おいでませ、助太刀部!! 野宮詩織 /作

第7章 「高校生には見えないんですけど!?」(part9)
「」
「それにしても、岡崎のお兄さんは秋牙を攻撃したの?」
深間が元気になったのを見て、安心したらしい伊野が尋ねてきた。
「あいつは弟に過保護なんだが……………」
「見れば分かる」
続きを言いたくないが為に言葉を濁したのに、伊野にバッサリと切られたため、その計画はご破算となった。
基本的に兄貴について話すと、トラウマが同時に蘇ってくるからなぁ………。
「簡単に言うと、俺たちに女子が近付くともれなく攻撃をしかけにかかるんだ…………」
「…何で?」
伊野に代わって、花薇が聞いてきた。
「『彼女ができたら捨てられちゃう!!!!!』からだとよ………」
「…兄弟揃って変な人」
「お前には言われたくない」
兄貴は確かに変な人だが、自分で言うのもなんだが、俺はそこまで変じゃないと思う。
そんなことを言い合っているうちに部室の扉が開いた。
まさか、悪魔(兄貴)の再来か………!?
「た、ただいま…………」
ありがたいことに扉から入ってきたのは相斗だった。
ものすごいやつれてるが、大丈夫か………? 生け贄に差し出してしまった手前、罪悪感が湧いてくる…。
「あれ? お義兄さんは一緒じゃないんですか?」
機嫌が直ったと思わしき眸が相斗に尋ねた。
「逃げてる途中に稲田先生に捕まったよ」
「は? 稲田先生ならここにい……あれ? いない?」
さっきまでタバスコが入った段ボールの近くにいたはずなのにな……。
「稲田先生なら、岡崎先輩のお兄さんが風葉先輩を拉致した辺りで出て行ってたよぉ」
「うむ。 岡崎の兄を見るや否や『セバ○チャン!? 三次元にセバ○チャンがいるわ~!!』と言って駆け出して行ったのぉ」
…………なんか兄貴がかわいそうになってきた。
稲田先生って、陸上部の副顧問だし、そこそこ足速いだろうからなぁ……………。
「本当に稲田先生には感謝してるよ」
相斗が嬉しそうに言った。
これから、学校で兄貴が襲ってきたら、稲田先生のいる方向に逃げよう。と思った。

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