おいでませ、助太刀部!! 野宮詩織 /作

第2章 「え!? 本当に依頼とか来るのか!?」(part6)
さぁ、どうしようか。
泥沼もいいところな状況になってしまった。
笠井先輩もさっきからずっと困惑した表情のまま固まっている。
どこぞのバカな氷の妖精に凍らされたんじゃないか?と思うほど見事に固まっている。 パーフェクトフリーズしている。
相斗が対応を間違えればその瞬間、全てが終わる可能性も否定できない。
「リア充は爆発すればいい」と思っているが、今だけは応援してやる。
がんばれ、相斗!!
「えーと、残念ですがお断りします」
相斗ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!
何で、いきなり直球勝負してるんだ!
もう少し、やんわりと断れなかったのか!?
「はぁ!? ふざけてるの!?」
ほら! 案の定、キレたじゃねぇーか。
どうするんだよ! もう、これ昼ドラの世界じゃねぇーか!!
「ふざけてませんよ。 今は、笠井先輩からの依頼で
手いっぱいなんです」
説明は最もだが、こういう人は正論を言っても納得することはあまりない。
納得する人は、最初から反論してくることはないしな。
「そんな奴よりも私を優先しなさいよ!」
面倒くせぇーーーーーーーーーーっ!!
四月朔日と大阪のオバちゃんを足して2で割ったらこんな奴になる気がする。
「失礼な奴だな」
四月朔日に小突かれた。
桜の攻撃もこれくらいだったらすごい嬉しい。 叶わぬ願いだろうが。
「秋牙さん、どうしますか?」
相斗は匙を全力でぶん投げたらしい。
「歩ちゃん、妖賦ちゃん、緑香ちゃん。 よろしくねっ!」
深間も匙を全力で投げてくれた。
パスした相手が最悪なことを除けば妥当な判断だろう。
「斬ればいいのか?」
「攻撃をすればいいのかえ?」
「…ボッコボコにしてやんよ」
1人ネタ発言をした気がするがスルーしよう。
今の発言はネタじゃないぞ!? 偶然だ!
「する」と「スルー」が被ったのは偶然なんだ!!
というか、まともなことを言った奴が1人もいないんだが。
「バッカじゃないの? もういいわ。 奈良に頼むから」
奈良? 誰だ、それ?
「もう1人の副会長だ」
四月朔日が答えてくれた。
「なんで、お前はなんで人の心が読めるんだ?」
「お前は表情から感情がダダ漏れなんだよ」
そうか。 俺は顔に出やすいのか…。
少し、勉強になった気がする。
「あんたたちのこと、相坂くんにチクっといてやるから! こんな怠惰な部活、廃部になるんじゃないの~?」
そう言い残して、川原先輩は出って行った。
深間がヤバいといった感じの表情をしていたが、四月朔日が何かを言ったことで安心したらしい。
あいつは、一体何を言ったのだろうか?
「と、とにかく、デートの約束にはこぎつけてあるから安心してっ! 笠井先輩は明日の開校記念日と土曜日どっちが都合いいっ?」
「どちらでも平気ですわ」
「そしたら、善は急げだよっ! 明日に決まりっ!」
随分、急な話だが川原先輩が変なことをする前に行動を起こす必要があるという意味だろう。
俺と伊野にもちゃんと説明をしてくれるなら文句はない。
「そしたら、今から作戦会議始めるよっ!!」
「はいっ! がんばりますわ!」
こうして、本格的に助太刀部は依頼解決にむけて動き出した。

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