う。

「これを飲みきれなかったら素直に帰れ。 んで、飲みきれたら三途の川を渡れ」

その2択はどちらを選んでも兄貴に利がない。
流石にアホ兄貴といえども、気付くと思うんだが………。

「臨むところだ!!」

……………………………………………気づく気配すらも全くない。



国語辞典でアホとひいたら岡崎忍の名前が出てくる日が近いかもしれない。