おいでませ、助太刀部!!   野宮詩織 /作



第2章 「え!? 本当に依頼とか来るのか!?」(part9)



「最初は何に乗りますか?」

伊野の問いかけに対して、笠井先輩と真先輩の2人は事前に打ち合わせしたんじゃないかと疑ってしまうくらいに同じタイミングにジェットコースターを指さした。
えーと、蓬莱マウンテン……?
全てを日本語にするとアウトな名前のアトラクションだな(著作権的な意味で)。

「かなり並んでますし、整理券もらっておいて先に他のアトラクションに乗るっていうのも手ですよ?」

また同じタイミングで首を横に振った。

「早めに乗りたいんだ!!」
「早めに乗りたいんですの!!」

結局、2人に押し切られる形で列に並んだ。
表示では75分待ちとなっていたが、実際は60分くらいで乗れてしまった。
その1時間の間で、死刑執行を待つ、死刑囚の気持ちが分かった気がする。

ちなみに、その蓬莱マウンテンなるアトラクションは走馬灯を見れるレベルの恐怖体験をさせてくれるものだった。
もう一生乗りたくない……。

「スリル満点で楽しかったですわ!」
「だな! このまま、続けて絶叫系乗ろうぜ!!」
「ですわね! 伊野さん、岡崎くん。 それでいいでしょうか?」

「構わないです」
「……好きにしてください」

伊野は蓬莱マウンテンのスリルが気に入ったらしく、「帰りにもう1度乗りたい」などと言っていた。

「どうしても」というなら、1人で乗ってきてもらおう。

次に乗った時には、走馬灯どころか三途の川まで見ることが出来るだろうからな……。

「じゃあ、次はこれにしようぜ!」
「『地底の核融合』? これもジェットコースターですか?」
「あぁ。 蓬莱マウンテンよりもスリルがあると有名で結構、人気アトラクションなんだ」

もう帰りたい……。
絶叫系とかムリなんだってば……。 もはや、「絶叫系」というよりは「絶叫刑」になってるしな。
その前にアトラクションの名前が著作権的にスレスレだし。

「それ、わたくしも乗ってみたいと思ってましたの! 早く、行きましょう!」
「楽しそう……。 岡崎、突っ立ってないで早く行こう」

女子2人もノリノリだ。
しょうがない。 乗るしかないよな……。



午前11時前にして、本日2度目の走馬灯を見ることが出来ました……。