おいでませ、助太刀部!! 野宮詩織 /作

第8章 「吾こそ翔の正妻なのじゃ!!」(part5)
~昼休み~
「へぇー、それで翔はハーレムを築きあげたんだね? ところで、それはゲームか何かの話だよね?」
相斗に事の一部始終を話したところ、全く信じてもらえていない。 そうだよな、普通はあんな美少女に囲まれるなんて美味しい状況に陥るはずなんてないしな。
でも、二次元の話ならば、クラスメイト達のリアクションをあそこまで忠実に再現しないで欲しい。
「現実だ。 俺だって夢だと信じたい」
特にカッター投擲の件(くだり)。
「まぁ、でも、翔だし、あり得ない話ではないよ」
相斗がいつものヘラヘラした笑みを崩さずに言った。 完全に他人事だと思っているらしい。
「………そうか?」
「うん。 小さいころからそうだったでしょ?」
……小さい頃は兄貴のせいで女子はおろか男子すら近づいてこなかった気がする。
だって、相斗以外に仲良かった人の記憶が全くない………!!
「あっ、相斗くーん! 今日は昼ごはん一緒に食べられるぅ~?」
相斗の姿を見つけた女子が駆け寄ってきた。
相斗は昔から奇妙なまでにモテる。 しかも、寂しいからとか言って誘ってきた女子と一緒にご飯を食べたり、遊びに行ったりなどということがしばしばある。
いいなぁ……。 俺、月海と中子とサリトと松の4人以外に女友達いないし……。 ミクと天花はカウントしてもいいのか微妙だし。
「ごめんね~、今日は翔と約束しちゃったから、また今度ね」
「えー、残念だなぁ~。 じゃあ、明日は大丈夫?」
「うん。 明日なら大丈夫だよ」
「じゃあ、明日! 明日予約!」
「明日ね。 ちゃんと覚えておくよ」
相斗がさっきの女子と明日の約束をしている。
予約が入るってどんだけ人気なんだよ……………。
「さぁ、翔。 パン買いに行こうよ。 ………なんで血の涙を流してるの?」
別に羨ましい訳じゃない……。 羨ましい訳じゃないんだからなっ!!
「普通の女子に囲まれてみたい訳じゃないんだからなっ!?」
「……翔、君はいつからツンデレになったんだい?」
「違う! ツンデレじゃない! 何で俺の周りにはロクな人間が集まらないんだ!?」
こう……全体的に暴力的な人が集まっている気がする。
現に、兄貴も月海も中子も松も邪魔は実力で排除するタイプだからなぁ………。
「いいんじゃない? バリエーションが豊富で」
騙されないぞ! そんな冷凍食品の広告みたいな台詞には騙されない!
「だって、お姉様系の人にロリっ娘、無口眼鏡っ娘、更には帯刀少女に男のk「ストップだ」なんで止めるんだい?」
相斗の言葉のお陰で、改めて俺の周りには奇人変人しかいないことが分かりました。

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